第50回 高知

「龍馬博」その後に向けて~住民を巻き込んだ活性化策~

第50回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2011年4月5日号(12面)掲載
日本不動産研究所 高知支所
不動産鑑定士 福田 紀夫

龍馬効果と地価動向

昨年の高知は坂本龍馬の一年だった。
NHKの大河ドラマ「龍馬伝」に連動した、高知県の観光イベント「土佐・龍馬であい博」が今年1月までの約1年にわたり開催された。期間中は週末を中心に県外ナンバーの車が目立ち、高知の代表的な中心商店街「帯屋町商店街」にも観光客が多く訪れた。期間中、県内4ヵ所のパビリオン来場者は合計92万人を超え、約76万人の県人口を大きく上回った。また、日銀高知支店の発表ではその経済波及効果は平成20年度(’08)高知県県内総生産の2.4%に相当する535億円にも上った。

このように龍馬効果で賑わった高知県であったが、さすがに地価水準にまでは影響を及ぼすことはなかった。先日、発表された平成23年(’11)地価公示では、高知県は全用途平均の地価下落率が、過去最高の7.8%で全国最大となった。また、地価の上昇地点はなく、16年連続での下落となった。帯屋町商店街に位置する地点(高知5-12)でも、8.8%下落した。

全般的に下落基調にあるなかで、中心商店街での下落には、店舗の郊外化の流れが大きく作用している。年2回高知県商工労働部が中心になって商店街の通行量調査を行っているが、帯屋町1丁目地点ではピーク時約4万9千人に対して近年は1万人台前半へ、2丁目地点では同じく4万2千人が1万人弱へと、ピーク時の4分の1から5分の1程度にまで減少している。実際、空き店舗も目立ってきている。

では、郊外店舗は順調に客足を伸ばしているかと言えばそうともいえない。県内最大で唯一のショッピングモールである「イオンモール高知」。シネマコンプレックスや多くの専門店が並び、週末には県内全域からの買い物客で賑わう、いわゆる「勝ち組」と見られていた。しかし、平成12年(’00)の開業以来順調に伸ばしていた売上高(テナント全体)が、平成21年(’09)2月期で初めて前年割れをし、昨年も売上高(263億円・対前年比-3.1%)・客数(922万人・同-2.1%)とも前年を下回ることとなり、不況の影響は全域に及んでいる。

 

眉山より、市内から北東にかけての眺望
週末の「帯屋町商店街」

音楽祭など頻繁に

そんな中でも、中心商店街をはじめ市内中心部の賑わいを取り戻そうとする活動は活発である。中央公園では春から秋にかけての観光シーズンに合わせ、平成14年(’02)から始まった「高知街ラ・ラ・ラ音楽祭」や食イベント「土佐の『おきゃく』」、その他各種フェスティバルが頻繁に開催され、観光客だけではなく地域住民も巻き込んだ市中心部活性化に向けた活動が行われている。

また今春、官民共同で「はりまや橋周辺から高知城までの東西軸エリア活性化プラン」の検討会が始動し、市中心部の活性化に向けたこれからが期待される。

 

眉山より、市内から北東にかけての眺望
イベントで賑わう中央公園(新たなイベントの開幕式)

(次回の第51回:にっぽん「地価一番」物語は『松山』)

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