第52回 丸の内

日本を代表するオフィス街~再開発でにぎわい施設も充実~

第52回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~ 
住宅新報2011年4月19日号(12面)掲載
日本不動産研究所 東京事業部
不動産鑑定士 高橋 晃

日本を代表するオフィスエリアといわれる丸の内。
明治期に軍用地の払下として出現したこの都心超大規模地は公売にかけられ、周囲の評価を上回る高額で落札された。売買当初、その将来性を疑問視する声も囁かれたが、当時の三菱社長は自身の先見性に揺るぎはなく、周囲の見方に「竹でも植えて、虎でも飼うか」とユーモアをもって応じたという。

丸の内の誕生~現在

帝政の安定に伴い皇居周辺に軍用地を配置する必要性が薄れてきたことから、その軍用地等(後の丸の内)が公売にかけられ、明治22年に落札された。
当時、三菱カ原と呼ばれ荒涼としていた丸の内は、赤煉瓦ビル等の草創期のビル建築以降、昭和初期の世界恐慌による空室率の上昇など、都市としての歩みは決して平坦な道のりではなかったが、戦後は三菱地所株式会社の「丸ノ内総合改造計画(1959年~)」等によるビルの大型化、そして今日、三菱地所株式会社の「丸の内再構築(第1ステージ:1998~、第2ステージ:2008年~)」等が中心となって、歴史的建造物との調和・共生をも図りながら再構築が図られ、まちは脈々と受け継がれている。

再現された三菱一号館
再現された三菱一号館

 

保存された日本工業倶楽部
保存された日本工業倶楽部

再開発

丸の内の再開発は下図のとおりであり、現在は主に丸の内のメインエリアとなる東京駅西側の大半の画地において、三菱地所株式会社の丸の内再構築等による再開発がなされている。
近年ではグラントウキョウノースタワー・サウスタワー、最近では大手町一丁目地区第一種市街地再開発事業・丸の内パークビルディング等が竣工し、現在は、大手町フィナンシャルセンター・みずほ銀行東京中央支店、東銀ビル・三菱UFJ信託銀行・住友信託銀行ビル、パレスホテル、旧東京中央郵便局等の建替計画が進行中である。

 

保存された日本工業倶楽部
(クリックすると大きな画像でご覧頂けます。)
※資料:大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会

旧東京中央郵便局の建替
旧東京中央郵便局の建替

 

東銀ビル等の建替
東銀ビル等の建替

オフィスエリアとしての実力

三菱地所株式会社の不動産投資市場戦略会議資料(2010年11月26日付。国土交通省HPに掲載)によると、丸の内・大手町・有楽町地区は、面積:約120ha、就業人口:約23万人、企業数:約4,000社、東証1部企業数:76社(連結売上高約130兆円(日本のGDP25%相当))と報告されており、特に、丸の内は大企業の本社機能や国際金融センター等が集中し、地区内にはJR各線ほか複数の地下鉄網が形成されて抜群のアクセス性があり、日本を代表するオフィスエリアとして卓越したステータスを有している。
近年、前記再開発により、丸の内は建替えが急ピッチで進み、「2003年問題」のメインステージといった観があったが、柔軟な対応等により、テナントサイドのコストダウン・グレードアップニーズを吸収して、その後、賃料は上昇した。
 リーマンショック以降は、高額賃料帯を負担できる層の枯渇感あるいは一巡感から、賃料はやや下落したが、現在は割安感が出てきたこと等から、市況は踊り場的な状態にあると見る向きが支配的である。様々な見方が交錯する中で今後の動向が注目される。
ただし賃料水準は常に最高位にあり、空室率も最近概ね4%前後であるもののこれを除けば過去10年間で概ね3%を下回る低い水準で推移しており、日本を代表するオフィスエリアとしての需要の底堅さが窺える。

松山城
※資料:シービー・リチャードエリス株式会社

旧東京中央郵便局の建替
丸の内ビルディング

 

旧東京中央郵便局の建替
新丸の内ビルディング

ショッピングエリアとしての丸の内

近年は街としての賑わいを復活させる動きも見られ、丸の内仲通り沿いにブランドショップが集積しているほか、近年竣工した丸の内ビルディング、東京ビル、丸の内オアゾ、新丸の内ビルディング、丸の内パークビルディング等においても、相応の店舗ゾーンが配されており、オフィスエリアとしてだけではなく、店舗等を中心とした人々が賑わう空間が演出され、ショッピングエリアとしても一定の認識がなされている。

 

旧東京中央郵便局の建替
丸の内仲通り

最近の地価動向・取引

公示地千代田5-42(丸の内ビルディングの敷地)の公示地価の動向は下表のとおりであり、2008年にピークを迎えた後は下落に転じ、直近では、概ね横ばいの27,500,000となっている。
なお、最近では、PCP丸の内、りそなマルハビル、グラントウキョウサウスタワー、プロミス本社ビルが相応に高額で取引され、市場関係者の耳目を集めており、丸の内の底力が垣間見える。

松山城
※縦軸の単位は千、横軸の単位は年

今後について

日本を代表するオフィスエリア「丸の内」は、香港などとのアジアにおける覇権争いも指摘され、今後より広い視野から見た「まち」としての実力も問われていくと思われるが、時代の節目毎に再開発に取り組むなど、関係者達が一体となって、まちは時代に合わせて、あるいは歴史との共生を図りながら更新され続け、その誕生から時が経ってもなお関係者達のまちへの思いが脈々と受け継がれて行く限り、今後もその存在感は色あせないことだろう。

 

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