第37回 静岡

中心部周辺で再開発進む~魅力ある商業ゾーン形成へ~

第37回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2010年12月21日号(14面)掲載
日本不動産研究所 静岡支社
不動産鑑定士  後藤雅文・河原崎誠

静岡市は、静岡県の県庁所在地であり、戦国時代には今川義元の城下町として栄え、江戸時代以降は徳川家ゆかりの城下町として発展し、市内には呉服町、鷹匠、伝馬町等の歴史ある地名等も残る歴史性豊かな都市である。平成15年(’03)4月に旧静岡市と旧清水市が合併し、平成17年(’05)4月に政令指定都市に移行し、さらに平成18年(’06)3月に旧蒲原町、平成20年(’08)11月に旧由比町との合併を経て、人口・世帯数は平成22年(’10)12月1日現在約72.6万人、約29.8世帯で、人口は微減、世帯数は微増傾向にある。

最高地はピーク時の20%

商業の中心地はJR東海本線「静岡」駅から北西方に小売店舗が中心の呉服町、映画館や衣料品中心の七間町、飲食店が中心の両替町等の各商店街と店舗・事務所を中心とする御幸通り、松坂屋静岡店、丸井静岡店、静岡パルコ、静岡伊勢丹、シズオカ109等が有機的に関連し、回遊性の高い商業地域を形成し、呉服町通りは県内随一の繁華性を誇る。

 

しかし、静岡商工会議所がまとめた静岡市中心商店街主要地点の通行量調査によると平成16年(’04)~21年(’09)の5年間で通行量は2割以上減少し、呉服町通り、七間町通りは近時減少傾向が目立つ。また、静岡市は旧来から県外の大型店の出店が困難な閉鎖的な都市して知られていたが、近年郊外への出店も見られるようになり、中心市街地の年間小売販売額等が減少し、消費者が郊外大型店に流れる傾向にある。
今年(’10)4月には静岡駅前に大型複合ビル「葵タワー」(延べ約53,500)がオープンし、オフィス床の大量供給により、近時の経営合理化による支店、営業所のオフィス需要の弱いなか、周辺オフィスの空室の改善は見込めず、賃料の下げ圧力も継続している。

市内の公示地の最高価格地「葵5-1」(呉服町通り)の価格推移を見ると、ピーク時の平成4年('92)に1当たり677万円、その後のバブル崩壊、リーマンショックを経て、平成22年(’10)には151万円とピーク時の約20%水準まで下落し、今なお下落傾向は継続している。

 


市内随一の繁華街・呉服町交差点

 


今年完成した駅前の大型複合ビル「葵タワー」

29階建て複合ビルも

現在、中心市街地の再開発事業として「新静岡センター」跡地に(総敷地面積14,700、総床面積約94,000、平成23年(’11)秋に完成予定)地下1階地上11階の建物が計画され、物販専門店、大型専門店、飲食店、シネマコンプレックスが入居予定とされ、静岡鉄道「新静岡」駅、バスターミナルと一体的な事業が進行中である。呉服町1丁目では、市街地再開発事業(平成21年(’09)6月都市計画決定、平成22年(’10)3月組合設立認可)が低層部:店舗、高層部:住宅(29階建)を平成26年(’14)3月の完成を目指して事業が進行中である。商店街の歩行者の流れ、周辺商業施設への影響も大きいと考えられる。また、JR「静岡」駅の隣駅「東静岡」駅周辺の東静岡駅周辺土地区画整理事業地内において三菱地所SCによる平成24年(’12)竣工予定の敷地約2,600、店舗面積約3,000の大規模商業施設計画があり、中心市街地の各商店街との競争の激化が懸念される。

今後、「静岡」駅の北側に展開する中心商業地域内の各商店街、大規模商業施設及び郊外の大規模商業施設が個性的な魅力あるショッピングゾーンを形成し、その中で歩いて楽しいコンパクトシティーとして発展することを期待したい。

(次回の第38回:にっぽん「地価一番」物語は『岐阜』)

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