第27回 宇都宮

「宇都宮ブランド」の創出~クルマ依存社会の功罪~

第27回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2010年10月12日号(12面)掲載
日本不動産研究所 宇都宮支所
不動産鑑定士  永井正義

止まらない空洞化

「オリオン通りから老舗がまた・・・」、「空洞化影響、また姿消す・・・」。地元新聞紙上で宇都宮中心市街地での店舗撤退等を伝える記事は、特にここ1年の間によく見られたが、栃木県が9月21日に発表した平成22年地価調査では、宇都宮を代表するアーケード商店街「オリオン通り商店街」の調査地点(宇都宮(県)5-9)の地価変動率が、下落幅を拡大させ、県内調査地点では最大の下落率となった。

 また、JR「宇都宮」駅方面と「東武宇都宮」駅方面とを結ぶ「大通り」沿いは、宇都宮を代表する商業・事務所エリアであるが、当該エリアに位置する地価調査の最高価格地(宇都宮(県)5-2(地価公示の最高価格地(宇都宮5-1)と同一)の地価変動率も下落幅が拡大し、中心市街地における地価は下げ止まりの兆しが見えない。宇都宮中心市街地では、かねてから、歩行者通行量の減少等に伴う空き店舗の増加、営業拠点の縮小・撤退等に伴うオフィス空室率の上昇等の不動産市況の低迷が顕著で、現在は、空洞化に歯止めがかからない状況である。

 


店舗の撤退が相次いだアーケード商店街「オリオン通り」

 


最高価格地点がある商業・業務の中心地「大通り」

典型的なクルマ依存型社会

一方、宇都宮中心部から南東方へ約8km、北関東自動車道「宇都宮上三川インターチェンジ」に隣接する大規模開発団地「インターパーク宇都宮南」地区には、北関東最大級のショッピングエリアが新たに形成されている。上記高速インター、新4号バイパス等に近いため、郊外型の大規模ショッピングセンターを筆頭に、ホームセンターや家電量販店等の多種多様なロードサイド型店舗等が集積し、商圏は広域で、週末はファミリー層を中心に、滞在型ショッピングエリアとして賑わいを見せている。栃木県は、全国有数のクルマ依存型社会であり、郊外の幹線道路沿いにおけるロードサイド型店舗等の進出は活発で、撤退や新業態への転換も早く、常に消費者ニーズを捉えた店舗出店が特徴的で、顧客を引きつけている。

手詰まり感がある都市基盤整備

宇都宮市は、現在、JR「宇都宮」駅東口で、「宇都宮駅東口地区整備事業」を推進しているが、今後の整備手法及びスケジュール等の詳細は未定で、駅前の区画整理された広大な土地が、低層店舗、時間貸し駐車場等として暫定利用されているのが現状である。また、新交通システムの導入構想や、新たな市街地再開発事業の構想もあるが、実現の可能性は不透明で、中心市街地の都市基盤整備には、やや手詰まり感があることは否めない。

さらなる定住促進と人口増加に期待

このような状況の下、宇都宮市は、中心市街地活性化の一貫として、出店補助金等による空き店舗対策や、若年夫婦世帯への家賃補助による中心市街地への定住促進等を実施しており、また、餃子や大谷石等の物的資源やまちづくりに携わる市民等の人的資源といった宇都宮特有の地域資源を活用した宇都宮ブランドの創出等に積極的に取り組んでいる。今後、東京都心部への通勤可能エリアとしての地の利と、豊かな自然や歴史遺産と隣り合わせの宇都宮ならではの魅力を県内外へさらにアピールし、商業収益の裏付けとなる、さらなる定住促進と人口増加が、まずは期待される。

(次回の第28回:にっぽん「地価一番」物語は『前橋』)

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