渡辺 卓美, FRICS CRE
Ⅰ. 問題の所在
Ⅱ. 国際評価基準(IVS)の問題点
Ⅲ. 国際財務報告基準(IFRS)と国際評価基準の改訂
Ⅳ. 米国財務会計基準(SFAS)に基づく公正価値の評価
Ⅴ. 今後の方向
キーワード :国際評価基準(IVS)、国際財務報告基準(IFRS)、米国財務会計基準書第157号(SFAS 157)、市場価値(market value)、公正価値(fair value)、財務報告のためのシステム(financial system)、最有効使用、交換価値(IEV)、継続使用価値(IUV)、信頼性の程度の開示(hierarchy)
松岡 利哉
我が国の森林資源は、毎年過去最高を更新するとともに標準伐期に達しつつあり、成熟期を迎えている。一方、木材需要は、バブル経済の崩壊以降、経済活動や住宅着工戸数の構造的な縮小等により、右肩下がりに減少する時代になっている。世界に目を向けると、新興国の木材需要拡大、南洋材の森林保護対策、北洋材の丸太輸出関税の強化等により、歴史的な円高水準にあったにもかかわらず、外材輸入は減少している。このような状況に対応して国内の製材業者等は、国産材利用に軸足を移していることから、素材入荷量の国産材割合は約70%へと国産材自給率は高まっている。
構造的に低迷している住宅着工戸数は、金融危機に伴う世界的な経済不況の打撃から平成22年には住宅ローンの低金利や各種税制等政策効果もあり減少に歯止めがかかり、素材価格は反転して上昇し、平成22年調査において山元立木価格が昭和55年以降で最大の上昇率を記録した。
本稿では、木材需給を取り巻く情勢と素材価格の反転上昇に視点をあわせて、林業採算性の検証をするとともに、当研究所が「山林素地及び山元立木価格調」として昨年9月27日発表した内容に加えてその後加工分析した内容を併せ紹介する。
キーワード :山林素地価格、山元立木価格、素材価格、国産材自給率
菊池 慶之・髙岡 英生・谷 和也・林 述斌
本稿は、上海市における居住移動の実態と住宅取得プロセスを居住者に対するアンケート調査から検討し、住宅の市場化とその後の住宅価格の高騰が中流階級の住宅取得に及ぼす影響を明らかにすることを目的とするものである。アンケート調査は、公有住宅として建設された老公房地区と、民間デベロッパーによって開発された居住用 「商品房」 地区の2ヶ所で実施した。調査の結果、多くの住民が居住用「商品房」の購入を希望していること、また不動産価格の高騰によって現有資産の有無が住宅取得能力に大きく影響していることが示唆された。
なお、アンケート調査の実施に当たっては、不動産流通経営協会平成21年度研究助成「中国における『住宅すごろく』が住宅ストックの質的向上に寄与する可能性に関する実証的研究:大規模アンケートによる居住移動メカニズムの実態把握と住宅ストック評価モデルの構築」を受けた。また、本稿は、上海住宅マーケットプロジェクトの一環であり、第51巻第4号、第52巻第3号に続き3回目の成果報告に当たるものである。
キーワード :上海市、「老公房」、居住用「商品房」、居住移動
Key Words: Shanghai City, "Lao Gong Fang", Residential "Shangpin Fang",Residential Relocation