第15回 那覇

沖縄を代表する「観光施設」 ~進まない中心部の高層化~

第15回にっぽん「地価一番」物語 ~全国の中心市街地はいま~        
住宅新報2010年7月13日号(12面)掲載
日本不動産研究所 那覇支所
不動産鑑定士 干場浩平

1階と2階の賃料格差

沖縄本島を訪問する観光客が必ず訪れる観光スポットが「守礼門」(写真1)と「国際通り」(写真2)だ。家族連れ、修学旅行、パック旅行の熟年層、アジア各国からと、そのにぎわいが衰える様子はない。

国際通りは、昭和期に県都那覇を代表する商店街として発展してきた。県内全域から買い物客を集める一大繁華街だった。しかし、自動車の普及と共に、中心商業地としての機能は郊外にシフトし、県民が国際通りに買い物に訪れる機会は減った。一方で、観光客は増加して、一般の商店は土産物店へ、デパート、映画館はホテルなどへ姿を変えて、今では国際通り自体が沖縄県を代表する「観光施設」となった。

国際通りを歩くと、1階は土産物店が立ち並んで空店舗はほとんど見られないが、2階以上の上層階の空室が非常に多いことに気付く。観光客は目にとまった店舗に立ち寄るだけで、視認性に劣る上層階の店舗に誘導することが非常に困難なためである。店舗賃料も階層ごとの収益性を反映し、2階部分の賃料水準は1階部分の3分の1以下と言われている。

今のところ、上層階を有効に活用できる用途はホテル以外に考えられない状況だが、中心部には狭小地が多いため、ホテルの開発にも困難を伴う。

中心部の1階店舗は高い収益を上げているため、再開発の際、地権者の合意形成、権利関係の調整に時間がかかる。準備段階で外部環境が激変し、開発が頓挫する可能性が高いのである。国際通り西端の「パレット久茂地」、東端で現在進行中の「さいおんスクエア」などの実績はあるが、中心部で土地の取りまとめに成功した例は少ない。

その中で、映画館、デパートなど比較的広い土地が撤退した跡地ではここ数年、「宿泊特化型ホテル」の竣工が相次いでいる。国際通り中心部では平成18年(’06)に「ホテルJALシティ那覇」、「ホテルパームロイヤルNAHA」、平成20年(’08)には「ホテルロコアナハ」がそれぞれ竣工した。


(写真)平成20年に竣工したホテル

 


(写真1) 沖縄の代表的な観光名所「守礼門」


(写真2) 人通りが絶えない国際通り

那覇市への観光客数とホテルの客室稼働率を比較すると、観光客は増加する一方で、客室稼働率は平成18年(’06)頃から低迷。これは新規ホテルが大量に供給されたことが原因で、開業ラッシュに観光客の増加が追い付いていない現状を表している。

今なら割安料金設定

今年の沖縄県へのツアー料金は、航空運賃が低下していることに加え、各ホテルでも従来に比べて割安な料金設定を行っているため、全体的に割安感があるものが増えている。

沖縄県を訪問する観光客の数は平成21年(’09)を底に回復傾向にある。そのため、数年後には従来の料金設定に戻る可能性もある。今年は、観光客にとって格安で沖縄旅行を楽しむチャンスと言えるだろう。

(次回の第16回:にっぽん「地価一番」物語は『鹿児島』)

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