第30回 甲府

「風林火山」のまちづくり~複合ビル若者たちの新たな気配~

第30回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2010年11月02日号(12面)掲載
日本不動産研究所 甲府支所
不動産鑑定士  西川英之

信玄公像は今何を

JR甲府駅前の武田信玄公像は全身を甲冑につつみ軍配を片手に中心市街地を睨みつけている。かつて戦国時代の甲斐の守護大名であった彼は今何を考えているだろうか。かつて栄えた甲府の街も1990年代のバブル崩壊以降、商店街は消費の落ち込みと急激な地価下落に見舞われた。駐車スペースを確保した郊外ショッピングセンターの建設ラッシュとともに衰退し、現況は中心商店街の総売上・店舗数ともに半減し、一気にシャッター通りと化している。

 

甲府商工会議所の平成21年度(’09)中心商店街歩行量調査結果によると、甲府駅南側17地点の中心商店街のうち、地域を代表する「かすがもーる」では対前年比30.4%減、「銀座通り西」では27.0%減と昨年に引き続き大幅な減少となり、昭和49年(’74)の調査以来過去最低を記録した。全20地点総計では平成12年(’00)の数値を100とすると40.5の水準となっている。

 国土交通省発表の地価公示・地価調査結果もこれらを反映して、県内商業地の平均価格18.5万と平成3年(’91)のピーク121.7万に比較して15%強の水準まで18年連続して下落を示しており、これは今から30年前の昭和50年代半ばの水準である。なお、駅前一等地の現在の価格水準は100万前後と云われている。

 

平成20年(’08)に甲府市は中心市街地活性化法の認可を受けて、甲府駅北口と南口一帯の中心市街地の整備に着手した。北口では消防署・歴史公園・お祭り広場・駅前広場・NHK放送局・地方合同庁舎・県立図書館等の公共施設の新設、南口では地方裁判所・市役所・県庁等の建替事業等が着々と進捗している。

 

 

 

 

 


甲府駅前に鎮座する武田信玄公像

 
市内最高価格地点「丸の内1の7の1」付近
30年前の価格水準まで下がった

土地柄を生かして

その中にあって組合施行による紅梅地区第1種市街地再開発ビル「ココリ」が中心商店街の入口に本年10月オープンした。地上20階建ての商業施設・山梨県立宝石美術専門学校・マンションの複合ビルで、若者達の新たな気配が感じられる。我が同僚曰く「地域再生の鍵はハコモノ事業ではなく、投資採算性に見合った事業展開と、土地柄や地域の特長を活かしたソフト事業にある。」そういえば官主導の街づくりはどこも見事だが、民間企業の活力が見えない。

 

かの信玄公も曰く「人は城、人は石垣、人は堀。情けは味方、仇は敵なり」どれだけ城を堅固にしても、人の心が離れてしまったら世を治めることはできない・・・。彼は生涯一度も甲斐国内に新たな城を普請せず、堀一重の躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)、現在の武田神社に住んだそうである。

 

 

紅梅地区再開発で完成した20階建て複合機能ビル「ココリ」

(次回の第31回:にっぽん「地価一番」物語は『長野』)

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