第14回 長崎

長崎県のよもやま話 ~長崎県・長崎市の分譲住宅事情~

第14回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年7月26日号(16面)掲載
日本不動産研究所 長崎支所
不動産鑑定士 萩野 和伸

梅屋庄吉と孫文

 昨年度の「龍馬伝」効果に続けと、長崎県は平成23年(’11)が辛亥革命100周年を契機として、指導者の孫文を物心両面から支援した長崎出身の人物「梅屋庄吉」を顕彰し、「孫文・梅屋庄吉と長崎」プロジェクトを立ち上げた。彼は、1868年長崎生まれ、貿易商・梅屋家に養子入りし、写真術を学んで写真館を経営するなど、香港に貿易商として地位を築いた。中国革命を企図した孫文に多額の資金援助をし、辛亥革命の成就に寄与しており、孫文に対する革命への資金援助額は、現在の貨幣価値で1兆円に及ぶとされる。

 長崎県は、平成23年(’11)秋頃から長崎歴史文化博物館で「孫文・梅屋庄吉と長崎」特別企画展の開催のほか、中国武漢の中山艦博物館で「長崎コーナー」の設置をしたり、ハウステンボスによる来春予定の長崎-上海観光フェリー就航との連携等を絡めた特別企画展のプレゼン等国内外からの交流人口の拡大を図りたい考えである。読者の皆様、是非長崎へ。

 
 

住宅事情

 戸建住宅:郊外住宅団地での低価格土地販売の開始

 長崎市内の主な戸建分譲住宅団地の残区画数は以下のとおりで、平成9年(’97)頃から大量供給が始まったが、ここ数年販売在庫区画数はほとんど減少しておらず、特に西部地区が著しく、慢性的な過剰供給が続いており地価下落の要因となっている。

(主な戸建分譲住宅団地の地区別残区画数(平成22年(’10)12月末時点))
①北部(緑ヶ丘)・中央部(けやき台、コモンシティ住吉の杜)・・・・61区画
②南西・南部(みなと坂)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・600区画
③東部(オナーズヒル長崎新山手、ガーデンシティ)・・・・・・・・・・・・292区画
④西部(マリンヒル三京、桜の里、鳴見の丘、豊洋台、夢が丘)・・647区画
⑤琴海(コスモヒル琴海、ライフタウン美咲野)・・・・・・・・・・・・・・・・・29区画

 

 以上、市場残区画数1,629区画、これに未販売在庫(豊洋台・桜の里計838区画)を含むと2,467区画となる。
 資料:西広「長崎都市圏住宅市場動向調査」 
 このような状況下、西部地区の桜の里では、447区画を大量取得した不動産開発業者による低価格再販売(土地のみ分譲で建築条件なし、現行坪単価8万円台が今回坪単価4万円台に値下げ)が実施された。
(概要:総販売区画数447区画のうち今回137区画)
・土地面積183~417㎡、販売価格149~636万円、最多300万円台63区画。
・今回の低価格販売が、周辺部の競合団地の販売価格の見直し、また、周辺部の既存住宅への影響が見られ、市況の回復はさらに遅れる感じである。

長崎港を眺める超高層分譲マンション建設ラッシュ

戸建住宅需要者を囲い込む市内中心部の分譲マンションでは、最近ホテル跡地、ディーラー跡地等まとまった敷地に超高層分譲マンションの建設が目立つ。販売業者等へのヒアリングでは、立地面、価格面、設備面、将来性等が他の物件と比較し優るため、購入者はモデルルーム等を内覧して即決定している。確かに、各物件とも長崎港あるいは水辺の森公園を望め、眺望は良好である。しかしながら、低層階は決して眺望が良いとはいえないものの、成約に至っている。上層階が6,000~8,000万円台程度の高額物件で、会社役員・医師等が購入者層に対し、その他の階は、2,000~3,000万円台で、価格を抑え、戸建需要者、退職者、老夫婦等をターゲットにした販売戦略が成功しているようであり、他の市内のマンションと比較し人気度は高い。

 


長崎市中心部では長崎港を望む超高層分譲マンションの建設ラッシュを迎えている。

(建設中・販売中の主な分譲マンションの概要)

  • MJR出島ベイサイドタワー RC19F、販売戸数52戸、完成平成25年(’13)3月
    価格:2,080~6,370万円、最多3,200万円台(7戸)、間取り:2LDK~4LDK
    平成23年(’11)7月10日抽選会実施、8割強の人気で長崎県内外の住民、買い替え組も多い。
  • レジデンシャル長崎駅前ベイサイドテラス  RC14F、販売戸数62戸、完成平成24年(’12)3月
    価格:2,650~7,330万円、最多3,000万円台(9戸)、間取り:3LDK~4LDK
    3ヵ月完売、購入者は長崎市内を中心に大村市、県外住民。退職者、買い替え組も多い。
    長崎駅前周辺整備地区に隣接し、将来の発展性が有望な場所。
  • ポレスタータワー出島水辺の森  RC20F、販売戸数112戸、完成平成23年(’11)3月、
    価格:2,090~8,100万円、最多3,000万円台(10戸)、間取り:2LDK~4LDK 
    ディーラー跡地の完成済み物件で、残り僅かの状況にある
  • プレミスト大浦海岸通  RC10F、販売戸数141戸、完成平成25年(’13)12月
    価格:未定、間取り:3LDK~4LDK
    ロケーションがベストのホテル跡地、平成23年(’11)9月販売予定だが、問い合わせは上々。

(次回の第15回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『佐賀』)

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