第13回 熊本

新幹線開業、高まる期待 ~市施行 区画整理と再開発~

第13回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年7月19日号(12面)掲載
日本不動産研究所 熊本支所
不動産鑑定士 花田 宏治

新幹線効果は

 九州新幹線鹿児島ルートが平成23年('11)3月12日に全線開通し、九州南部と九州北部及び関西方面の時間距離が大幅に縮小した。全線開業から3ヶ月間(3月12日~6月11日)の利用状況についてJR九州によると博多―熊本間は約218万7000人と、前年同期の在来線特急の乗客数を35%上回ったが、全線開業前日に発生した東日本大震災の影響や平日のビジネス客の利用が伸び悩み、目標の40%増に届かなかった。月別の利用率では、3月は26%増、4月は34%増、5月42%増、6月38%増(11日現在)と上昇傾向にある。

 九州新幹線熊本駅の開業のほか、熊本駅周辺では、在来線の高架事業が進行中であり、熊本県及び熊本市ではJR九州関連の状況変化に対応して、「熊本駅周辺地域整備基本計画」を策定のうえ、熊本駅周辺の整備事業として都市計画事業熊本駅西土地区画整理事業(施行者:熊本市)や熊本駅前東A地区第二種市街地再開発事業(施行者:熊本市)を進めている。


新幹線開業から4ヶ月経過したJR熊本駅前

 このように社会的環境の変化が著しい熊本駅周辺であるが、地価に関連する情報として、去る7月1日に発表された平成23年('11)相続税路線価によると熊本駅前については、前年比で最大2.7%上昇した。ちなみに、県内の最高路線価は熊本市手取本町の下通(アーケードの電車通り側入り口一帯)で1㎡当たり127万円。前年に比べ6.6%減で、3年連続の下落。下げ幅は5.7ポイント縮小したが、最高だった平成4年('92)の580万円に比べると5分の1の水準に落ち込んだ。

熊本市中心市街地の再開発事業

 近年、住宅開発とモータリゼーションの進行とともに市街地外縁部で平成18年('06)頃より大型複合商業施設(GMS)の出店が相次ぎ、その煽りで下通りアーケードを中心とする熊本市の中心市街地では、買い物客の商店街通行量は右肩下がりで推移している。

 今のところ、下通りアーケード街で1階部分は長く空きが発生する状況ではないが、顧客の郊外流出は、九州新幹線の全線開業による影響も踏まえ、中心市街地にとって重要課題として考えられている。

 そのような状況下で中心市街地活性化の切り札として熊本市桜町再開発事業の設計着手が発表された。当該事業は平成19年('07)に構想が発表されて以降、リーマンショックによる世界同時不況等の影響で遅れいていたが、漸く具体的な動きとなったもので、再開発事業では、熊本交通センター一帯の2.8haにバスセンター・商業施設・ホテル・共同住宅・コンベンション施設などの複合ビルを建設する計画である。熊本市中心市街地においては、この桜町再開発事業のほか花畑地区の再開発事業も協議中であり、当該2つの再開発事業により、当面の中心市街地活性化策は概ね完了となるため、事業の更なる進ちょくとそれに伴う回遊性の向上に期待がかかっている。

 

(次回の第14回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『長崎』)

全国の地価動向マップはこちら

この地区の事業所はこちら