第26回 水戸

商業、客足に変化の兆し~中心は駅南口に移る可能性も~

第26回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2010年10月5日号(22面)掲載
日本不動産研究所 水戸支所
不動産鑑定士  鈴木 眞一

住宅着工はやや持ち直し

茨城県内には水戸市、つくば市、日立市の三大都市があるが、その中でも水戸市は県庁所在地で県内随一の商業都市である。水戸市の人口・世帯数は、平成22年(’10)5月1日現在で、約26.5万人、約11.1万戸で微増傾向である。

地価動向に係る主な要因である土地取引件数は年々減少傾向を示し、住宅着工件数は平成19年(’07)に対前年比で-1,990件と大幅に減少し、その後同20年(’10)に-829件、同21年(’11)に-42件と年々減少数値が低くなり、やや持ち直し傾向が認められるが、全体的には不景気の中で、不動産市場は低迷が続いているのが現状である。特に商業地域においては郊外型商業施設の出店により客足の流れが変化し、住宅地域においては利便性、住環境の良否等により需要の二極化が進み、工業地域においては工場の統廃合、新規設備投資意欲の減退により需要が著しく低迷している。

北口で進む空洞化傾向

水戸市の中心商業地はJR「水戸」駅北口至近にある「マイム」(地価公示番号:水戸5-7)で、平成22年(’10)1月1日現在で1当たり39.6万円である。同駅北口側にある大型小売店舗(リヴィン水戸店)が平成21年(’09)3月に閉店し、その後店舗の出店がなく、未だに空き家のままになっており、同駅北口側広場の繁華性が損なわれている。また、同駅北口側の商業地域においては閉店や事務所ビルの旧式化に伴う空室率の増加等により空洞化が進行しており、地価も引き続き下落が続いている。


水戸駅北口の最高価格地点「マイム」

 


大型小売店舗(リヴィン)が撤退後、空室が続く商業ビル(正面)

 

一方、同駅南口広場に仮称「水戸駅南口ビル」建設が着工され、新たな商業施設ビルの誕生で顧客誘引力の強化に繋がることが期待されている。また、広い駐車場を有する新しい事務所ビルが多い同駅南口方向に人の流れが多くなりつつあり、同駅の南北広場付近が大きく変化しつつある。

したがって、今後同駅の南・北口の地価水準の格差が次第に縮小していき、最高商業地が水戸駅南口に移る可能性が十分に考えられる。

 

 


新しいビルの建設などで、人の流れが多くなった駅南口地区

つくば地区は注目

茨城県内でも土地取引等が活発な都市としてはつくば市、守谷市、つくばみらい市等があり、いずれもつくばエクスプレス線沿線の都市で首都圏と直接結ばれており、地価上昇こそストップしたものの、今後宅地開発等が期待される地域であることから、地価動向についても注目していく必要がある。

(次回の第27回:にっぽん「地価一番」物語は『宇都宮』)

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