第46回 岡山

政令都市として熟成は~中国、四国を結ぶ 立地を生かせるか~

第46回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2011年3月8日号(16面)掲載
日本不動産研究所 岡山支所
不動産鑑定士 栗岡 義則

駅周辺の整備進む

30年ぶりに赴任した岡山市。政令指定都市となり、都市としての厚みや広がりがどれだけ進んだのだろうか。
 新幹線駅でもある岡山駅では、平成18年(’06)10月に東西コンコース、平成19年(’07)10月にJR駅ナカの「サンステおかやま」ができ、平成22年(’10)5月には、最終整備としての西口駅前周辺整備が完成し、一体感が広がり、施設の集積が逐次進んでいる。

 


駅ナカコンコース

かつて、商業集積は岡山駅前と表町の2極化が叫ばれていたが、今や岡山駅周辺が他を大きくしのいでいる。岡山市は、早くから駅前地下街整備に取り組み、近年の市街地分散と局地集積の動きからは、この駅前地下街の集客力の差が大きく寄与しているといえる。周辺には、最高価格地である髙島屋岡山店(山陽新幹線開通時(30年も前か)に開業)などの他に、新しいビルとしては、旧国鉄跡地整備後に立地するホテルグランヴィア、ターミナルスクエア、ホテル三井ガーデン、富国生命ビル岡山ビル、ラヴィール岡山などがある。駅正面に立地する改装した旧岡山会館ビルは、下層階にビッグカメラ岡山店が平成19年(’07)11月に入居、上層階には平成20年(’08)2月にダイワロイヤルネットが入居し、特に、ビッグカメラの集客力は、他を大きく圧倒している。

 


最高価格地がある高島屋岡山店付近

最高価格地(北区本町)の地価の動きを見ていくと、平成8年(’96)に400万超だったが、他都市と同様にその後大きく値下がりして、今ややっと100万超の水準であり、1/4の価格となってしまった。 周辺のオフィスビルは大阪集約の動きに抗しきれず、空室率は15%程度で、主要生損保系ビルは賃料値下げと継続賃料見直しによって空室率改善への努力をしている。
 細かく見ていくと、幹線背後では、空地がどんどん増えていっている。なぜだろう。この背景を探るには、目を郊外へと転じてみると都心の空洞化がどのようにして進んだかを垣間見ることができる。岡山市も戦災により罹災した都市で、中心部は、昭和23年(’48)から昭和61年度(’86)まで実施された「岡山地区復興土地区画整理事業」で整備され、都市基盤はこのときに作られた。郊外では岡山駅南西に約3kmにある農地で土地区画整理事業を行い、面積約485haが宅地として基盤整備された。30年前はその緒に就いたばかりだった。

それから月日を経て、現在各種大型店舗やロードサイド型の料飲店舗が集積し、さらに高層マンションも着実に増加するなど、もっともダイナミックに動いているエリアで、このエネルギーが旧来の岡山市中心市街地の店舗等から流出していると見ていくことができよう。隣は倉敷市の東端に位置し倉敷圏域からの顧客の吸引も進んでいる。

林原駐車場が話題に

経済に目を向けると、1月に突然、インターフェロンなどの医薬品や糖質トレハロースの製造企業で知られる林原が会社更生法を申請し、倒産。かつては、この地で「カバヤのキャラメル」などとして、水飴製造の企業であったが生産機能を他に移し、その土地の利用形態は30年前も今もほとんど変わっていない。工場棟や本社事務棟が10余あるが、大部分は平面駐車場として利用し、林原モータープールとして知られている。
 岡山駅から南西にわずか600mに位置し、四方が広街路に囲まれ、そのポテンシャルから林原駐車場4.6haの土地利用が企業再生との絡みで、今、大きくクローズアップされている。
 様々な因子の中で、中国と四国との交通結節点の利点が大きく発揮されるのはいつだろうか。

 


話題の林原駐車場

 

(次回の第47回:にっぽん「地価一番」物語は『山口』)

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