第10回 鹿児島

九州新幹線が全線開業 ~まちの賑わいと地価に注目~

第10回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年6月28日号(12面)掲載
日本不動産研究所 鹿児島支所
不動産鑑定士 桐山 馨

 平成23年('11)3月12日に九州新幹線鹿児島ルートが全線開業し、本土最南端鹿児島県の陸の玄関口である「鹿児島中央」駅から「博多」駅まで最速1時間19分で結ばれた。また、山陽新幹線へ直通運転する新幹線『みずほ』号利用で「新大阪」駅まで最速3時間45分で結ばれ、代替競争関係にある航空機と十分に戦える移動時間が可能になり、今後鹿児島の商業・ビジネス環境は大きく変化していくと思われる。

 


「鹿児島中央」駅に停車中の九州新幹線N700系車両

3つの商業ゾーン

 人口約60万人と県総人口の3分の1以上を擁する一極集中型の都市である県都鹿児島市の商業地域は大きく3つのエリアに分けられる。①天文館地区、②「鹿児島中央」駅周辺、③市郊外部の商業施設である。①天文館地区は県内最大の商業ゾーンであり、老舗百貨店のほかアーケード型商店街や繁華街・歓楽街が集積している。②「鹿児島中央」駅周辺はエリアの規模こそ天文館地区に敵わないものの、近年駅ビルの増改築や市街地再開発事業等によりオフィス・店舗・ホテル・マンション等の床面積が増えつつある注目エリアである。③市郊外部の商業施設とは都市計画法の用途規制緩和などを背景として、市南部の臨海工業地域に開発された「イオン鹿児島ショッピングセンター」などで、これらの郊外型商業施設により鹿児島市の商業核が分散化するとともに商業軸の南下傾向が見られている。
 上記3エリアのうち、地価公示の最高価格地(「鹿児島5-16」1㎡当たり103万円)は①天文館地区にあるが、現在最も注目されているのは②「鹿児島中央」駅周辺である。バスターミナルなど駅前広場がある「鹿児島中央」駅前(桜島口)には地価公示や地価調査ポイントはないが、反対側の駅西口に地価公示「鹿児島5-19」があり地価の推移としては参考となる。当該地は地方都市においてもバブル崩壊の影響が顕著に見られ始めた平成5年(’93)に新設されたポイントであり、平成5年('93)当時の1㎡当たり67.3万円を過去最高とし、景気低迷の影響を受けて年々下落し続けていたが、平成15年('03)及び平成16年('04)(当年3月に九州新幹線「鹿児島中央」~「新八代」が部分開業)の1㎡当たり43.7万円を底に上昇基調に転じている。

大きなポテンシャル

 「鹿児島中央」駅周辺では、九州新幹線部分開業時にオープンした駅ビル「アミュプラザ鹿児島」が物販を中心にフードコートやフィットネスクラブ、アミューズメント、シネコンなどを擁し、大きな集客力を有している。「アミュプラザ鹿児島」は平成22年('10)から約1年かけて開業以来最大となる改装を実施し、売上高が200億円を超えて過去最高を記録するなど、九州新幹線部分開業効果と相まって好調に推移している。このほか隣接する駅ビルの増床や再開発ビルの竣工もあり、現在も地上14階・地下1階の再開発ビル(1階・地下1階バスターミナル・店舗、2~6階事務所、7階以上(仮称)鹿児島西鉄ホテル)が来春完成予定で工事中である。


左側の黒い建物が「鹿児島中央」駅
右側の観覧車のある建物が「アミュプラザ鹿児島」

 


市街地再開発-左からダイエーが核のキャンセビル
建設中の11番街区ビル・平成21年(’09)竣工の南国センタービル

 九州新幹線全線開業以降、新幹線利用客は増加しており、観光客も鹿児島市周辺地区や指宿地区を中心に着実に増加している模様である。開業前に起きた霧島新燃岳噴火や東日本大震災などの影響を受けて、外国人観光客が激減している状況にあり、現時点では開業効果の大きさを判断することは難しい。しかしながら、九州新幹線全線開業は鹿児島へのアクセスを向上させる大きなポテンシャルを有しており、観光面のみならずビジネス面などにおいても影響を与えるのは確実であり、天文館地区と「鹿児島中央」駅周辺の地価バランスのみならず鹿児島全体の地価動向に大きな影響を与えると思われる。

(次回の第11回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『宮崎』)

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