第6回 和歌山

まず賑わいの場づくり ~住みやすく魅力あるまちに~

第6回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年5月31日号(16面)掲載
日本不動産研究所 和歌山支所
不動産鑑定士 海野 雅由

人口減少が続く現実

 和歌山市は紀ノ川河口に存する人口約37万人弱の中核市である。「和歌山」の由来は続風土紀によると、天正13年豊臣秀吉が城の築城を命じた際、南に位置する「和歌浦」と対比して「和歌山」と命名したといわれている。
 人口は昭和57年(’82)の402,906人を境として以後減少し続けている。

 これは近畿地方の他の県庁所在地(例えば大津市・奈良市等)と比べて京阪神から距離があり、大阪市中心部へも通勤時間が1時間強かかること、また市内に大きな企業、大学等が少ないこと等が要因と考えられる。
 市中心部は江戸時代に紀州藩の城下町として栄えた。城を取り囲むように武家屋敷、その周辺に町人の町屋が建ち並んでいた。和歌山市の住宅地の最高価格地が存する「吹上」は江戸時代には和歌山城下の大名(おおな)八所の一つであり、主に藩士の屋敷等が建ち並んでいたが、戦災により当時の建物は焼失してしまった。現在はその面影が残っていないが、大きな画地の住宅地が広がる閑静な住宅地域となっている。
 最高価格地(和歌山(県)-28)は平成2年(’90)の430,000を最高に以後一部期間(平成18年(’06)~20年(’08))を除いて下落が続いている。

 住環境が優りかつ利便性を兼ね備えた住宅地域のため、富裕層を中心に一定の需要はあるが、人口の減少、地域経済の停滞等の影響により地価は弱含みである。

和歌山城から市内一望

 人口の減少及び中心部の空洞化等の課題を抱える和歌山市であるが、既に実施されている各種中心市街地活性化策のほかに、現在、①「けやき大通り第1種市街地再開発事業」、②「けやき大通りの再生」等に取り組んでいる。

 


けやき大通り第1種市街地再開発

現代版城下町を

①は商業施設、ホテル、マンションの複合施設を建設し、駅と中心商業地を繋ぐけやき大通りに、賑わいをもたらし、「城まち回遊性の向上」・「城まち居住の促進」を図る事業として注目されている。
②はJR和歌山駅と和歌山城方面とを結ぶ和歌山市内のメインストリートである「けやき大通り」の安全性・快適性・景観の向上と憩い・賑わいの場の創設を目的とし、市中心部の商業地域の活性化及びその背後の住宅地域の快適性を図る取組である。
 住みやすく、かつ魅力ある街=現代版城下町をつくるためには行政だけでなく、企業、住民等が協同して継続的に取り組む必要があり、そうすることによって人口の減少を抑え、人々が回遊する活力ある街を実現できるのではないだろうか。各種取組の成果が期待されている。

(次回の第7回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『東京(多摩)』)

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