第8回 梅田

街が生まれ変わるとき~開発ラッシュの波~

第8回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~
住宅新報2010年5月25日号(12面)掲載
日本不動産研究所 近畿支社
不動産鑑定士 大塚太郎

話題の大型ビル竣工

大阪市の中心・梅田地区は未曾有の開発ラッシュを迎えている。オフィスではこの5月、地下2階地上41階の「梅田阪急ビルオフィスタワー(写真①)」が竣工した。同ビルは百貨店と一体型のオフィスで、現在の大阪市内で注目度ナンバーワンのビルである。地上階では5基の80人乗シャトルエレベーターが口を開け、15階のスカイロビーまでオフィスワーカーを運んでいく。圧倒される光景だが、同ビルをもってしても竣工時稼働率は3割で、現在の大阪オフィス市況を物語っている。このような状況において、同ビルの東隣では今秋「大阪富国生命ビル(写真②)」が、西側ではJR大阪駅を挟んで平成23年(’11)に「ノースゲートビルディング」が竣工を控えている。

    
梅田阪急ビルオフィスタワー           次々に新ビルができる梅田地区           

さらに、「大阪都心部に残された最後の一等地」との呼び声が高い「梅田北ヤード」の先行開発区域(東地区)が、1年半以上の延期を経て平成22年(’10)3月末に着工し、平成25年(’13)3月に竣工予定となっている(写真③)。


工事が本格化してきた「梅田北ヤード」

大阪市の現在のオフィスの空室率は名古屋・福岡・仙台など他の政令指定都市と比較して低いが、これらの都市でのオフィスの新規供給が一段落したのに対して、大阪市では「もう一段の大きな供給の波」が待っている。梅田北ヤードでは残る開発用地・西地区の動向も注目されており、「最後の一等地」の利用方法に注目が集まっている。
また、百貨店についても、消費低迷の影響を受け前年売り上げを下回る状況が続いている中、「JR大阪三越伊勢丹」の新規出店、「大丸梅田店」の増床、「阪急百貨店梅田本店」の建替え(Ⅱ工区)などが目白押しであり、激戦区になることは必至である。

このように一連の開発や増床計画により、事務所床の供給過多や百貨店の過剰競争等の不安定要素が強まることは間違いないが、長期的には業務集積度・繁華性等の梅田地区の求心力が高まることが期待される。それは「街が生まれ変わる時」の「生みの苦しみ」といえるのかもしれない。

東アジアへのアクセス

梅田地区は、都市間鉄道により京都・神戸をはじめとする関西主要都市と30分以内で結ばれる関西広域中枢拠点である。予定されているJR東海道支線の地下化や、新駅の設置により関西国際空港とのアクセスが強化され、東アジア経済圏に対するアクセスの向上が図られることにより、日本のみならずアジアを中心とした海外に注目される商業中心地としての発展が期待される。

(次回の第9回:にっぽん「地価一番」物語は『大津』)

この地区の事業所はこちら

全国の地価動向マップはこちら