第21回 栃木

栃木市・蔵の街とちぎ 歴史的・文化的資源を活かす ~地域資源活用のモデル~

第21回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年9月20日号(14面)掲載
日本不動産研究所 宇都宮支所
不動産鑑定士 永井 正義

「蔵の街」のまちづくり

 栃木市は、人口約14万人で、栃木県の南部に位置し、東京から鉄道や高速道路でも約1時間の距離にある。また、茨城、栃木、群馬、埼玉の4県の県境が接する稀有な地域でもある。
 栃木市は、江戸時代より例弊使街道の宿場町として、また舟運で栄えた問屋町として、北関東の商都と呼ばれた。京都から日光に至る例弊使街道が通る栃木の宿は、東照宮に参拝する西国の諸大名も通り、賑わいを見せた。この例弊使街道の一部が今の中心街をなす大通りや嘉右衛門町通りであり、その両側には黒塗りの重厚な見世蔵や、白壁の土蔵群が残り当時の繁栄振りを偲ばせている。
 栃木市ではこれまで、「蔵の街とちぎ」として、このような歴史的・文化的資源を活かしたまちづくりに積極的に取り組んでいる。
 旧日光例弊使街道沿い及び巴波川沿いを中心に、「歴史的町並み景観形成地区」を指定し、「町並み修景ガイドライン」を定め、地域の特色を生かした町並みづくりを誘導してきた。また、大通りのシンボルロード整備事業による電線類の地中化、巴波川の浄化対策や遊歩道整備等を行うなどのインフラ整備等も実施しており、市民と行政が一体となって歴史的町並み景観形成を推進してきている。さらに、整備された大通りや歴史的建造物、巴波川を活用して、市民団体等による四季折々の多彩な祭り・イベントが開催されており、交流人口の増加や商業の活性化に寄与している。


歴史的建造物が立ち並ぶ大通り沿い

 


浄化された巴波川沿いの川面に映える、倉のある街並みが美しい

 このようなまちづくりへの取り組みが評価され、平成21年度('09年度)の都市景観大賞「美しいまちなみ賞」では、栃木市の「歴史的町並み景観形成地区」が最高賞である「美しいまちなみ大賞」を受賞している。
 栃木市では現在、「歴史的資源を活かしたまちづくり」をさらに充実したものにするため、「栃木町地区」と「嘉右衛門町地区」の2地区について、文化財保護法における「伝統的建造物群保存地区」の指定を目指している。

魅力を県内外にアピール

 「蔵の街とちぎ」では、まちの情報発信及び観光客誘致にも積極的に取り組んでいる。
 市民団体及び行政等が連携して「とちぎフィルム応援団」を組織し、映画・テレビ・CM等の栃木市内で行われるロケーション撮影を支援し、メディア等を通じて「蔵の街とちぎ」を全国的にPRしている。また、「蔵の街とちぎ」を散策する旅行会社のパックツアーに栃木市と鉄道会社が企画協力し、東京方面からの観光客誘致を推進している。
 市民が自らの街に愛着と誇りを感じていることが伺え、市民と行政が一体となってまちづくり及びまちの活性化に取り組んでおり、地方都市における地域資源活用のモデルとして、「蔵の街とちぎ」の今後のさらなる発展が期待される。

(次回の第22回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『前橋』)

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