不動産研究 52-1

第52巻第1号(平成22年1月) 特集 : 価格等調査のガイドライン

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第52巻 第1号

新しい年を迎えて

五十嵐 健之

特集 価格等調査のガイドライン

価格等調査ガイドラインの策定について

山田 道昭

不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン(以下「価格等調査ガイドライン」という。)が平成21年8月に国土交通事務次官より国土交通大臣登録不動産鑑定業者等へ通知されたので、その内容について解説する。

証券化対象不動産の継続評価の現状について

溝越 祐輔

不動産証券化は、バブル崩壊後下落の続いていた地価の反転過程において重要な役割を果たしながら成長を遂げてきた。しかし、昨今の世界的な金融危機と信用収縮の影響により、不動産証券化を取り巻く環境も厳しいものになっている。物件の売買が減り、これに伴う鑑定評価が減少する一方で、不透明な市場見通しや会計基準の改正等を背景に、継続評価へのニーズや注目はむしろ高まってきている。本稿は、こうした現状や昨今の国土交通省による検討状況等を踏まえ、証券化対象不動産の継続評価の現状を概観するものである。

キーワード :デューデリジェンス、不動産証券化、J-REIT

日本不動産鑑定協会策定の実務指針・業務指針

松浦 隆康、井野 好伸

日本不動産鑑定協会は、会長直轄の「制度見直し検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、不動産鑑定評価部会報告書及び国土交通省のガイドラインと整合性を図りながら、自主的に各種指針を取りまとめ、意見募集を実施した。寄せられた意見を踏まえ、一部原案を修正したのち、全国で研修会を開催し、周知徹底を図ったところである。
本稿は、協会が策定した各種指針の体系的整理と内容の解説である。
今回の試みは、業界団体としては初めてのことであり、実施に当たって、実務上の不備等が生じるような場合には、今後、必要に応じて、見直しを行っていくつもりである。

判例研究(86)

居住用建物の賃貸借契約における更新料特約の効力 -大阪高裁平成21年8月27日判決、大阪高裁平成21年10月29日判決-

中原 洋一郎

近年、居住用建物の賃貸借契約における更新料特約が、消費者契約法10条に該当し無効であるか否かを判示する判決が相次いでる。更新料特約を無効とする初の判決は平成21年7月23日の京都地裁判決であるが、その後8月27日に大阪高裁にて、9月25日に京都地裁(3件)にて無効判決が続いたあと、10月29日には大阪高裁にて有効とする判決が示された。
 本稿では、これらの判決のうち、異なる結論が示された二つの高裁判決を紹介する。

キーワード :賃貸借契約、更新料特約、消費者契約法

調査

最近の不動産投資市場の動向について -第21回不動産投資家調査結果(2009年10月1日現在)をふまえて-

廣田 裕二、菊池 慶之、林 述斌

日本不動産研究所は、21回目を数える「不動産投資家調査」の結果を11月19日に発表した。  今回のアンケートは国内では民主党政権の成立による内需拡大への期待と今後の政策への不透明感が相半ばし、海外では各国の財政出動による景気浮揚の兆しと歴史的な円高ドル安の進行による輸出環境の悪化が台頭する中で実施された。今回のアンケートの特徴は、以下の4点に集約される。

  • 不動産への新規投資に積極的との回答の割合は、第17回(2007年10月)をピークにその後連続して下落し、前回45%にまで減少していたが、今回は60%へと回復した。逆に、新規投資を控える投資家も、前回50%に達したが、今回は31%へ減少し新規投資意欲は回復基調にある。
  • 投資対象不動産の利回りに関しては、前々回、前回と大幅な上昇傾向を示していたが、今回はほとんどの用途・地域において上昇幅が縮小し、特に東京都内の賃貸住宅ではほぼ横ばいとなった。
  • 今後のオフィス賃料水準の予想は、前々回から前回にかけて急速に悪化していたが、今回は東京都内で下落予想が減少、政令指定都市では前回よりほぼ横ばいの予想となった。
  • 丸の内・大手町地区の期待利回りは、第17回(2007年10月)をピークに、その後、上昇傾向が続いてきたが、今回、中央値では前回と同じ4.5%と横ばいに、平均値では前回の4.6%から4.5%へ若干の低下となった。

今回の調査結果から、不動産投資家のマインドの悪化は一服し、新規投資に向けて様子をうかがう状態に入りつつあることが確認された。とりわけ、都内のプライムエリアにおけるAクラスビルや東京圏の賃貸住宅のほか、商業・店舗ビルの一部でも期待利回りの上げ止まりの傾向が確認されたが、利回りが低下するアセットタイプはまだなかった。
なお、今回の調査では回答数が120社に及び、前回と並び過去最多の回答を頂いた。

キーワード :不動産投資家調査、利回り、丸の内・大手町、J-REIT、投資意欲

最近の地価動向について -「市街地価格指数」の調査結果(平成21年9月末現在)をふまえて-

髙岡 英生

日本不動産研究所は平成21年9月末現在の「市街地価格指数」を11月19日に発表した。「市街地価格指数」から見た最近の地価動向の主な特徴は次のとおりである。

  • 前回調査(平成21年3月末現在)と同様、全ての地域・用途で地価は下落しており、各用途とも、「全国」では前回調査とほぼ同等の下落率が記録された。一方、前回調査においては「六大都市」と「東京区部」の商業地、および「東京区部」の最高価格地で10%を超える下落率を記録したが、今回調査では10%を超える下落率を記録した地域・用途はなくなった。
  • 商業地については、「六大都市」で前記比(平成21年3月末~平成21年9月末、以下同様)6.9%下落(前回調査時10.8%下落)、「東京区部」で前記比4.2%下落(前回調査時10.2%下落)となり、大都市では下落幅の縮小傾向が明確になってきた。
  • 住宅地については、三大都市圏では下落幅が縮小し、特に「東京区部」では前記比0.5%下落(前回調査時6.7%下落)と、地価はほぼ下げ止まりとなった。
  • 工業地については、前回調査において全地域で最大の下落率(3.6%下落)を記録した「名古屋圏」が今回調査では前記比2.1%下落となり、下落幅の縮小傾向が見られた。
  • 最高価格地については、「六大都市」で前記比6.3%下落(前回調査時9.7%下落)、「東京区部」で前記比5.5%下落(前回調査時13.1%下落)となり、商業地と同様、大都市では下落幅の縮小傾向が明確になってきた。
  • 今後の見通しについては、「全国」および「六大都市を除く」では今回調査とほぼ同等の下落率が継続する見通しだが、「六大都市」では下落幅が更に縮小し、住宅地においては「全国」「六大都市を除く」より下落幅が小さくなる見通しである。
  • 個別調査地点の地価変動率について、地方別の分布状況を集計し、前回調査と今回調査で比較したところ、下落幅が縮小(または拡大)した理由は、各地方ごとにことなっている様子がうかがえた。

キーワード :市街地価格指数、下落継続、下落幅縮小、地価変動率分布状況

最近のオフィス及び共同住宅の賃料動向について -「全国賃料統計」の調査結果(2009年9月末現在)をふまえて-

手島 健治

日本不動産研究所は2009年9月末時点の「全国賃料統計」を11月19日に公表した。オフィス賃料は、サブプライムローン問題に端を発した金融危機による景気の悪化等から需要が減少し、全国で11.2%下落(前年は2.5%下落)と調査開始以来最大の下落を記録し、特に東京都区部、名古屋市、大阪市、仙台市では新規供給の増加も加わり15%を超える下落に拡大した。共同住宅賃料も同様に景気の悪化等から需要が減少し、下落幅がやや拡大して全国で1.4%下落(前年は0.2%下落)となった。1年後について、オフィス賃料は景気の持ち直しが期待され、今回大きく価格調整が進んだ東京都区部、名古屋市等では下落幅の縮小が予想され、全国で3.4%下落に縮小する見通しである。共同住宅賃料も同様に下落幅が若干縮小して全国で0.9%下落になる見通しである。

キーワード :全国賃料統計、賃料指数、市場動向

海外論壇

The Appraisal Journal Summer 2009

外国鑑定理論実務研究会

お知らせ

審査付論文募集のご案内

資料

・日本不動産研究所図書室 主な新規受入図書リスト -2009年9月初旬~2009年11月下旬-
・2009(平成21年)[第51巻第1号~第51巻第4号]目次一覧

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