第24回 千葉

街の”盛衰”経た千葉駅前~西口再開発の好条件生かせ~

第24回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2010年9月21日号(12面)掲載
日本不動産研究所 千葉支所
不動産鑑定士  佐藤修

最高価格地は坪600万円

千葉県の最高価格地は、JR千葉駅前であろうということにはほぼ、疑問の余地がない。最高地が頻繁に取引きされることはないが、周辺の取引事例等の価格、土地の効用に鑑みて、最高地の水準は幾らであろうと見定められ、現在はおよそ坪600万円程度である。

 地価の高いエリアの重心や水準の頂点を変遷させるのは、政策的な開発計画や投資の動向、都市基盤、鉄道・道路等のインフラの整備水準等の価格形成要因の変化であり、都市の最高地の位置・水準の高さは活火山の火口のように変化するものである。

 千葉においても、過去における国鉄と京成の覇権争い、産業の要請と軍需への対応、民需を背景とした都市計画の変更、JR千葉駅の遷移などにより、重心や頂点が変化してきたといえる。 例えば栄町、富士見、新町等の栄枯盛衰、そして新都心幕張、副都心蘇我への期待などが思いつく。だが、人為的な重心移動、範囲拡散作戦が、コンパクトシティの理念と真逆に作用し、人心・物・金の拡散化、街力の低下の方向に作用しなければいいと願うが。

 千葉市に最高地があるとはいえ、県内の柏、市川、船橋等のライバル都市は東京に近く、地理的位置等の優位性をそれぞれ備えており、圧倒的な地価格差があるとはいえず、県内都市間、また、商・住・工用途間などの地価水準の各レンジは比較的幅が狭く、地価分布はなだらかな裾野を有しているといえよう。


遙か市川市上空から千葉市の最高価格地方面を臨む朝の風景

海と河に区切られた平坦な“くに”

千葉県の地勢的特徴として、山岳部が非常に少なく、概ね平坦な地勢が広がっていることが特筆される。宅地利用を念頭に置いた場合、平坦な有効宅地をいかに確保するかが土地利用の基本であるので、この特徴は非常に優位に機能する。そのことと無縁ではないと考えるが、住宅平均土地面積が他の関東各県と比較して2割ほど広く(約135㎡に対して約160㎡)、平坦さが地価の相対的安さの主因と考えられる。

 そして、千葉県は、太平洋と東京湾、江戸川と利根川に囲まれていて、自然環境に恵まれているとともに、農業、工業、商業の基盤となっている。
 「何でもあるけど、何でもそこそこ」が実感としての千葉県であり、大都市東京のすぐ隣に立地することによる衛星都市の光と陰が見え隠れする。

一等地近くで一番を発見!

そんな中で一番はないかと探してみれば、「千葉都市モノレール」は、更なる延伸計画が延期されているものの、懸垂型モノレールの営業距離は、すでに日本一を超えて世界一だそうだ。市民にとって、便利な足として馴染んでいるが、改めて見つめてみれば、都市を貫くその姿は、巨大な首長竜の骨格標本の行列のようであり、金属的質感は港湾部に並ぶコンテナ積み卸しのガントリークレーンの脚を連想させる。 鉄道形式の選定の際には、随分議論されたのだろうが、地価最高地の前の最も目立つ「飾り」としては、いかにも「武骨」な感じは否めない。

 


JR千葉駅東口。最高価格地の周辺。懸垂型都市モノレールの橋脚が逞しい。

(次回の第25回:にっぽん「地価一番」物語は『さいたま』)

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