第1回 仙台

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つむじ風が去った後に~投資ファンド資金の流入と撤収~~

第1回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~
住宅新報2010年4月6日号(12面)掲載
日本不動産研究所 東北支社
不動産鑑定士 岡 淳二

「活気がありますね」

久しぶりに仙台を訪れた人は仙台駅前に立ち、街並みの変化に驚き「仙台は活気がありますねぇ」と口を揃えて言う。

確かに駅前右手には「パルコ」が入る仙台マークワンビル(写真1①)が、そしてその背後には「IDC大塚家具」の入るソララプラザや東京建物仙台ビル(写真1②)が、また正面青葉通りの先には「みずほ銀行」が入る超高層ビル仙台ファーストタワー(写真2③)がそれぞれここ数年で相次いで竣工した。

そして左手後方にひときわ目立つ仙台一の超高層ビル37階建仙台トラストタワー(写真2④)が今月末に竣工を予定し、すっかり街の景色も変わった。しかし、本当に仙台は活気のある街なのだろうか。

宮城県における地価公示の最高価格地(写真1,2⑤)は仙台駅からペデストリアンデッキで直結する駅前青葉通り沿いにある。 


写真1(仙台駅より駅前通り北側を望む)

 


写真2(仙台駅より青葉通りを望む)

 

バブル絶頂期の平成3年には㎡当たり1350万円だったものが14年間下がり続け平成17年には171万円と約8分の1まで下落したが、平成18年前後から、国内外の潤沢な不動産投資ファンドが次々に仙台にも流れ込み、地元ではとても成立しないような高値で取引され、その影響から平成20年には325万円と3年間でほぼ倍近くにまで高騰し、その年の上昇率は40.1%と全国一となった。しかし、その後の世界的金融危機の影響で投資の波は一気に引き、地価は一転下落に転じ今年は255万円とこの2年間で20%を超える下落となっているが、まだ下げ止まりの兆候は見えない。

もともと今回の地価上昇は、投資ファンドに大きく振り回された感が強く、「地元の実感無き地価上昇」というところに一番大きな問題があったわけだが、この大きな「つむじ風」が吹き荒れた後に残ったものは、需給動向の見誤りから起きた過剰供給のツケによる明かりのつかない新築ビル群だ。

限られたパイの中で

仙台市内のオフィスビルの空室率は20%を超える勢いで上昇し、特に新築ビルでは70%台ととんでもない状況となっており、限られたパイの奪い合いから賃料の値引き合戦も熾烈だ。そのため駅前周辺で予定されていたいくつかの再開発事業も今は動きが止まっている。トヨタ関連工場の宮城県進出や地下鉄東西線の平成27年度開業予定等明るい話題もあるが、仙台の夜にビルの明かりが煌々と輝く日はまだまだ遠い。

(次回の第2回にっぽん「地価一番」物語は『青森』)

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