第27回 東京(日本橋)

再興へ地元の動き急~都市再生特区 開発と保存併用で~

第27回全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~ 
住宅新報2011年11月1日号(14面)掲載
日本不動産研究所 コンサルタント部
不動産鑑定士 中原 洋一郎

 日本橋は東京都中央区の日本橋川に架かる橋の名称であり、その周辺地域の名称でもある。橋としての日本橋は徳川家康時代の木造の橋を起源とし、現在の石造二連アーチ橋は平成23年('11)に架橋百周年を迎えた。日本橋が架かる中央通り沿いの地域は、江戸時代には越後屋・白木屋などを始めとした大店が建ち並び江戸職人が闊歩する江戸一の商店街であり、周辺の魚河岸・芝居小屋・金座などとともに町人文化の中心地であった。その後も大正12年('23)の関東大震災、昭和20年('45)の東京大空襲といった天災、戦災を乗り越えて発展してきたが、近年、丸の内・六本木などと比較してまちづくりに後れを取り、相対的な地盤沈下に見舞われたことは否定できない。このような状況を受けて、最近の日本橋地域では地元企業等を中心に地域の再活性化を目指す動きが急である。

 日本橋復興の先駆けとなったのが、平成16年('04)に日本橋1丁目に竣工した「日本橋一丁目ビルディング」(延べ床面積9万8千㎡、コレド日本橋)である。当該地は東急百貨店日本橋店(旧白木屋)の跡地であり、日本橋復興に向けた象徴的な出来事であった。現在、当該地の向かいの日本橋2丁目では延床面積約33万㎡の事業が計画中であり、都市再生特別地区の都市計画が提案されている。


日本橋2丁目の開発予定地。奥に見えるのが「コレド日本橋」

 


日本橋の上から日本橋室町方向をのぞむ

 

 
 左が三越本店、三井本館、右がコレド室町

 一方、日本橋室町地区では、平成17年('05)には「日本橋三井タワー」(延床面積約13万4千㎡)が、平成22年('10)には「室町東三井ビルディング」(延床面積約4万1千㎡、コレド室町)及び「日本橋室町野村ビル」(延床面積約4万6千㎡、ユイト)が竣工し、1-5街区(延床面積約3万㎡)及び2-3街区(延床面積約6万3千㎡)が平成25年('13)に竣工予定である。また、周辺ではこの他にも多数の建替えが進捗中であり建築ラッシュである。日本橋室町地区は、日本銀行本店、三井本館、三越本店本館などの歴史的建造物のほか、乾物、果物、刃物、鰹節などの江戸時代以来の老舗が軒を並べる地区である。

 そのため、上記の再開発ビルも単純なオフィスビルではなく、低層部の高さを歴史的建造物群と同じ31mに揃えたほか、不足気味な駐車場の整備、歴史のある神社や街路・地下道の整備を活用した賑わいスペースの創出等の工夫がなされている。また、入居する施設も、外部から誘致した店舗と当地区に古くから残る老舗店舗、さらには外資系ホテル、多目的ホールからエンターテイメント施設まで、新旧・各種の施設が一体となって、江戸時代と同様の複合的な商業地域を再興することを目指している。

 現在、わが国はリーマンショック以降の経済低迷に加えて、東日本大震災による大きな経済的・精神的な痛手を負っている。不動産の投資環境も必ずしも良好とは言いがたいが、このような経済環境下においても官民地元が一体となって地域の再活性化を進める姿には勇気づけられるものがあると感じる。

 

(次回の第28回:全国まち・住宅・不動産 ~話題のスポット~は『北海道(ニセコ)』)

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