第45回 松江

「橋北」と「橋南」で活性化策~観光拠点生かすまちづくり~

第45回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2011年3月1日号(14面)掲載
日本不動産研究所 松江支所
不動産鑑定士  宇野 栄

百貨店の駅前移転

松江市は、県庁所在地・国際文化観光都市・学園都市・県内卸売業の中心地などの多面的な機能・性格を有する中核都市であり、人口は約19万2千人で減少傾向にある。
市域は宍道湖と中海をつなぐ大橋川により南北に区分され、それぞれ「橋北地区」・「橋南地区」と呼ばれている。

「橋北地区」

 大橋川の北側に広がる市街地「橋北地区」は、その中心に当市を代表する観光拠点の松江城・松江しんじ湖温泉・武家屋敷などを擁し、県庁・市役所・裁判所・地方合同庁舎などの官公庁も集中している。
 同地区の中心には、県庁を中心とした準高度商業地域があり、松江で唯一の老舗百貨店「一畑百貨店」が核店舗となっていたが、平成10年(‘98)4月に同百貨店がJR松江駅前に移転したことにより、周辺地域の全体の衰退が進んでいた。そのため、近年になって同地域を中心とした中心市街地活性化事業が活発に進められ、通称「大手前通り」の道路拡幅整備をはじめとして、再開発ビルの建設(南殿町、14階建の複合ビル、平成20年(‘08)6月完成)、松江赤十字病院高層棟の建替え(母衣町、同22年(‘10)8月完成)等の事業が行われた。さらに、平成23(‘11)年3月には殿町に「松江歴史館」が開館予定であり、「一畑百貨店」跡地にも市街地再開発事業が計画されているなど、多くの観光拠点をつなげ、活かすまちづくりが進められている。

「橋南地区」

 大橋川の南側の市街地は「橋南地区」と呼ばれ、JR松江駅から松江大橋にかけての地域が古くから商業・業務の中心的役割を果たしてきた。このうち、松江大橋から南に向かう白潟本町・天神町の両既成商店街は、大型店舗の進出とともに空店舗が増え、現在は衰退が顕著である。一方、JR松江駅前エリアは、松江駅前地区市街地再開発事業の施行・前述の「一畑百貨店」の移転等により順次整備され、平成12年(‘00)4月の都市型複合施設「松江テルサ」及び駅前地下駐車場の完成により、松江駅前再生事業が完了した。同駅前は松江観光の第一歩で、すべての交通機関の始発であるため、同駅を中心として中規模ないし大規模のホテルが多く立地しているのも特徴的である。
松江市は、県庁所在地・国際文化観光都市・学園都市・県内卸売業の中心地などの多面的な機能・性格を有する中核都市であり、人口は約19万2千人で減少傾向にある。
 市域は宍道湖と中海をつなぐ大橋川により南北に区分され、それぞれ「橋北地区」・「橋南地区」と呼ばれている。


松江の玄関口・JR松江駅前

地価公示の最高価格地の推移

地価公示の最高価格地である「松江5-3」は、JR松江駅前の県道松江停車場線(通称「駅通り」)沿いにあり、背後地を含めた地域に大手生保・損保ビルが建ち並び、事務所街を形成している。
 全国的な地価下落傾向に比べてタイムラグがあるものの、当該標準地の地価は、平成4年(‘92)1㎡当たり106万円から下落の一途をたどっている。平成20年(‘08)にはいったん下げ止まりの気配が見られたが、同年9月のリーマンショックを機に、下落率は再び拡大し、平成22年(‘10)の価格は23.7万円と、ピーク時の約22%の水準まで落ち込んでいる。駅通り沿いでは空店舗・空事務所の長期化が目立ち、テナントの移動・規模縮小が生じるなど不動産の不況感が強まっていることから、平成23年(‘11)に入っても、地価の下落幅が拡大している状況である。


空き店舗などが目立つ「駅通り」

 


最高価格地点(中央右、看板の掛かるビル)

今後の期待

松江市は、平成19年(‘07)に開府400年を迎えた。これにあわせ、同年から築城完成400年に当たる今年、平成23年(‘11)までの5年間にわたって「松江開府400年祭」事業が行われており、期間中は様々な仕掛け・イベントが展開されている。
 島根県でも現在、「しまね観光アクションプラン」(平成25年度までの目標:観光客数3,000万人と観光消費額1,500億円)が推進されており、観光産業を重要な産業とし、経済面でも多大な影響を受けている松江市としては、県と足並みをそろえ、観光拠点を活かすまちづくりを行うことで、経済を活性化し、ひいては業態が異なるJR松江駅前の商業地域の発展にも繋がることを期待する。

(次回の第46回:にっぽん「地価一番」物語は『岡山』)

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