カーボンプライシングの代表である「炭素税」と「排出量取引」の手法と問題点は何?
「カーボンプライシング」とは、炭素に価格を付けて、排出者の行動を変容させる政策手法。主な手法としては、以下が挙げられる。
①炭素税
CO2の排出量に比例した課税を行うことで、炭素に価格を付ける仕組み。炭素の価格は政策的に決まる。排出量が削減できるかは、税負担をする企業の行動によるため、不確実である。また、税負担により企業の競争力に影響が出る可能性がある。
日本では、「地球温暖化対策のための税」として、実質的な炭素税が導入されている。CO2排出量1トン当たり298円になるように化石燃料ごとに税率を設定しているが、EU諸国は10倍以上の水準であり、現状では、十分なCO2排出削減効果が期待できるレベルとはなっていない。
②排出量取引
企業ごとに排出量の上限を決め、上限を超過する企業と下回る企業との間で排出量を売買する仕組み。炭素の価格は排出量の需要と供給により決まる。そのため、排出量の価格が変動し、事前の予測が難しい。また、排出量の上限の設定を公平にできるかという問題もある。東京都や埼玉県で開始されているが、国レベルでは、実施されていない。