第7回 銀座

街が生まれ変わるとき~開発ラッシュの波~

第7回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~
住宅新報2010年5月18日号(12面)掲載
日本不動産研究所 東京事業部
不動産鑑定士 粕谷 孝治

ファストファッション進出

H&M(写真①)、アバクロ、フォーエバー21など、聞き慣れない横文字。これらは近年銀座の中央通りに出店した低価格を柱としたファストファッションブランドだ。中央通りといえば数年前までルイ・ヴィトン、シャネルなどの高級ブランドの出店が目立ったメインストリート(写真②)。

最近はこうした銀座の中心にも大きな変化が現れている。平成22年(’10)の地価公示では銀座はいずれも25%を超える下落率で、全国の下落率上位3~5位が銀座だ。これほどの地価下落は実に14年ぶりとなる。

バブル崩壊以降、平成12年(‘00)頃まで地価下落が続き、その後は高級ブランドの出店需要や良好な不動産マーケットを背景に平成20年(’08)頃まで地価は上昇し、銀座は大きく息を吹き返した。

 


写真①銀座の象徴 H&M


写真②高級ブランド店が連なるメインストリート

しかし、昨今の経済環境の悪化・高額品への購買意欲の減退は、銀座に大きな衝撃を与えた。ルイ・ヴィトンの出店計画の撤回、中央通りの高級ブランド店の相次ぐ閉店。さらには西武有楽町店の営業終了というニュースまで飛び込んできた。一方、こうした高級ブランドや百貨店の動きを尻目にファストファッションブランドの出店攻勢は続く。来年秋にオープン予定のギンザコマツビルにはユニクロが出店する。こうした高額品の売上不振の影響が、顕著な地価下落をもたらし、ファストファッションブランドの出店を加速させている。

外国人観光客への対応


写真③銀座4丁目交差点と和光

最近の銀座でもう1つ目につくのは外国人、とりわけ中国人観光客の多さだ。まさに観光地である。最近では中国人観光客の多くが利用する銀聯(ぎんれん)カードの導入が多くの店舗で進み、売上げにも寄与している。年々増加する海外からの観光客を重要な顧客として捉え、海外マネーをいかに取り込むかが銀座の重要な課題でもある。

銀座は一つの節目を迎えた。先のファストファッションブランドの出店攻勢や観光客の増加は、客層を急速に変化させている。銀座は商品や客層の差別化による敷居の高さを売りにしてきた。そうした環境が付加価値を生み、日本一の地価を維持してきた原動力でもある。それがカジュアル化が進む中で、徐々にその敷居が低くなっていかないかと心配する声も聞く。急速に変化する現状と向き合った上で、今まで築いた「銀座」というステイタスをいかに保っていくか(写真③)。

今後の銀座の地価を推し量る上で最も重要なファクターではないか。

(次回の第8回:にっぽん「地価一番」物語は『近畿梅田』)

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