2025/05/30 【公表資料】東京・大阪・名古屋のオフィス賃料予測を公表

東京・大阪・名古屋のオフィス賃料予測

 当公表資料は、オフィス市場動向研究会(日本不動産研究所と三鬼商事(株)との共同研究会)が、日本経済研究センターの中期経済予測のマクロ経済データを活用して、計量的アプローチにより将来のオフィス市況の動向を推計しています。



 

 調査結果の概要 

●東京ビジネス地区の予測結果

・2023年から新規需要が回復し、2024年は新規供給が少ない中、空室率は4.0%まで大きく低下し、賃料は前年比1.9%上昇と下落から上昇に転換。

・2025年は大量供給になるが、リーシングは堅調に推移するなど需要増加が継続し、空室率は3.7%まで低下し、賃料は前年比4.5%上昇。

・2026~2027年は新規供給が少なく、空室率は低下し、賃料は前年比3%前後の上昇が継続。

・2028年以降は大量供給になり、空室率は2028年の2.9%をボトムに反転し、賃料も上昇幅が低下。2029年の賃料指数は128.5となり、直近ボトムの2023年から約18%上昇。

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●大阪ビジネス地区の予測結果

・2024年は過去最大規模の新規供給となったが、自社ビルからの大型移転など新規需要が増加し、空室率は4.0%とわずかに低下し、賃料もわずかな上昇が継続。

・2025年も比較的高水準の新規供給が続く見通しであるが、新規需要の増加が継続することから空室率は3.3%に低下、賃料は上昇幅がやや拡大して前年比1.3%上昇。

・2026年以降は新規供給が限られる見通しで、空室率は2027年に2.3%まで低下し、賃料は前年比2%前後の上昇が継続し、2027年は2020年の直近ピークと同水準まで上昇。

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●名古屋ビジネス地区の予測結果

・2023年から需要増加が継続し、2024年は過去平均並みの新規供給となり、空室率は4.5%まで低下し、賃料はほぼ横ばいながらわずかな上昇に転換。

・2025年はさらに新規供給が減少する見通しで、空室率は3.7%まで低下、賃料は微増が継続。

・2026年は大量供給が見込まれており、空室率は4.2%とやや上昇し、賃料は調整局面となり、ほぼ横ばいながらわずかに低下。

・2027年は新規供給が少なく、空室率は再度低下して3.4%、賃料は0.8%上昇。

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 1.調査結果 

 東京・大阪・名古屋のビジネス地区*におけるオフィス賃料等の予測結果は以下のとおりである。日本経済研究センターの中期経済予測の標準シナリオを使って予測を行った。

*東京ビジネス地区(都心 5 区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区

 大阪ビジネス地区(主要 6 地区):梅田、南森町、淀屋橋・本町、船場、心斎橋・難波、新大阪地区

 名古屋ビジネス地区(主要 4 地区):名駅、伏見、栄、丸の内地区

 

 1)東京ビジネス地区 

・2023 年から新規需要が回復し、2024 年は新規供給が少ない中、需要回復が継続し、空室率は 4.0%まで大きく低下した。賃料は前年比 1.9%上昇と下落から上昇に転換した。

・2025 年は約 50 万坪の大量供給になるが、リーシングは堅調に推移するなど需要増加が継続し、空室率は 3.7%まで低下し、賃料は前年比 4.5%上昇する。

・2026~2027 年は新規供給が 20~30 万坪と過去平均より少なく、空室率は低下を続けて 2027 年に 3.3%となり、賃料は 3%前後の上昇が継続する。

・2028 年以降は新規供給が増加して 50 万坪前後の大量供給が続く見通しだが、建築費の高騰などで建築計画の遅れや見直しが行われており、現在の想定より少なくなる可能性がある。空室率は 2028 年の 2.9%をボトムに 2029 年は 3.1%に上昇する見込みで、賃料は上昇が継続するも上昇幅は低下して、2029 年は賃料指数で 128.5 となり、直近ボトムの 2023 年(108.7)から約 18%上昇する。

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 2)大阪ビジネス地区 

・2024 年は過去最大規模の新規供給となる見通しで、空室率の上昇が苦慮されたが、実際には自社ビルからの大型移転など需要が大きく増加して、空室率は 4.0%とわずかに低下した。賃料はわずかな上昇が継続して前年比 0.8%上昇した。

・2025 年も比較的高水準の新規供給が続く見通しであるが、新規需要の増加が継続することから空室率は 3.3%に低下する。賃料は上昇幅がやや拡大して前年比で 1.3%上昇する。

・2026 年以降は新規供給が限られる見通しで、空室率は 2027 年に 2.3%まで低下し、賃料は前年比 2%前後の上昇が継続し、2027 年は 2020 年の直近ピークと同水準の 134.9 まで上昇する。

 

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 3)名古屋ビジネス地区 

・2023 年から需要増加が継続し、2024 年は過去平均並みの新規供給となることから、空室率は 4.5%まで低下し、賃料はほぼ横ばいながら 0.4%のわずかな上昇に転換した。

・2025 年はさらに新規供給が減少する見通しで、空室率は 3.7%まで低下し、賃料は前年比で 1.1%上昇する。

・2026 年は約 7 万坪の大量供給が見込まれており、空室率は 4.2%とやや上昇し、賃料は調整局面となり、ほぼ横ばいながらわずかに低下する。

・2027 年は新規供給が少なく、空室率は再度低下して 3.4%、賃料は 0.8%上昇となる。

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 2.調査方法 

 東京ビジネス地区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビル(基準階面積 100 坪以上)、大阪ビジネス地区(梅田、南森町、淀屋橋・本町、船場、心斎橋・難波、新大阪地区)のオフィスビル(延床面積 1,000 坪以上) 、名古屋ビジネス地区(名駅、伏見、栄、丸の内地区)のオフィスビル(延床面積 500 坪以上) の 2001~2024 年の成約事例データをもとに、以下の手順で空室率及び賃料の将来予測を推計した。

 

① 賃料指数の作成(ヘドニック型指数の作成)
 成約事例データ等をもとに、共益費込み賃料のヘドニック分析を行い、その結果を利用して 2010 年を 100 とするヘドニック型の賃料指数を作成する。

② オフィス賃料変動モデルの構築
 実質 GDP 等の経済指標を使って需要量(供給量から空室面積を差し引いた数量)及び賃料指数を求める式を推定し、これらを組み合わせたモデルを構築する。

③ オフィス賃料の予測
  三鬼商事から提供された新規供給データ等を利用して供給量を推計し、日本経済研究センターの中期経済予測を採用し、上記②のモデルで空室率及び賃料の将来予測を推計する。

 


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