第44回 鳥取

空洞化で活気は郊外に~駅前への市役所移転問題も~

第44回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2011年2月22日号(22面)掲載
日本不動産研究所 鳥取支所
不動産鑑定士  向井 伸

鳥取市の概要

鳥取市は、鳥取県の県庁所在地として、県の政治・経済・文化の中心都市である。JRは山陰本線・因美線が走り、国道は日本海沿岸の幹線である9号、南方へは、中国縦貫道に通じる兵庫方面の29号、岡山方面の53号がある。空港は鳥取空港があり、東京へジェット機が1日4便就航している。平成16年(’04)11月1日に周辺8町村と合併し、人口が20万人超の新鳥取市が誕生したが、毎年人口は減少しており、現在は20万人を切っている。

鳥取市の都心の推移

鳥取市は、袋川を外濠として、城下町として都市が形成された。明治以降、都市形態は、3主要街道沿いに外延的に延伸した。当初、都心は「鹿野街道」(写真①)にあったが、その後、車馬交通に便利な「智頭街道」(写真②)へ移転した。そして、国鉄「鳥取」駅新設と温泉発見で、県庁と国鉄駅を結ぶ「若桜街道」(写真③)に移転した。さらに鳥取大火災(昭和27年)以降は、鳥取駅前(写真④)へ都心が移転した(「日本図誌大系」朝倉書店を参考)。
 現在、地価水準は鳥取駅前が一番高い。しかし、最も活気があるのは、郊外の千代川以西の路線商業地域に移っている。


(写真①)鹿野街道

 


(写真②)智頭街道


(写真③)若桜街道

 


(写真④)JR鳥取駅前

中心市街地の空洞化

現在、鳥取市の中心市街地は、鳥取駅周辺地区と官庁街城跡周辺地区が2つの核があり、その両者を結ぶ智頭街道と若桜街道2つの軸が中心となって形成されている。小売店舗や中小事業所の郊外流出が進む中、中心市街地の事業所数や商店数、小売販売額等は全体的に大きく落ち込んでおり、下げ止まりの傾向は見られない。また、中心市街地及びその周辺の通行者数も毎年減少している。中心市街地及びその周辺の空地は、以前は、分譲マンション等の開発が多く見られたが、最近は、分譲マンションの新規計画も見られない。

鳥取市の最高価格地

公示地の最高地点は5-3(栄町)である。下表のとおり、年々下落しており、下落幅は収まるどころか、拡大している状況にある。
 バブル経済の地価上昇とその後の崩壊による下落を見ると、バブル前地価と現在地価では約20%程度に下落している。一般的に、この率は、用途(住宅か商業か)により、地域(大都市か町村部か)により大きな差がある。多くの地域で下落しているが、勢いのある地域(東京中心部等)では、大きく上昇している。これは、東京丸の内と鳥取駅前のバブル前と現在の状況の変化を比較すれば納得できると思う。地方中小都市の中心部であれば、概ね鳥取と同様20%台前後である。


最高価格地点がある栄町付近の近景

 


 

今後の課題

1.市役所移転問題

合併により機能が拡大し、市庁舎が分散している状況で、庁舎統合も兼ね、新庁舎建設移転問題が浮上している。現在有力なのがJR鳥取駅周辺である。ただ、財政問題、中心市街地の空洞化問題等から、反対も多く、円滑に決着とはいかないようである。

2.鳥取自動車道の開通

平成22年(’10)3月、鳥取自動車道の鳥取県内全区間が開通した。現在、岡山県内の約8kmが未開通区間として残っているが、平成24年度中(’12)に供用開始が予定されている。全線開通すれば、鳥取-大阪間の所要時間は約2時間30分となり、観光、産業等への経済効果に期待がかかる(全線無料区間)。ただ、交通利便性の向上が、地域の発展とは必ずしもつながらない。私の感想では、瀬戸内海の多くの島は、橋がかかることにより、急激に人口減少、衰退しており、このようにならないよう地域の努力が必要である。

3.砂の美術館

鳥取観光のシンボルである鳥取砂丘にあり、平成18年(’06)から、定期的にテーマを決めて開催されている砂の彫刻の野外展示イベントである。このおかげで、毎年、観光客は増加し、平成21年(’09)には約195万人が訪れている。特に、五月連休時の自動車の渋滞は深刻な問題となっている。ただ、鳥取砂丘には観光客は来るが、鳥取市中心部にまで観光客は来ないと言われており、中心部にある温泉等を売りに、観光客が来るよう模索している。

(次回の第45回:にっぽん「地価一番」物語は『松江』)

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