第8回 福岡

博多阪急恐るべし ~交通網整備が活性化招く~

第8回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年6月14日号(12面)掲載
日本不動産研究所 九州支社
不動産鑑定士 山﨑 健二

 3月3日に新博多駅ビルであるJR博多シティが誕生した。延べ20万平米と言われるJR博多シティは、東急ハンズの入るアミュプラザや阪急百貨店を核店舗としてシネコンのTジョイ等が入る複合商業施設で、博多再興の起爆剤となった。その後3月12日に九州新幹線が全線開業したが、日本中を震撼させた東日本大震災の翌日とあって殆どの開業パーティはキャンセルとなり、華々しいオープンを予定していたJR九州と大阪方面からの観光客を待ち構える熊本県・鹿児島県にとっては厳しい船出となった。当然ながらその後の九州観光は自粛ムードとなり、九州新幹線の乗車率にも影を落とすこととなった。

 


JR博多シティの外観

沸き返るほどの人出

さて現在、震災から3ヵ月近くたって、JR博多シティは好調に推移し、九州観光も復活してきた。
 まずJR博多シティは、沸き返るほどの集客を見せており、予想より2ヵ月早い5月時点で来場者が1,000万人を突破した。阪急百貨店のデパ地下は色とりどりの華やかなお店が並び、休日はごった返ししている。博多阪急デパ地下3大行列店といわれる、堂島ロール、ガトーフェスタハラダ、クラブハリエのほか九州初出店のクリスピークリームドーナツ等も加わり、「デパ地下ってこんなに楽しいのね」という感慨に福岡市民は酔いしれている。その中で不動産鑑定士として私が注目したお店は、一番奥にあるB級グルメの「イカヤキ」である。あの梅田の阪神百貨店の地下にある有名なイカヤキがなんと福岡でも味わえることになってしまった。大阪で阪神と阪急がH20グループとして経営統合したため、博多阪急に阪神のイカヤキを出店させることが可能になったのである。博多阪急の一番奥にあるフードコート「阪急うまか食堂」は、阪神百貨店かと見まがうくらい、阪神テイストが漂うディープスポットになっている。唯一、阪急ベーカリーがここは阪急だぞと主張しているが、かの100円ベーカリーは阪急百貨店に登場した「阪神うまか食堂」に見事に融和していた。

 


博多阪急フードコート内にある「阪急うまか食堂」

 次に小籠包が有名な台湾の名店「鼎泰豊(ディンタイフォン)」である。博多阪急の5階に忽然と現れる鼎泰豊は社内旅行で行ったことのある台湾の有名店である。不自然な場所にあって多少の違和感を覚えるものの隠れ家チックでオバサマの好奇心をくすぐる効果があるのだろう。そういえば長崎でしか買えないと思っていた小籠包の桃太郎も地下1階に入っていた。博多阪急恐るべしである。

不動産売買も活溌

 かくして博多駅周辺は想定外の賑わいを見せている。百貨店の売上高は3月に開業した博多阪急を加えた全店ベースではは21.6%増加したものの既存店では前年同月比5.3%減の約150億円で前年実績を下回った。百貨店の主役は当面天神から博多駅に移りそうな気配だ。
 福岡市は現在、JR博多シティの開業等が奏功して、収益用不動産の売買が活発である。金額が小さい賃貸マンションだけでなく事務所ビルや商業ビルが活発に売買されている。東日本大震災の影響による投資意欲の減退は、殆ど見られない。インバウンドと言われる海外からのお客様は半減したがこれはやむを得ない。東北地方の多くで、復興のためのまちづくりが策定されていると思うが、①鉄道、②空港、③港、④高速道路等の交通施設の整備とそのネットワークの連携が必ず都市を発展に導くのだということを、福岡から提案したい。

(次回の第9回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『沖縄』)

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