欧州各国は、地球温暖化を防ぐための脱炭素化に熱心だが、化石燃料から再生可能エネルギー利用に直ぐに転換することは難しいため、石炭や石油に比べると環境への負荷が比較的小さい天然ガスの利用を進めている。
天然ガスは、CO2の排出量が石炭の6割程度、石油の7割程度である。Nox(窒素酸化物)の排出も少なく、Sox(硫黄酸化物)の排出はゼロである。
天然ガスの産出量は、1位が米国、2位がロシアで、今後ロシアの算出が減った場合、価格の高騰の長期化が懸念される。
欧州各国は、地球温暖化を防ぐための脱炭素化に熱心だが、化石燃料から再生可能エネルギー利用に直ぐに転換することは難しいため、石炭や石油に比べると環境への負荷が比較的小さい天然ガスの利用を進めている。
天然ガスは、CO2の排出量が石炭の6割程度、石油の7割程度である。Nox(窒素酸化物)の排出も少なく、Sox(硫黄酸化物)の排出はゼロである。
天然ガスの産出量は、1位が米国、2位がロシアで、今後ロシアの算出が減った場合、価格の高騰の長期化が懸念される。
LNGは、その輸送に手間がかかる。産地でガスをマイナス162度まで冷やして液化し体積を600分の1程度とした後、輸送する。受け入れ地では、常温の海水で暖め気化させて利用する。
また、貯蔵や運搬の間に少しづつ気化するため、長期間の在庫保有が難しい点も弱点となっている。
日本のガス・電力会社は、LNGの産油国と長期契約を結んで安定的に調達をしている。スポット(随時契約)市場は変動が大きいため、安定的に調達するのは難しい。解決策として検討されているのが、大手都市ガス会社や商社の「トレーディング」を日本に回すことである。
これらの会社は、LNG購入の権益を有しており、日本以外の国へも売却取引をしている。この内一部を日本に回すことで、日本のLNGの不足分を補うことが可能となる。
金融庁は、投資家と企業との建設的な対話に資する企業情報の開示を促すため、毎年「記述情報の開示の好事例集」を公表している。この事例集の2021年版として「サステナビリティ情報」に関する開示の好事例を取りまとめた記述情報の好事例集2021」が公表された。
内容は2つのパートに分かれ、「気候変動関連」の開示事例が13社分、「経営・人的資本・多様性等」の開示事例が21社分が取り上げられている。それぞれ、投資家やアナリストが期待する開示のポイントが述べられおり、今後企業に求められる情報開示の参考となる。
社会的課題の解決に貢献する「ソーシャルプロジェクト」に資金使途を限定した債券(ソーシャルボンド)の発行が拡大している。
ソーシャルボンドに関しては、国際資本市場協会(ICMA)が策定した「ICMAソーシャルボンド原則」)が、唯一の国際標準で、日本では、我が国の状況に即した具体的な対応の例や解釈を示した「ソーシャルボンドガイドライン」が2021年10月に策定されている。
「ICMAソーシャルボンド原則」では、社会に与えるインパクトを計る指標を例示しているが、発展途上国向けの内容が多く、日本にはなじまない。「ソーシャルボンドガイドライン」では、社会的な効果の開示の必要性に触れながら、具体的な指標については、今後の継続的な検討とされていた。実態を伴わないソーシャルボンドの発効を防ぐためにもソーシャルプロジェクトのインパクト指標例を示すことが有益と考えられ、関係府省庁会議が始まった。インパクト指標の算定方法やネガティブなインパクトも併せて例示することを目標としている。
①グレー水素
化石燃料を燃焼させてガスにし、そのガスの中から水素と二酸化炭素をとりだす改質と呼ばれる製造方法による水素。現在最も一般的な水素製造方法。
②ブルー水素
化石燃料を燃焼させてガスにし、そのガスの中から水素をとりだす点は①グレー水素と同様だが、二酸化炭素の回収や貯留(CCS)を同時に行うため、二酸化炭素の発生を抑制できる。
③グリーン水素
再生可能エネルギー由来の電力を利用して水を電気分解して水素を生成する。最も環境に優しいが、膨大な電力の確保の必要性がネックとなっている。
④イエロー水素・ピンク水素
上記の3つほど有名ではないが、原子力発電を利用して水の電気分解を行って生成された水素をイエロー水素またはピンク水素と呼ぶ場合がある。二酸化炭素は排出しないが、放射性物質を排出する問題がある。
IFRS財団は、サステナビリティ開示基準の開発のため、昨年11月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB審議会)を設立した。
ISSB審議会はフランクフルト事務所とモントリオール事務所が主要拠点となり、東京と北京にも事務所を開設するかについて検討が行われていたが、東京に既に設置され今年10周年を迎えるIFRS財団アジア・オセアニアオフィスが今後5年間は東京におかれ、同時にISSB審議会の拠点として活用されることが決まった。今年6月までに策定されるサステナビリティ開示基準への日本の立場の反映が期待される。
北京オフィスの設置については、現在も検討中である。
欧州委員会は、2月2日、持続可能な事業や生品を分類するEUタクソノミー法案を公表し、その中で、原子力と天然ガスが脱炭素に貢献すると位置づけた。1月1日に、この案が公表されてから、欧州内でもドイツなどの反発があったが、再生可能エネルギーへの移行を促進する手段として、一定の役割があるとした。
この法案は、今後理事会と欧州議会を経て可決され、両機関が否決しない限り、2023年1月から適用されるが、投資家の反発などもあり、予断を許さない。この動きは脱炭素の観点からは後退にも見えるが、化石燃料への依存度が高い日本や東南アジアの国にとっては、当面はプラスに働く可能性がある。
脱炭素化の切り札と目されている自動車の蓄電池利用であるが、経済産業省が立ち上げた研究会では、以下の課題について今後議論がされる。
①蓄電池のライフサイクルでの温暖化ガス排出量の算定(蓄電池はその製造過程、廃棄時に大量の温暖化ガスを排出する。)
②サプライチェーンのリスク管理(蓄電池の製造にニッケルやリチウムなどの鉱物資源を必要とし、作業員の人権問題や環境汚染の問題が指摘されている。)
③リユース・リサイクルの促進策 ④サプライチェーン全体でのデータ流通の仕組み。
火山噴火が気候に与える影響は、二酸化硫黄の放出量による。二酸化硫黄は成層圏に雲を形成し、太陽エネルギーが地球に到達するのを妨げる。
1991年のフィリピン、ピナトゥボ火山の噴火では、約1年にわたって、地球の既往が約0.5度下げたとされている。しかし、今回のトンガ沖の噴火による二酸化硫黄の排出量は、これに比べ遙かに少なく、地球寒冷化の影響は、ほとんど無いととされている。
トンガ沖で起こった海底火山噴火による津波の日本への到達は気象庁の予想よりも約2時間半早かった。これは、日本に到達した津波が地震によるものではなく、火山噴火による気圧波が海面を押し下げ、反動で盛り上がった海面が津波になったためと考えられている。また、火山が崩れ消滅し、大量の土砂が海水を押し流した力も加わったと考えられている。
「ラニャーニャ現象」とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸(ペルーやエクアドルの沖合)にかけて海面水温が平年より低くなり、 その状態が1年程度続く現象で、数年に一度発生する。逆に、海面水温が高い状態が続く現象がエルニーニョ現象。
「ラニーニャ現象」が発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、積乱雲の活動が活発となる。これにより日本付近では、夏季は太平洋高気圧が北に張り出しやすく、気温が高くなる傾向がある。冬季は西高東低の気圧配置が強まり、気温が低くなる傾向がある。気象庁は2022年1月11日、「冬の終わりまでラニーニャ現象が続く可能性が高い」と発表している。
飛行機、船舶、貨物トラックなどの輸送用燃料の低炭素化にバイオマス燃料が必要とされているが、バイオ燃料の内、特に木質バイオマスについては、その効果に疑問が投げかけられている。
2021年1月に欧州委員会が発表した報告書でも、ほとんどの木質バイオマス燃料は、化石燃料より多くの温室効果ガスを排出すると結論づけた。生産・加工・輸送等に化石燃料を使い、温室効果ガスを排出するとされている。更に、森林や生物多様性の破壊、食料との競合などの問題点が指摘されている。
2021年11月に英グラスゴーで開催されたCOP26において、IFRS財団は、サステナビリティ開示基準の開発のため、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB審議会)を設立することを決めた。ISSB審議会はフランクフルト事務所とモントリオール事務所が主要拠点となるが、北京と東京にも事務所を開設するかについて検討が行われている。
この動きを受け、2021年12月20日、日本でも公益財団法人財務会計基準機構が、2022年7月のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の設立と、1月のSSBJ準備委員会の設置を公表した。
SSBJは、①)国内のサステナビリティ開示基準の開発、② 国際的なサステナビリティ開示基準の開発への貢献を目的としている。
経済産業省は詳細な省エネ性能の比較を可能とするため、家庭用製品の省エネ性能の評価方法を変更し、統一省エネラベルを新設している。
1~5の5段階だった評価は0.1刻みにして1.0~5.0の41段階に見直した。また、目安年間エネルギー使用料金も表示するほか、小さなサイズの商品やネット取引時にも活用できるように、ミニラベルも新設した。
この制度は2020年11月に照明器具、冷蔵庫、電気便座等を対象に始まり、2021年10月に、テレビ、エコキュート、ガス温水機器などが追加されている。
●バイオマス発電
発電に必要な原料として、木質系バイオマスでは間伐材・建築廃材等、廃棄物系バイオマスでは家陸の糞尿などがあるが、日本での調達はコスト高になりがちである。間伐材については、多くが海外からの輸入(天然の木を伐採したもの)により賄われているとされ、原料の生産・輸送も含めて二酸化炭素の排出量削減につながっていないケースがあることが指摘されている。
●水力発電
発電効率が高く、水資源の豊富な日本に適しているが、ダムによる水力発電に適した土地の開発は済んでおり、今後新設されるのは小規模な施設となる。
●地熱発電
設備を作れば安定した稼働が見込めるが、適地の調査を含めた初期建設コストが大きい。また、日本の場合、適地のほとんどが国立公園内に存し、開発が制限されている。
●太陽熱発電
太陽熱による蒸気でタービンを回して発電するため、太陽光発電と比較して低コストで設置でき、夜間も蓄熱により発電可能だが、日射量が多い地域の必要があり、反射鏡を設置するために広大な土地を確保する必要もある。
11億4,900万トンで、前年度比5.1%減、2013年度比18.4%減。間接排出の部門別排出量(Scope2)については、2013年度比では全ての分野で減少しているが、前年度比では家庭部門のみ4.9%の増加となった。
なお、2021年10月に国連気候変動枠組条約事務局に提出した日本のNDC(国が決定する貢献)では「2030年度に温室効果ガスを2013年度比46%削減することを目指し、さらに50%の高みに向け、挑戦を続けていく」との削減目標を掲げている。
風力発電のデメリットとしては、ブレード(羽根)の回転による騒音や各地に分散して設置することによるコスト高などがあるが、ヨーロッパと比較して日本で普及しない理由は以下のとおり。
1.ヨーロッパは安定した偏西風が吹くが、日本では安定的な風が吹く場所が少ない。
2.日本は台風が頻発し、安定稼働が難しく、破損リスクもある。
3.イギリスなどは遠浅の海域が広がっており、「着床式」普及が容易だが、日本の近海は比較的深いため「浮体式」が必要であり、コスト高となる。
脱炭素社会に向けて、2050年二酸化炭素実質排出量ゼロに取り組むことを表明した地方公共団体(2050年ゼロカーボンシティ)が増えつつある。
2021年11月30日時点で表明した自治体は、40都道府県、295市、14特別区、119町、24村で、表明自治体総人口は約1億1,227万人に及んでいる。
環境省は、民間企業が取り組む地球温暖化対策事業を支援するため、2022年度「脱炭素ファンド」を創設する方針を固めた。
国が保有するNTT株の配当金などを財源に、民間プロジェクトに出資する財政投融資の仕組みを活用して200億円を出資する予定。民間資金の出資、融資も募り、事業規模として1000億円規模を目指す。
温室効果ガスを発生させないグリーンエネルギーに転換することで産業構造や社会経済を変革し、成長につなげることを指す。GはGreenの頭文字、Xは英語で「Trans」を略するときに用いられる文字。
国内において、2020年10月の当時の管首相による「2050年カーボンニュートラル」宣言、同年12月の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」策定、2021年4月の気候変動サミットでの日本の温室効果ガス排出量削減目標表明(2030年までに2013年比で46%削減する)等、GXは注目され始めている用語である。