第28回 前橋

県庁都市 路線価最下位からの脱出~行政の後押しによる活性化~

第28回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2010年10月19日号(16面)掲載
日本不動産研究所 前橋支所
不動産鑑定士 永田眞

バブル崩壊の余波続く

平成22年(’10)分都道府県所在都市最高路線価が7月1日公表され今年も昨年に引き続き4年連続で前橋市が47番目の最下位都市になった。群馬県民としてはあまり気分のいいものではない。そもそも群馬県は前橋市と高崎市との二極に分散しておりターミナル駅を持つ高崎市の路線価は36万円、全国で30番目の栃木県の宇都宮市の35万円を上回っている。

 高度商業地は前橋駅前通りから本町通り、県庁前通りにかけて形成され損・生保を中心に昭和50年(’75)から60年(’85)にかけてオフィスビルの建設が進み一部上場会社の営業所、支社、支所として活況を呈していた。また本町通りの北側背後には百貨店を中心に専門店の連胆する繁華街が形成され、人通りが多く休日には駐車場不足の状況になっていたほど賑わっていた。

 平成3年(’91)バブル崩壊以降表通り沿いの事務所街は大手企業を中心に企業の撤退・統廃合が進みオフィスビルの空室率は平成17年(’05)以降30%台の高水準を維持し、直近の22年(’10)6月期は34.2%で全国でもトップクラスになっている。限られたパイの奪い合いから今まででは考えられないような賃料の値引き広告も見られるようになった。

 


オフィス街にある最高価格地点のビル

 背後の繁華街においても郊外大型店の進出及び個人消費の低迷等により大型店を中心に撤退・休業が相次ぎ空洞化が定着している。

このことを背景に最高価格地価格「公示地前橋5-2」の価格推移をみてみると平成4年(’92)には㎡当たり265万円だったものが18年間下がり続けミニバブルの影響もなく平成22年(’10)には20万円と1割を切って約8%まで下落した。拡大していた下落幅は平成16年(’04)から平成20年(’08)までの4年間は下がりすぎた反動から来る値頃感等から縮小傾向で推移し底値に近づくとの期待感もあったがサブプライムローンに端を発した平成20年(’08)秋のリーマンショックによって事態は一変しいまだ先が見えない状況である。

 

そこで前橋市は市街地の空洞化が進む中、中心市街地活性化を図るため商業・公共施設「前橋元気プラザ」を活性化の核として平成19年(’07)12月にオープンし約2年を経過し当初予定していた利用者数は目標を大幅に上回り好調な出足となった。利用者回遊性があまり認められず中心市街地の活性化の波及効果はきわめて限定的との見方もあるが、明るい兆しには間違いない。

 

 


活性化施設として開業した「前橋元気プラザ」

駅前大型店の撤退対策

さらに前橋駅前に唯一あった大型店イトーヨーカドー前橋店が8月に撤退し、それでなくても人通りの少ない駅前の活気が失われてゆくことが懸念され、更にイメージダウンに繋がりかねない事態になっていた。前橋市が事業者に対し出店に伴う改装費を1億円を上限に補助することが決まったことにより後継テナントとして地元百貨店、地元スーパーが名乗りを上げ11月19日を目途に出店を計画し駅前の空洞化がひとまず避けられる事態になることになっていたが、最近店舗が十分に集まらないこと等から白紙となり駅前の空洞化が進む事態となった。今回は残念ながら行政の支援が実らなかったが、今後とも空洞化阻止のため様々な対策を引き続き講じてゆく市の姿勢には変化はなく、これら行政の後押しが続けば最下位脱出にはそれほど時間がかからないかもしれない。

 


後継テナント探しが続く駅前の大型商業ビル

(次回の第29回:にっぽん「地価一番」物語は『新潟』)

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