不動産研究 54-2

第54巻第2号(平成24年4月) 特集:東日本大震災と不動産(2)-復興への取組と課題

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第54巻第2号

特集:東日本大震災と不動産(2)-復興への取組と課題

宮城県の復旧・復興への取組状況 

宮城県震災復興・企画部

 本稿は、 東日本大震災による宮城県の甚大な被害及び復旧・復興の状況をまとめたものである。 また、 昨年10月に策定した 「宮城県震災復興計画」 の基本理念や復興のポイント等の概要を示すとともに、 被災地における土地取引状況や、 復興に向けての課題や今後の取組について紹介する。

復興支援に建築家が関わる意義:アーキエイドの活動から

小野田 泰明

東日本大震災における地震災害の特徴と市場への影響-不動産市場と生産現場における被災状況と地震リスクについて-

安藤 廉

 東北地方太平洋沖地震は、 三陸海岸から茨城県に至る長大な沿岸地域に巨大な津波が襲い、 未曾有の大災害となった。 その後発生した福島第一原子力発電所事故はいまなお収束のめどがたたず、 大きな社会問題となっている。 また海岸埋立地や河川沿いの沖積地に発生した液状化は、 かつてない規模に及び、 大きな地盤災害をもたらした。 しかし地震規模の大きさに比べて、 建物の大きな被害は比較的少なかったことが地震後の調査で明らかになっている。 本稿では東北地方太平洋沖地震の特徴を検証し、 今回の被災状況から今後の地震リスクマネジメントについて考えてみる。

 

キーワード :地震災害、 液状化、 耐震性能、 PML、 BCM

 

判例研究(94)

不動産競売における評価人の土壌汚染調査義務-東京地判平成23年1月31日判タ1349号80頁-

阿部 満

 不動産競売において売却された土地の土壌汚染の事実が、 評価書、 現況調査報告書、 物件明細書に記載されていなかったことについて、 競売による土地取得者が、 評価人、 執行官、 及び裁判所書記官の過失によって損害を被ったとして、 国に対し国家賠償法1条1項に基づき損害賠償請求した事例

調査

国産材素材需要の定着と山林素地及び山元立木価格の動向-平成23年調査結果をふまえて-

松岡 利哉

 バブル経済の崩壊以降、 経済活動や住宅需要の縮小等により、 素材需要が右肩下がりに減少する時代になっている。 世界に目を向けると、 中国等の新興国の木材需要の拡大、 南洋材・北洋材の供給力低下により世界の木材需給はひっ迫しており、 平成23年は歴史的な円高水準にあったにもかかわらず、 外材素材輸入量は減少している。 構造的に低迷している住宅着工戸数は、 平成22~23年においては低金利や各種税制等政策効果等により持ち直し傾向が継続した。 このような状況に対応して川下の製材工場等は素材の安定調達を見込んで国産材利用に軸足を移しつつある。
 平成23年3月末現在における山元立木価格は、 素材価格が強含みにあったことから、 昭和55年以降で最大の上昇率を2年連続で更新した。
 
本稿では、 木材需給を取り巻く情勢と国産材素材需要の定着に視点をあわせて、 当研究所が 「山林素地及び山元立木価格調」 として平成23年11月1日に発表した内容に加えてその後加工分析した内容をあわせて紹介する。

 

キーワード :山林素地価格、 山元立木価格、 国産材素材需要の定着

 

東京都心3区におけるオフィスビルの取壊と建替の動向

菊池 慶之 手島 健治

 本稿は、 オフィスビルの取壊とその後の建替動向の特徴を、 東京都心3区を事例に検討したものである。 オフィスビルの取壊は、 オフィスビルの大量供給が話題となった2003年頃から増加し始めたが、 取壊データの制約によりその分析事例は少ない。 そこで本稿では、 全国オフィスビル調査のデータを基に東京都心3区における5,000㎡以上のオフィスビルの取壊と建替を捉えるとともに、 より詳細な状況を把握するため日本橋堀留町におけるすべての取壊ビルの建替動向を分析した。 検討の結果、 取壊ビルの大部分は建築年が1970年代以前となっており、 1981年に導入された耐震基準が取壊に大きな影響を与えていること、 また取壊後の建替ビルの多くはオフィスとして再建されているものの、 交通利便性に劣る立地や規模の小さなビルでは共同住宅に用途転換されるビルも多いことが明らかになった。

キーワード :全国オフィスビル調査、 東京都心3区、 取壊、 建替、
耐震基準、 共同住宅

 

オフィスビルの建築経過年数が不動産価値に与える影響調査
- 不動産投資家調査 特別アンケートの調査結果-

小松 広明

 本稿では、東京都心部を対象として、 オフィスビルの 「建築経過年数」 が不動産価値形成に与える影響について調査し、 ビルのグレード別にその特徴を明らかにした。 具体的には、 Aクラスビルでは、 投資対象としての 「建築経過年数」 の許容限界は25年であり、 B・Cクラスビルでは20年であった。 B・Cクラスビルでは、 建物の老朽化に伴う今後の維持管理費・修繕費等の支出の増加に加えて、 テナントの築古ビルへの抵抗感が指摘されている。 一方、 Aクラスビルでは建物設備の機能性低下に伴う更新費・改修費等の増加が見込まれるものの、 リニューアル工事によって、 当該機能性が改善され、 賃料及び稼働率の上昇が期待されている。 こうした認識の違いが、 オフィスビルにおける 「建築経過年数」 の許容限界に相違をもたらしていると考えられる。

キーワード :オフィスビル、 建築経過年数、 不動産投資家調査

 

海外論壇

The Appraisal Journal Fall2011

外国鑑定理論実務研究会

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