第2回 大津

出遅れた地区が起爆剤 ~「まちなか」のランドマーク~

第2回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年5月3日号(10面)掲載
日本不動産研究所 大津支所
不動産鑑定士 目片 匡

 JR大津駅の西側の春日町地区で空き地が目立つようになり、土地区画整理事業の進み具合が人目にも明らかになってきた。
JR大津駅前は、昭和42年度(’67年度)から昭和53年度(’78年度)にかけて施行された大津駅前土地区画整理事業により形作られ、昭和56年(’81)頃に中央大通りが開通してほぼ現在の姿になっている。

区画整理と一体で

 春日町地区は、旧東海道と北国街道の分岐点(現在の札の辻)に近く、江戸時代はその周辺には本陣、脇本陣その他数多くの旅籠が立地するなど、古くから栄えた地域であるが、JR大津駅の至近にありながら昭和期に施行された前記土地区画整理事業の施行地区外であったことから、古い街並みがそのまま残ることになった。そこで、大津市は、生活道路が狭隘で、木造住宅等が密集し災害時の危険性が高いこの地域について、公共施設の整備と居住環境の改善を目的として平成19年(’07)3月に大津駅西第一土地区画整理事業を都市計画決定し、街路や公園などの公共施設の整備改善と老朽建物の建て替えによる不燃化を図り、ひいては近年空洞化が進みつつある中心市街地の活性化の起爆剤になることを期待している。

 この事業の大きな特徴は、施行地区のうち駅前広場に面する街区(約2,600㎡)を市街地再開発事業区に指定し、土地区画整理事業と市街地再開発事業とを一体的に施行していることにある。


大津駅第一種市街地再開発事業施行区域

これは、春日町地区は従来中小規模の画地が多いことから、土地区画整理事業を施行するだけでは中小規模画地を再生産することになり、高度利用が図りにくいことから、一部の街区を市街地再開発事業区に指定することで、駅前にふさわしい土地の高度利用を実現する手法である。一体的施行のしくみを大津市ホームページの記載を引用して説明すると、市街地再開発事業区に仮換地指定された土地を市街地再開発事業の従前地とみなして床に権利変換する手法で、簡単にいえば、市街地再開発事業に参加した地権者は土地ではなくマンションの1室を取得することになる。

再開発用地は各所に

 大津駅西地区市街地再開発組合のパンフレットによると、地上29階建の1・2階に店舗・施設が計画されており、大津「まちなか」生活を楽しむための生活拠点と位置付けられており、竣工後はJR大津駅前のランドマークとなることは間違いない。

江戸時代の大津の町は、東海道の宿場町として、また琵琶湖水運の最大集散港として栄え、17世紀末には、町数100カ町、人口18,000人を超える活気のある都市であったそうであるが、現在は空洞化が懸念される町となっている。幸い、春日町地区以外にも未利用・低利用の状態にある県の施設等今後の再開発が待たれる土地が各所に存在している。開発と歴史や伝統との調整を図ることは困難なことではあるが、大津駅西第一土地区画整理事業、大津駅西地区第一種市街地再開発事業が大津市にとっての成功体験になり、今後の大津の復権につながることを期待している。

 


地権者の住宅が入る29階建て再開発ビルの完成予想図

(次回の第3回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『京都』)

全国の地価動向マップはこちら

この地区の事業所はこちら