第12回 大分

大分駅周辺総合整備事業 ~中心市街地の再生~

第12回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年7月12日号(14面)掲載
日本不動産研究所 大分支所
不動産鑑定士 石田 恵子

駅南北を一体化へ

 現在、大分市の中心市街地では、「大分駅付近連続立体交差事業」、「大分駅南土地区画整理事業」、「庄の原佐野線等関連街路事業」を三位一体の事業(大分駅周辺総合整備事業)とする総合的なまちづくりが進捗中である。大分駅周辺総合整備事業は総事業費約1,900億円、大分県にとって100年に一度の大事業、戦後最大のインフラ整備とも言われており、同事業に対する県民の期待と関心は高い。
 県都大分市はJR大分駅を中心として、その周辺に都市の機能が集積して発展してきた。
 しかし、中心市街地である大分駅周辺地区の現状は、鉄道で南北に分断されており、踏切による交通渋滞の発生等市民生活に多大な支障をきたし、都市規模に見合った市街地の形成が著しく阻害されていた。鉄道の北側は、大規模な商業業務の集積した既成市街地であるが、南側は優良な立地であるにもかかわらず、街路は狭く、住宅のほかJR関連施設や大規模な空地が点在する寂れた風景が広がっており、北側市街地との一体的な発展が切望されていた。

 


シンボルロード予定地から見た大分駅南口

 大分駅付近連続立体交差事業は、鉄道を高架化することにより、南北市街地間の交通を円滑にすると共に、踏切事故の危険性を解消するための事業で、高架区間5.57km、除去される踏切は13である。事業期間は平成8年度(’96年度)~26年度(’14年度)、平成20年(’08)8月には豊肥本線・久大本線が高架開業し、日豊本線は平成24年(’12)春開業予定である。平成23年(’11)1月~6月には1日の交通量約5万台の県都交通の大動脈である国道210号大道跨線橋が撤去工事のため通行止めとなり、迂回路の利用による渋滞が発生する等、事業完成まで生みの苦しみは続いている。

 


高架化が進むJR日豊本線

 大分駅南土地区画整理事業は、鉄道の高架化に伴う道路網の再編を行うことにより、南北市街地の一体化を図ることや、駅前広場、中央を走る緑豊かな幅員100mのシンボルロード、都心近接型住宅地(商業・業務施設との共存地)等の整備が計画され、情報・文化新都心と位置づけらており、駅北側の中心市街地とは趣の異なる街の姿が浮かぶ。平成23年(’11)4月に核となる延床面積38,400 ㎡の複合文化交流施設(仮称)が平成25年(’13)のオープンを目途に起工した。大分駅南土地区画整理事業の概要は、施行面積49.6ha、公共用地率(施工前 16.48%、施工後 41.39%)、計画人口7,000人、事業期間平成8年度(’96年度)~26年度(’14年度)である。

駅ビル、期待と不安

 JR九州は大分駅の高架化に伴い、駅ビルを建設し、専門店を集めた「アミュプラザ」を平成26年(’14)中に開業する方針であることを発表した。駅ビルは延床面積約6万㎡の「アミュプラザ鹿児島」と同程度が計画されており、シネマコンプレックスやホテルの開業も検討されている。大分駅北では「大分パルコ」が1月末で撤退後空ビルのままであり、駅前商業地の衰退が懸念されていたが、駅ビル計画の具体化により、駅周辺の活性化への期待がかかる。その一方で、衰退著しい駅北の商店街からは、客足の流れを奪われるのではと不安の声も挙がっている。

 


大分県北側市街地とパルコが撤退して空室となったビル(手前右)

 平成23年(’11)地価公示における大分市住宅地の最高価格地は、大分駅南土地区画整理事業地区の中に所在する大分-10(大分市金池南2丁目)の141,000である。調査開始以来の最高価格地は、大分-7(中島中央2丁目)であったが、 平成19年(’07)に大分-10と同額の145,000となり、平成20年(’08)に初めて逆転し、平成23年(’11)では115,000となっている。

 中島地区は市内随一の高級住宅街としての品格は変わらないものの、規模が大きく総額が嵩むため需要が限定され、下落が続いており、大分-10の所在する大分駅南土地区画整理事業地区は需給の均衡により平成21年(’09)まで横這い(平成22年('10)同23年('11)は-1.4%)であったため逆転したと考えられ、大分市住宅地の最高価格地の今後の行方が注目される。

(次回の第13回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『熊本』)

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