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【公表資料】 第53回 不動産投資家調査(2025年10月現在)を公表


 弊所は、日本の不動産投資市場における共通理解を深めるため、不動産投資家および不動産投資に関連のある方々のご理解とご協力により、1999年4月に不動産投資家調査を開始しました。本調査は年2回実施しており、調査内容の充実及び精度向上に努めております。

第53回  不動産投資家調査 (2025年10月現在)の調査結果(概要)

投資用不動産の利回りの動向

期待利回りの動向は、アセットにより一部地域で「低下」が見られたが、「横ばい」の地域が多くを占める結果となった。

オフィスは、「東京・丸の内、大手町」の期待利回りは3.2%で6期連続の横ばいとなり、その他の東京のオフィスエリアと地方都市においても概ね横ばいの結果となった。

住宅は、「東京・城南」のワンルームタイプの期待利回りは前期に引き続き3.7%で横ばいとなり、ファミリータイプの期待利回りは3.8%で4期連続の横ばいとなった。また、地方都市ではワンルームタイプ、ファミリータイプともにほとんどの調査地区で横ばいの結果となった。

商業店舗は、「都心型高級専門店」は「名古屋」のみ低下したが、「銀座」は3.3%で2期連続の横ばいとなり、その他の調査地区も横ばいの結果となった。「郊外型ショッピングセンター」は「東京」のみ低下したが、その他の調査地区は横ばいの結果となった。

物流施設(マルチテナント型)は湾岸部の「東京(江東区)」は3.8%で4期連続の横ばい、内陸部の「東京(多摩地区)」では4.0%で2期連続の横ばいとなり、全ての調査地区で横ばいとなった。

ホテルは、「東京」は4.2%で2期連続の横ばい、「大阪」を除く調査地区も横ばいとなったが、「大阪」のみ0.1ポイントの低下の結果となった。

不動産への新規投資意欲など

今後については、「新規投資を積極的に行う。」という回答が94%で横ばいとなり、「当面、新規投資を控える。」という回答は3ポイント下落し2%となった。また、「既存所有物件を売却する。」という回答は3ポイント下落し26%となった。緩和的な金融環境は維持されており、不動産投資家の非常に積極的な投資姿勢が維持されている。

 

第53回 不動産投資家調査 特別アンケート(概要)

不動産投資市場へのインフレの影響

今回の調査では、物価上昇(インフレ)の不動産投資市場への影響について不動産投資家がどのように考えているか、アンケートを実施した。

投資不動産の賃料に対する回答時点の影響は「ややあり」が66.2%と3分の2程度となり、「あり」21.8%と合わせて概ね90%程度となった。

物件管理費等のランニングコスト上昇による純収益(NOI)への回答時点の影響は「ややあり」が54.2%と過半を占め、「あり」32.4%と合わせて86.6%となった。

借入金利や予想インフレ率の上昇が不動産投資利回り(Cap Rate)に与える回答時点の影響は「なし」が54.6%と過半を占め、次いで「ややあり」が37.6%となった。

インフレによる建築着工や新規開発プロジェクトへの回答時点の影響は、「あり」が77.5%、「ややあり」17.6%と合わせると95.1%と高い割合となった。

上記の影響を踏まえた総合的な不動産投資市場に与える影響は「ニュートラル」とする回答が45.7%と約半数を占め、次いで「ポジティブ」が28.3%、「ネガティブ」が18.1%で、「ポジティブ」とする見方が「ネガティブ」とする見方よりも多い結果となった。

なお、「今後2~3年の見通し」についても概ね同じ傾向の回答割合であるが、賃料に対する影響は「あり」が回答時点の21.8%から50.4%と増加し、Cap Rateへの影響も「ややあり」が回答時点の37.6%から52.1%と増加しており、将来的には賃料とCap Rateの上昇圧力が強まるとの見方が多い結果となった。

 


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