第7回 東京(多摩)

全国最大の建て替え事業 ~「円滑化法」利用防災面の効果も~

第7回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年6月7日号(12面)掲載
日本不動産研究所 東京事業部
不動産鑑定士 鈴木 隆史

増える老朽化マンション

 老朽化マンションのストック数が急激に増加しており、平成19年(’07)末の全国のマンションストック数は500万戸を超え、築30年以上のマンションについては100万戸を超えている。このように、老朽化マンションが増加していく中、マンション建替えを円滑に進める観点から、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下「円滑化法」という)」が平成14年(’02)に施行され、法人格を持つ「建替組合」の設立や、権利変換による権利移転手法の導入等により、マンション建替えを円滑に進めることができるようになった。
 この円滑化法を利用して、東京都多摩市の多摩ニュータウン内にある「諏訪2丁目住宅」の建替え決議が平成22年(’10)3月28日に成立し、マンション建替え事業が本格的に動き出す。
 「諏訪2丁目住宅」は、小田急永山駅や京王永山駅から徒歩7~8分と立地性に優れた旧日本住宅公団が分譲した団地で、緑あふれる丘陵地に所在する敷地面積約64,000、RC造5階建て、23棟、全640戸(1戸当たり専有面積は約48の3DK)の大規模団地である。

 


エレベーターのない5階建て集合住宅が立ち並ぶ現在の「諏訪2丁目住宅」

 入居開始は昭和46年(’71)と多摩ニュータウン内でも古い団地で、住宅面積の狭さや、エレベーターが無いこと等建物や設備の不便さや老朽化等により、平成に入った比較的早い時期から建替えについての議論が住民間で熱心に行われていた。

街再生の視点で注目

 しかし、その間にバブル経済の崩壊、リーマンショック等経済情勢の変化、事業協力者の変更、住民の高齢化等数々な問題が生じ、紆余曲折した後、ようやく今回の建替え決議の運びとなった。
 「諏訪2丁目住宅」の建替え事業の特徴は、①権利変換率100%、②全国最大規模の建替え、③多摩ニュータウン内初の建替え事業である。つまり、①については、余剰容積を活用して、持ち出しの無い従前資産と同面積の還元率100%を実現した。②については、建替え後の建物の延床面積約120,000㎡、11~14階建て、全7棟、1,250戸という全国最大規模の一括建替え事業である。③については、多摩ニュータウン内の分譲住宅初の建替え事業で、建物の老朽化、住民の高齢化等様々な問題を抱えるニュータウン内での建替え事業は、団地再生・街再生の視点から行政からの注目度も高い。
 前述したとおり、老朽化マンションが年々増加して行く中で、東日本大震災が発生し、老朽化マンションを多く抱える東京都内でも震度5強を記録した。今後、「諏訪2丁目住宅」の建替え事業を起点として、単なる建替え事業としてだけでなく、防災の面からも、より広く円滑化法を活用した老朽化マンションの建替え事業が普及されることが期待される。

(次回の第8回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『福岡』)

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