第11回 神戸

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復調と変化の兆し~旧居留地周辺、象徴的動き~

第11回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~                                                  
住宅新報2010年6月15日号(12面)掲載
日本不動産研究所 神戸支所
不動産鑑定士 伊藤直孝

地元老舗店は一部に

神戸市の地価公示の最高地は市内随一の繁華街・三宮センター街東入口付近(写真①)にある。アーケード街に軒を連ねる店舗は、外資系や地元アパレルメーカーの衣料品店や全国チェーンのドラッグストアなどが中心だ。

該当地の地価は平成3年(’91)の1㎡当たり2,860万円をピークにバブル崩壊後長らく下落基調で推移していた。

しかし、不動産投資ファンド資金の流入・新興ディベロッパーの積極的なマンション用地の取得が始まった平成18年(’06)には久しぶりに上昇に転じ、平成19年(’07)及び平成20年(’08)は年率20%を超える水準で上昇した。

この地価上昇期はREITによる不動産取引が活発化した時期で、三宮センター街東入口の南東側にある三宮三和東洋ビルは取引総額83.9億円、純収益ベースの取引利回りが4.4%という非常に過熱した水準で取引された。

 


(写真①)三宮センター街東口入口付近

また、平成18年(’06)2月に神戸空港が開港し、市内中心部で潜在的な宿泊需要の増加が見込まれていたことや、神戸市の施策でウォーターフロントの良質な土地が複数供給されたこと等と相まって、ファンド資金はホテルの建設資金にも積極的に流れ込み、平成20年(’08)当初は市内中心部で7つのホテルが新たに供給される予定であった。

しかし、折しも世界的な金融危機による投資資金の流出から平成21年(’09)の地価公示価格は再び下落に転じ、平成22年(’10)は下落率が拡大した。建設予定であったホテルも金融危機の影響による資金調達難などで工事を中止する事業者が相次ぎ、結局現時点で開業に至ったのは4つのホテルにとどまっている。

複合施設開業による賑わい


(写真②)今春開業した複合商業施設
「神戸旧居留地25番館」


(写真③)ユニクロが入居したビル

 

最近の市内中心部の不動産取引は、従来の不動産投資ファンドや新興ディベロッパーはなりを潜め、地元企業による実需を伴った堅実な取引が中心である。

また、三宮センター街と並ぶ商業地で高級ブテックが軒を連ねる旧居留地内では、三井不動産によるホテル・高級ブティックからなる複合商業施設「神戸旧居留地25番館」(写真②)が今春開業し、導線沿いの飲食店舗は店舗面積を拡大するなど、賑やかさを増している。

このように、市内中心地では少しづつではあるが明るい材料も散見されるようになっている。また、大丸神戸店の対面には今春ユニクロが新規出店(写真③)した。

神戸を代表するアパレルメーカーが所有するビルにおける自社ブランド店の閉店→ユニクロの出店という構図は、最近の消費嗜好の変遷を表すという意味で象徴的である。出店立地は中国人を中心に外国人観光客も多く訪れる南京町にも近いことから、ユニクロの外国人観光客を狙った出店意欲もうかがえる。

低価格衣料品店の出店は高級店一色であったこれまでの旧居留地周辺の街並みにも変化を与えることになりそうである。

(次回の第12回:にっぽん「地価一番」物語は『奈良』)

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