第5回 奈良

あらたな都市拠点として ~大阪本町へ直通40分の便利さ~

第5回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年5月24日号(14面)掲載
日本不動産研究所 奈良支所
不動産鑑定士 松山 順一

近鉄けいはんな線延伸

 学研奈良登美ヶ丘駅は、生駒市北東部と奈良市北西部との市境にあり、平成18年(’06)3月の近鉄けいはんな線の延伸に伴い、学研北生駒駅・白庭台駅と共に新規開業し、大阪市営地下鉄中央線との相互乗り入れにより、大阪市の本町と直結した駅である。

 


大阪本町と直結した学研奈良登美ヶ丘駅

 当該駅周辺は、南方約3.5kmの学園前駅を基点として昭和30年代から始まった住宅開発の拡大により形成されたエリアの一郭に位置する。学園前駅の徒歩圏あるいはバス圏至近の住宅地域は、奈良県を代表する名声の高い高級住宅地として知られているのに対して、駅から遠いバス圏の地区はやや選好性が劣っていたが、近鉄けいはんな線の延伸により大阪本町まで乗り換えなしで約40分と交通利便性が向上したことから、学研奈良登美ヶ丘駅周辺は注目される地区となった。
 平成17年(’05)国勢調査によると、奈良県の県外就業率(県外就業者数÷総就業者数)は29.32%で、ベッドタウンとしての性格が他の都道府県と比べてひときわ高く、首都圏の埼玉県・千葉県・神奈川県を抑えて全国1位である(全国平均は8.27%)。特に大阪府に隣接する生駒市・香芝市のほか奈良市等は30%を超えており、住宅需要は根強いものがある。奈良県の人口が18年ぶりに140万人を割り込み、県外への転出超過傾向が見られるなか、けいはんな線の延伸は需要喚起を後押しするものと考えられる。
 けいはんな線延伸後の住宅地の地価推移を見ると、学研奈良登美ヶ丘駅から約1.4kmの奈良-42、学研北生駒駅から約800mの生駒-18、白庭台駅から約800mの生駒-21は、平成19年(’07)・平成20年(’08)時点でそれぞれ奈良市及び生駒市の住宅地の平均変動率を上回る上昇を示したほか、リーマンショックによる地価下落以降、平成23年(’11)時点では特に徒歩圏内の生駒-18、生駒-21がいち早く回復傾向を示している。

 学研奈良登美ヶ丘駅の開業後、駅周辺では同年7月にイオン奈良登美ヶ丘ショッピングセンター(売場面積38,800㎡)が出店したほか、平成19年(’07)3月には駅ロータリーの南側に4棟からなる複合商業施設リコラス登美ヶ丘がオープンし、フィットネスクラブ・クリニック・銀行・コンビニ等が入居している。

 


ロータリー南側にある複合商業施設

 また、平成19年(’07)から20年(’08)にかけて約400戸のマンションが供給され、都心へのアクセスを活かして好調のうちに完売した。そのほか、南西方約1kmでは平成20年(’08)、平成21年(’09)に文化教育施設として奈良学園(幼稚園・小学校・中学校・高等学校)及び奈良文化女子短期大学が開校し、駅前の商業施設と共にまちの新しい顔となっている。

更に進む区画整理

 このように駅の開業以降、駅周辺の業務商業施設等が漸次進んでいるが、現在は西側の奈良市と生駒市に跨る約27haが平成24年(’12)度完了を目指して、土地区画整理事業による造成工事が進行中である。

 


土地区画整理事業による造成工事

 また、今年の3月には土地区画整理事業施行区域のさらに西側に存する市街化調整区域16.4haが線引き見直しにより市街化区域に編入され、住宅開発が予定されている。
 今後、これらの開発の進捗に伴い土地利用が進み、学研奈良登美ヶ丘駅周辺が新たな都市拠点として形成されていけば、学園前駅周辺にひけをとらない地域に変貌していくのではないだろうか。

(次回の第6回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『和歌山』)

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