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環境省は、脱炭素経営に向けて、事業者向けにTCFDを活用した経営の手順を公表したが、その内容は?


 2022年4月に東京証券取引所は、市場区分を再編し「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3区分とした。この目的は、各市場の性格を明確化し、増えすぎた旧東証一部上場企業の整理を行うことなどであった。しかしながら、「グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向け」の最上位市場である「プライム市場」の上場基準が予想より低く、経過措置もあり、旧東証一部上場企業2180社のうち約8割がプライム市場を選択した。海外投資家からは経過措置後の姿に期待がかかる。

 一方、プライム市場上場企業は、気候変動によるリスクや収益機会による影響をステークホルダーに示すため、TCFDと同等の枠組みに基づく開示の充実を求められている。環境省は、こうした企業向けに、TCFDを活用した経営の手順を公表した。その概要は、以下のとおり。


フェーズ⓪:「なぜ脱炭素経営に取り組む必要があるか?」を認識
フェーズ①:事業に影響を与える気候関連リスク・機会の把握
フェーズ②-1:サプライチェーン排出量の算定
フェーズ②-2:排出削減目標の設定
フェーズ③:排出削減計画の策定
フェーズ④:削減対策の実行、並行して、脱炭素を前提とした事業遂行
フェーズ①~④を一通り対応した後:見直しを行い、新たなサイクルに入る。