第26回 松本市、安曇野市

NHK朝の連続テレビ小説「おひさま」の舞台は今・・・~歴史と伝統を生かす~

第26回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年10月25日号(14面)掲載
日本不動産研究所 松本支所
不動産鑑定士 宮原 一繁

 9月21日の地元新聞に下記のような記事が掲載されました。
 安曇野市は、20日、NHK連続テレビ小説「おひさま」(10月1日終了)の市内への経済波及効果が、5~8月の4カ月間で24億4000万円に上がったことを明らかにした。日帰り、宿泊を合わせた観光客数は前年度比32.5%(延べ50万7900人)増となり、東日本大震災の影響で伸び悩む観光地が多かった中、好調な結果となった、と・・・。

 連続テレビ小説の効果は、極めて大きいようです。「おひさま」は、戦争をはさんで日本人が生き抜いてきた昭和という激動の時代の中での、ひとりの女性の一代記です。派手さはありませんが、閉塞感が強まる現在において、生きることに共感を感ずることが、人気の源のように思えました。そこで今回は、「おひさま」の舞台である松本市と安曇野市の現状について紹介致します。

Ⅰ松本市

(1)松本城周辺整備の取り組み

 
 松本城の南大手門枡形の復元整備が計画されている地区

 「歴史的風致」を維持保存するための重点区域は、松本城を中心として約200ヘクタールの範囲です。松本城天守・旧開智学校など、国・県、市が指定している文化財が16件あるほか、あめ市・ぼんぼんと青山様などの行事が現在も行われており、歴史的風致が重層的に存在しています。今後の計画には、松本城南・西外堀の復元事業、松本城南大手門枡形周辺整備、かぎの手や丁字になった道路の形を保全する事業などが挙げられています。

 市は歴史や伝統を生かした景観形成・伝統行事・文化財の保存は、観光都市としての魅力が高まる効果に繋がるとし、国宝松本城がある市として、城を中心としたまちづくりを基本としています。具体的には、平成23年度('11年度)予算では、「松本城周辺整備の取り組み4事業」として、27,144万円計上しています。大型公共事業には慎重な姿勢を示してきた現市長ですが、2期目の最終年度に当たり、城と城下町の再生に手を付ける意思を明確にしました。

(2)商業施設再開発の動向

 
 再開発の核となる老朽化した商業施設カタクラモール

 今年8月、片倉工業(東京)は、カタクラモールを中心とする一帯の社有地8ヘクタール余について、全体の開発の検討を始めることを明らかにしました。片倉工業の社有地はカタクラモール(4.1ヘクタール)、社宅・駐車場(0.8ヘクタール)、同社生物科学研究所松本分室(1.2ヘクタール)、スマイルホテル松本・駐車場(2.2ヘクタール)で、いずれも市街地辺縁部にまとまって所在しており、相乗効果を生み出してエリアとしての集客力を高め、より有効な活用に繋がる開発を目指すとしています。現段階では、具体的な開発構想や事業規模は未定ですが、老朽化したショッピングセンターは、平成28年('16)秋開業をめどに建て替える計画です。

 建て替えに先行して、周辺の社有地を段階的に開発していく予定です。この計画に対し、地元経済界からは、「松本駅を中心とした中心市街地の商店街の衰退に繋がるのでは」と懸念する声もあり、再開発は市街地の将来像を左右するインパクトをもっています。そのため地元・行政との調整によっては、開発内容が変わる可能性もあります。

Ⅱ安曇野市

 安曇野市は、平成17年('05)10月1日に、豊科町・穂高町・三郷町・堀金村・明科町の4町1村が合併し誕生しました。合併後6年目ですが、次の作業に取り組んでいます。

(1)土地利用基本計画について

 4月から新たな土地利用制度を導入しました。旧町村ごとに異なっていた土地利用のルールを統一することが目的です。豊科地域には、都市計画の線引き制度が残るため、当面は「1市2制度」の適用になります。また、穂高地域は非線引き地域ですが、用途地域が設定されています。

(2)本庁舎建設計画について

 
 豊科近代美術館隣りの本庁舎建設予定地
(参考資料:“地元の”「信濃毎日新聞」)

 いままで、合併前の旧庁舎を利用した分庁方式で行政を行ってきましたが、平成22年度('10年度)市議会で、合併特例債の期限内(平成27年度('15年度))での建設が可決されました。具体的には、市有地と新たに買収する私有地計1万7622平方メートルに建てる予定です。用地買収費6億3千万円余、立ち退きなどの補償料は4億2千万円を想定しています。長野自動車道豊科I.Cまで、車で10分程度に所在し、恐らく全国で最も高速道路のインターに近い市庁舎になると思います。

 

(次回の第27回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『東京(日本橋)』)

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