第17回 神奈川(川崎)

東京や横浜からも集客 ~開業5年 遊び心いっぱいの施設 川崎市・ラゾーナ川崎プラザ~

第17回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年8月23日号(12面)掲載
日本不動産研究所 横浜支所
不動産鑑定士 横井 広明

東芝跡地の大型再開発

 多摩川は東京都を横断しているというイメージが強いが、多摩川の河口付近は東京都と神奈川県の都県境で、南側はずっと川崎市だ。川崎市の市域は南東から北西に細長く伸び、JR南武線が川崎の一体感を支えるバックボーンのような存在になっている。川崎市は南東部と北西部で特性が大きく異なっており、東京湾に近い南東部が川崎独特の雰囲気を持った地域であるのに対して、内陸に位置する北西部は小田急線や東急田園都市線で都心に通勤するサラリーマン世帯が居住する住宅専用地域だ。
 川崎は人口約143万人を擁する大都市でありながら、北側が巨大都市東京に、南側が神奈川県の県都横浜に接していることから、この両大都市に挟まれて、川崎の存在感は希薄だった。かつて川崎市民の多くにとって、大きな買い物は東京か横浜に行くというのはごく自然な行動だった。
 ところが、これまで大企業の工場が立地していた川崎駅西口から、東芝や明治製菓の工場が移転し、広大な空き地が生まれることによって、状況は大きく変化した。まず、西口を降りて右側にソリッドスクエア、左側にミューザ川崎ができ、最後に駅正面の広大な敷地(東芝川崎事業所の跡地)に誕生したのが、「ラゾーナ川崎プラザ」だ。

渾然とした元気な街

 商業施設としてのラゾーナはいくつかの点でこれまで川崎駅周辺にあった施設と違っている。まずはその大きさ、7万㎡を超える敷地、17万㎡を超える建物面積は川崎駅周辺の商業施設のなかで突出している。もうひとつは駅前立地とは思えないような低層で遊び心に満ちた設計だ。川崎駅の改札口をでて、西口に進むと、目の前に広がるのはラゾーナの屋根のない広場で、広場内のステージではフリーライブがよく行われている。建物の中もとても明るくて開放感にあふれている。ラゾーナ開業5年。ラゾーナは川崎の何かを変えたと思う。いま川崎駅は川崎の南東部だけでなく、北西部からも人を集める。そのうえ、横浜市北部や東京の城南地区からも買い物客が川崎に訪れるようになった。


催し物でにぎわうラゾーナの広場

 


川崎駅西口改札

 そもそも川崎駅西口は工業都市川崎の発展の端緒となった場所でもある。川崎という街は多面的で複雑だ。渾然としているといってもいい。しかし、それが変化へのエネルギーになっている。いろいろあっても多摩川の南岸、川崎はなお元気なのだ。

 


都県境の多摩川を渡る京浜急行の電車

 

(次回の第18回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『千葉(我孫子)』)

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