五十嵐 健之
汪 麗娜・宣 暁影
中国の不動産市場は80年代の中頃から発足したばかりである。 しかし、 改革開放以来、 中国経済の年平均成長率は10%にも達し、 人口構造の変化による高貯蓄率の形成、 都市化による第三次産業の発展及び人民元切上げ予測からの不動産投資による人民元資産の価値維持と増加などは、 中国不動産市場の発展のために、 広い空間を提供すると共に、 不動産産業が国民経済の重要な柱産業になるための基礎を構築してきた。
キーワード :不動産投資、販売用不動産、都市化、経済適用住宅、土地価格指数、中国統計年鑑
林 述斌・曹 雲珍・愼 明宏・武内 朋生
内田 輝明
本件は、 被上告人が上告人から工場跡地を買い受けたが、 当該土地の土壌がふっ素により汚染されていたため、 その後施行された東京都条例の規制に基づく汚染拡散防止措置が必要になったと主張して、 上告人に対し、 民法570条の瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めていた事案である。
本判決は、 売買契約の目的物が有すべき品質・性能は、 売買契約締結当時の取引観念を斟酌 (しんしゃく) して判断すべきであるという考え方を示し、 原判決中、 上告人敗訴部分を破棄し、 当該部分につき、 被上告人の控訴を棄却した。 瑕疵担保責任の取扱いが実務的にも課題とされるなか、 本判決で最高裁判所が示した考え方は、 土壌汚染やアスベスト含有建材の使用等のこれらの環境リスク全般に適用され得るものであり、 実務上、 参考になると考えられる。
キーワード :土壌汚染、隠れた瑕疵
廣田 裕二 菊池 慶之 林 述斌 曹 雲珍 髙岡 英生
当研究所は、「第23回不動産投資家調査」の結果を11月29日に発表した。
今回のアンケートは、 先進各国の金融緩和によって、 歴史的な円高と日本国債の金利低下が顕著に進む中で実施された。 リーマン・ショックから丸2年が経過し、 資金調達環境は落ち着きを取り戻したものの、 景気回復の足取りは鈍く、 空室率も依然として高い状態にある。 今回のアンケートの特徴は、 以下の4点に集約される。
今回の調査結果では、 投資用不動産の利回りはほとんどの用途・地域で横ばいとなり、 投資意欲も回復基調にある。 特に、 賃貸住宅の利回りは全国的に低下した。 ただし、 キャッシュフローの低下も続いており、 依然として本格的な回復には至っていないという結果となった。
また、 不動産投資家調査 (海外) については、 今回で2回目となり、 新たにシカゴ、 サンフランシスコ、 シンガポール、 香港の4都市を加え、 8カ国13都市において調査を実施した。
キーワード :不動産投資家調査、 利回り、 J-REIT、 投資意欲、 海外、Global Real Estate Markets Survey
髙岡 英生
当研究所は平成22年9月末現在の 「市街地価格指数」 を11月29日に発表した。 「市街地価格指数」 から見た最近の地価動向の主な特徴は次のとおりである。
※六大都市:東京区部、 横浜、 名古屋、 京都、 大阪、 神戸
東京圏:首都圏整備法による既成市街地及び近郊整備地帯を含む都市
大阪圏:近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む都市
名古屋圏:中部圏開発整備法の都市整備区域を含む都市
キーワード :市街地価格指数、 六大都市、 下落幅縮小、 企業業績
手島 健治
当研究所は2010年9月末時点の 「全国賃料統計」 を11月29日に公表した。 オフィス賃料は、 景気の持ち直し等で、 前回の大きい下落から三大都市圏を中心に下落幅が縮小し、 全国で7.7%下落 (前年は11.2%下落) となった。 都市別では、 三大都市を中心に下落幅が縮小しているが、 新規供給が多かった大阪市、 仙台市では10%を超える下落が続いている。 共同住宅賃料は概ね前回並の下落で1%前後の下落が継続しており、 全国で1.2%下落 (前年は1.4%下落) となった。 1年後については、 景気の不透明感があり予測が難しいが、 オフィス賃料は、 東京都区部、 名古屋市等で空室率のピークアウトが期待され、 全国で3.4%下落に縮小する見通しである。 共同住宅賃料も同様に下落幅が若干縮小して全国で0.9%下落になる見通しである。
キーワード :全国賃料統計、 賃料指数、 市場動向
外国鑑定理論実務研究会