【公表資料】 公的主体における定期借地権の活用実態調査結果(概要)を公表
当公表資料は、一般財団法人都市農地活用支援センターと共同で、地方公共団体等の公的主体における定期借地権の活用状況についてアンケート調査を実施した結果の概要です。
一般財団法人日本不動産研究所
一般財団法人都市農地活用支援センター
公的主体における定期借地権の活用実態調査(令和6年)の結果概要
1.結果概要
1)土地の貸付・借用状況
令和6年(以下、「本年」という。)実績として調査対象期間内に定期借地権を活かした事例があると回答した団体数は27となっており、平成22年からの集計期間の中で最も少ない。また、本年は全てが貸付の事例となっており、定期借地権による借上の事例はなかった(図表1)。
図表1 土地の貸付・借用状況(団体数)
2)住宅の建物用途別の供給状況
本年に供給された定期借地権付住宅は、土地を借りている住宅はなく、土地を貸している住宅は2販売単位、戸数は11戸であった(図表2)。一事例は一般定期借地による住宅・飲食店舗であり、他方は建物譲渡特約付定期借地による定住促進住宅(アパート)であった。
図表2 定期借地権付住宅の供給状況(戸数)

3)住宅種類別の供給住宅戸数の推移
図表3において、定期借地権を活用して供給された住宅は、持家と賃貸住宅に分かれ、持家は一戸建て住宅と分譲マンションに分かれているため、これら種類別に供給住宅の戸数を供給年別に集計した。
供給年ごとのバラツキが大きく、一戸建て住宅と分譲マンションは平成10年頃からの7~10年間に大量の住宅が集中して供給され、賃貸住宅は平成16年頃から7年間に集中して大量の住宅が供給されているが、震災等の復興に合わせて供給されたと推測される年次も見られる等によって、上記の他にも複数の供給ピークが確認される。
これらの供給年の合計によって住宅種類別住戸数の構成比を整理すると、一戸建て住宅が約49%、賃貸住宅が42%となってほぼ同程度の供給戸数となっており、分譲マンションは約9%と相対的に少ない。
図表3 定期借地権付施設の供給状況(施設数)

4)定期借地権による各種施設の供給状況
各種施設の定期借地権制度別供給件数の推移について、図表4において各種施設の供給で活用された定期借地権制度について、供給年別にその件数を集計した。各種施設の供給では事業用定期借地権の活用が主流となっており、合計値によると事業用定期借地権を活用した事例が約8割を占めている。
また、本年の各種施設の供給で活用された定期借地権制度は、一般定期借地権が3件、事業用定期借地権が25件となっており(不明は1件)、本年の各種施設の供給においても事業用定期借地権が主に活用されている。
図表 4 年次別、定期借地権制度別の各種施設供給件数
5)各種施設の用途別供給件数の推移
図表5では各種施設の主な建物用途を施設別に定め、供給年別にその件数を集計した。平成22年から10年程度は工場、小売が相対的に多く供給されていたが、平成25年頃から高齢化社会の進展等を背景に医療福祉施設の供給件数が増加した。この期間における用途別の傾向は、医療福祉が3割程度を占めて最も多く、次いで小売が2割超となっており、本年においても医療福祉が11件等と最も多く供給された。
図表 5 各種施設の年次別、用途別供給件数

6)借地期間
用途別と定期借地権制度別に借地期間の傾向の概要をみると以下のとおりであった。
用途別に整理すると、小売、飲食、その他において10年と最も短い借地期間が4件見られるものの、全体では30年以上となっている借地期間の事例で過半が占められている。
これらの30年以上の定期借地は、一般定期借地権と事業用定期借地権によって供給されており、一般定期借地権はその特性から50年以上に限られるため、結果的に事業用定期借地権が10年から50年未満まで、各種施設の用途に合わせて幅広く活用されている。
2.調査方法
アンケート調査票を、1)a.の調査対象団体へ送付し、回答された調査票について集計を行った。
1)調査の対象
令和5年1月1日から令和5年12月31日までに、当該土地において住宅の販売又は入居者募集を開始し、あるいは施設をオープンした事例を対象にしている。
a.調査対象団体(公的主体)
地方公共団体(都道府県及び市町村)
地方住宅供給公社等(全国住宅供給公社等連合会の会員)
土地開発公社(都道府県及び政令指定都市の管轄のみ)
独立行政法人都市再生機構
b.調査対象事例
調査対象事例となる活用事例とは、以下の事例である。
団体が保有している公有地等を定期借地権によって貸付けた事例
団体が民有地を定期借地権によって借地し、当該団体もしくは当該団体から更に定期借地権によって借地した転借地人が、住宅やその他施設を整備した事例
2)調査票の配布・回答状況
アンケート調査は全国の公的主体1,847団体に対して実施した。回答は924団体からあり、回答率は50.0%で、その内訳は図表6のとおりである。
定期借地権を活用した団体数及び事例数は図表7のとおりで、活用した団体数は27件、事例数は全体で33件、事例発生率は全体平均で3.6%となっている。
|
図表6 発送数及び回収数 |
図表7 活用した団体数及び実例数 |
本資料は作成時点で、日本不動産研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任を負うものではなく、今後の見通し、予測等は将来を保証するものではありません。また、本資料の内容は予告なく変更される場合があり、本資料の内容に起因するいかなる損害や損失についても当研究所は責任を負いません。
▶ 公表資料(概要版PDF)はこちら
▶ 調査協力者限定(本編調査報告書PDF)ダウンロードはこちら
※調査協力を頂いた公的団体に限りお知らせしたパスワードにてファイルを開くことが出来ます。
調査内容に関するお問い合わせ及び転載等のお申し込みは下記よりお願いいたします。
▶ WEBからのお問い合わせはこちら
▶ 転載のお申し込みはこちら



