Think ESG/SDGs Databaseアーカイブ

  • 2023.05.29
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金融庁が公表した見せかけESGファンド防止のための監督指針とは何?

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 金融庁は3月31日、「金融商品取引業者向けの総合的な監督指針」の一部改正を行い、ESGを掲げるファンドについての検証方針を公表した。この目的は、グリーンウオッシュ、グリーンウオッシングと呼ばれる「見せかけ」のESG投信を防ぐことにある。指針では、ESG投信の定義は「ESGを投資対象選定の主な要素としている。」等とし、これに該当しない場合には、ESG、SDGs、グリーン、脱炭素、インパクト、サステナブルなど、ESGに関連する用語が含まれないことを求めている。

 世界的にグリーンウオッシュが問題となっている中、今更感もあるが、見せかけファンドの抑止効果はあると考えられる。

 監督指針公表前に事前に行われたパブリックコメントでは、「主要な要素」は運用会社の判断事項とされ、数値基準などは示されていない。各社が自主的に基準を決めていくことで、自ずと業界スタンダードが定まっていくと考えられ、行政が一方的に基準を定めるよりも良い結果になるのではないか。

  • 2023.05.29
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東京都が予定している既存建物の温室効果ガス削減義務率の概要は?

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 東京都は5月22日、2025年度からの既存建物の温室効果ガス排出総量の削減義務率の強化を目指し、パブリックコメントの募集を始めた。大規模事業所(前年度の燃料、熱、電気の使用量が、原油換算で年間1,500kL以上の事業所)にCO2排出量の削減義務を課すものであり、2025〜29年度にオフィスビル、商業施設、宿泊施設等は50%(2002年から07年の間の3年間の平均比)、工場等は48%の削減を課す内容となっている。現行期間(20〜24年度)の削減率は、オフィスビル等が27%、工場等が25%のため、大幅な削減率アップとなっている。

 また、個別事業者の目標達成の手段として排出量取引も制度化されており、全国レベルでの導入に先駆けて実施されている。

 国レベルでの2050年のカーボンゼロ達成のためには、事業所・住宅の集中する東京都の取組が不可欠であり、着実な取組として評価したい。
 

  • 2023.05.29
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女性活躍に関する最近の政府の動きは?

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 内閣府の男女共同参画に関する有識者会議で5月22日、東証プライム上場企業が2030年までに女性役員比率30%以上を目指すことや、2025年をめどに女性役員を最低1人選任するよう努めるべきだとの提言があった。このところ、岸田首相や小倉内閣府特命担当大臣(女性活躍等担当)も同様の発言を繰り返している。

 このような政策が、日本社会に根強く残る男女の役割分担意識を変え、自律的に女性の社会参画が進むことのきっかけになるものと期待する。

  • 2023.05.15
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米国の最近の反ESG投資の動きは?

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 米国フロリダ州で、5月2日、ESGに配慮した投資を制限するいわゆる「反ESG法」にデサンティス知事が署名して成立した。フロリダ州の資金を投資する際にESG要因を考慮することを禁止する内容となっている。この動きは、共和党支持者が多い米国の他の州にも影響する可能性がある。

 また、バイデン大統領が拒否権を発動したものの、米国の上院下院でも今年3月ESGを考慮した投資判断を禁じる法案が可決されている。

 今後、脱炭素などの環境等への配慮が求められることが全く無くなるとは考えにくいが、脱炭素を目指す理想と地元のエネルギー関連業等を守りたい現実との間で時折揺り戻しの動きが起こることは避けられないようだ。

 米国を含む多くの国が2050年のカーボンニュートラルという最終目標を共有している一方で、ESGとは別の観点からの経済活動の目標もあるため、このように各国の実情に合わせながら柔軟に対応していくことが現実解としてやむを得ないと考えられる。
 

  • 2023.05.15
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東京都が募集を始めた太陽光発電設備と蓄電池の共同購入支援とは何?

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 東京都は太陽光発電設備と蓄電池の共同購入を希望する都民の募集を始めた。7月31日までに参加登録をすると後日見積りを受け取れる。登録をしても購入の義務はない。参加者が多ければ購入価格が安くなる可能性がある。更に東京都独自の補助金制度も条件が合えば利用できる。

 太陽光発電設備や蓄電池については、電気料金の節約につながり、災害時にも電気使用が可能となるなどのメリットがあるが、導入時の価格の高さが購入をためらう理由の一つになっていたので、この取組はこれらの設備の普及に役立つと思われる。共同購入により価格が安くなれば、財政負担を伴わずに普及促進ができるという点で評価したい。
 

  • 2023.05.15
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脱炭素等の環境問題(グリーン)への見せかけの取組である「グリーンウオッシュ」、「グリーンウオッシング」、それに関連した「グリーンハッシング」とは何?

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 企業が、実際には効果がないのに脱炭素等の環境問題に真摯に取り組んでいるように周囲を欺く見せ掛けの行動は「グリーンウオッシュ」あるいは「グリーンウオッシング」と呼ばれている。

   これに対し、「グリーンハッシング」とは、環境問題への取組姿勢で周囲から非難されることを避けるために、自社の環境問題への公表を行わないことを意味する。(ハッシングとは英語で黙っているという意味。)

  「グリーンウオッシュ」「グリーンハッシング」とも、企業の行動姿勢としては問題だが、現状では何が本当の「グリーン」なのかが明確に定まっていないという背景があることは事実だ。しかし、多くの企業は、少なくとも自社が公表する行動が本当の意味で環境問題に貢献しているかはより慎重に検討すべきであろう。例えば、ペットボトルや紙のリサイクル品であることを大々的に謳う商品があるが、リサイクル過程のCO2排出量まで計算して本当に意味があるかは検証の必要がある。こうした企業行動を正して、本当の「グリーン」を目指すためには、一般消費者の立場でも、「環境に優しい」などとしている商品に対して一旦疑いの目をもつことも必要だろう。
 

  • 2023.04.24
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2023年3月30日、衆議院を通過したGX推進法の内容は何?

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 脱炭素社会の実現に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)推進法案が3月30日、衆議院を通過した。脱炭素に向けた民間投資の呼び水とするための新しい国債「GX経済移行債」を10兆円規模で発行する。

 また、カーボンプライシングを本格的に導入して、削減目標を達成できなかった 企業に二酸化炭素(CO2)排出に応じた金銭的負担を求めることも盛り込まれており、移行債の償還財源となる。移行債の資金使途が、再エネ施設などグリーンと認められるものに限定されていないことから、脱炭素社会への移行に向けた、現実的な対応として有効ではないか。

  この対応が原子力発電の継続利用、CCS利用拡大による化石燃料の削減の遅れにつながるなどの問題点も指摘する向きもあるが、どの手段が本当の脱炭素につながるかは、まだ議論・検証の余地があると考えられる。

  • 2023.04.24
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2023年4月15日・16日に札幌市でG7気候・エネルギー・環境大臣会合が開かれたが、その成果は何?

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  4月16日に採択された共同声明では、世界全体で温室効果ガス削減について、2030年までに2019年比で43%の削減、2035年に同60%の削減が必要とし、化石燃料については、排出削減対策が講じられていないものについて、段階的削減を行うことなどで合意した。

 会議の途中、議長国の日本が石炭火力の廃止に抵抗していることが報じられたが、何とか合意にこぎ着けた。日本は、化石燃料への依存度が高いので妥当な結果と言える。しかし、CCS(温室効果ガスの回収・貯留)などの対策を講じていない化石燃料の削減を進めなければいけない状況には変わりなく。再エネ発電の増強、原子力発電の利用、CCS等の技術開発など、総力戦で対応していく必要があることを再認識すべきである。

  • 2023.04.24
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2023年3月31日、東京都は、「みらいの東京戦略」の一環として、ソーシャルインパクト投資ファンドへの出資を公表したが、その概要は?

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 3月31日、東京都は、ソーシャルインパクト投資ファンドに10億円を出資したと発表した。当該ファンドの投資対象は、「ウエルネス領域における課題解決を図るインパクト志向のスタートアップ(社会的にな課題に取組み、革新的なアイディアにより急成長が見込まれる企業)」としている。ウエルネス領域を、「身体的、精神的、社会的に健康で安心な状態」と定義し、健康、やりがい、介護支援、バイオサイエンスなどが例示されている。

  社会的な効果が分かりにくいが、一定の意義があるソーシャル分野の拡大のためには、投融資への呼び水が不可欠であり、有意義な取組と考えられる。

  • 2023.04.10
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東京都が配布を予定している「我が家の水害リスク診断書」とは何?

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 東京都は、ゼロメートル地帯が多い都内東部地域(江東区・墨田区・江戸川区・葛飾区・足立区)の浸水リスクが高い世帯に、関係区と連携して、「我が家の水害リスク診断書」を直接配布する事業を進めており、この夏から実施する見込みである。各戸ごとに、想定されるリスク、浸水深や推奨される避難方法を知らせる内容で、住民の危機意識や避難意識を向上させる狙いがある。

 風水害に不安を感じる人の割合は、令和元年東日本台風以降、低下傾向にある。従来のハザードマップの提示だけでは、自身のリスクと認識するのに限界がある中、有効な取組と考えられる。
 

  • 2023.04.10
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国交省が公表した「『社会的インパクト不動産』の実践ガイダンス」の概要は?

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国土交通省は、「『社会的インパクト不動産』の実践ガイダンス」により、不動産分野を取り巻く社会的課題解決に向けた不動産の評価項目を整理し、公表した。ひと・地域・地球の課題解決に取り組むことで社会的インパクトを創出し、価値向上を図る不動産を社会的インパクト不動産と定義している。具体的には、不動産に係る社会課題・取組を4段階(①安全・尊厳②心身の健康③豊かな経済④魅力ある地域)・14課題・52項目に整理し、実践に向けたポイント等をまとめている。いわゆるESGのS分野の項目をかなり広範囲に網羅しているが、不動産のハード面との関連で整理されているため、一般的にS分野の課題とされている女性・シニア層の活躍、児童労働問題などには直接は触れられていない。

  また、ロジックモデルと称して、個別の評価項目の評価方法(例えば、子育て支援施設の設置という評価項目に対しては、施設の利用者数や利用者の満足度を用いて評価)を例示している。

 これらの項目の多くは、定義や評価方法がバラバラであったが、今回評価方法が例示されたことから、不動産オーナーがS分野への投資をする際の参考になるのではないか。
 

  • 2023.04.10
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EUが2035年以降、内燃機関車の新車販売を認めないとしていた方針を変更したが、その背景は何?

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EU(欧州連合)は、2035年以降内燃機関車の新車販売を認めないとしていた方針を変更して、合成燃料を利用する場合には、内燃機関車の販売を認めることとした。合成燃料は既存の内燃機関車で利用が可能なことから、完全EV化すると既存自動車産業が壊滅的な打撃を受ける可能性があるドイツに配慮した結果である。もともと、ハイブリッド車の開発に出遅れ、代替策として進めたクリーンディーゼルエンジンもうまくいかなかった欧州が、打開策として打ち出した側面がある全面EV化に無理があったとも考えられる。

 EV車に完全シフトせず、ハイブリッド車、水素燃料電池車等の可能性も模索する日本勢にとっては、朗報とも言えるが、合成燃料は、ガソリンに比べてコスト高のため、このまま内燃機関車が生き残れると決まったわけではない。
 

  • 2023.03.27
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IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が3月20日に公表した第6次統合報告書の要約の概要は何?

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 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による第6次統合報告書の政策決定者向け要約が公表された。これは、気候変動に関する最新の科学的知見をまとめたものとされている。

 今回の報告書では、「人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことは疑う余地がない」、「1850〜1900年を基準とした世界平均気温は2011〜2020年に1.1℃の温暖化に達した」、「継続的な温室効果ガスの排出は更なる地球温暖化をもたらし、短期のうちに1.5℃に達する」との見通しが示された。

 しかし、同時に今すぐ対策を講じることで、海面水位の上昇、洪水の増加、熱中症の増加など、温暖化に関連したリスクを抑えることが可能であることも示された。

 なお、統合報告書の内容は、これまで順次公表されており、今回はこれまでの公表内容が統合された報告書として最終的に採択されたものである。

 産業界の急激な脱炭素化は業種によっては現実的ではなく、その進捗は一本調子では進まないが、脱炭素化の必要性については、改めて強く認識しておく必要がある。

  • 2023.03.27
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西村経済産業大臣は、22日の閣議後の記者会見で、「再エネ賦課金」の減額について明らかにしたが、その背景は何?

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「再エネ賦課金」とは「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の略で、太陽光発電などの再エネ電力の買取原資として、電気代に上乗せして徴収されている。太陽光発電パネルを設置している家庭や事業者には恩恵があるが、設置していない者は徴収されるばかりという批判もありながなら、再エネ施設の普及には大きな役割を果たしてきた。

  これについて、西村経産大臣は、4月から1キロワット時当たり2円程度低下する見込みと宣べた。一般家庭の電気料金は月に800円ほど下がる見通しとなっている。電力の市場価格高騰に伴い、再エネ販売業者の収入が増加する結果として、賦課金が低下する見込みとなっている。

  毎年上昇が続いていた賦課金が下がること自体は朗報だが、そもそもの電気料金の上昇が続いている中、焼け石に水の状態となっている。

  • 2023.03.27
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神奈川県川崎市が、建物への太陽光パネルの設置義務化を行う見込みだが、その背景は何?

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  東京都の住宅への太陽光パネル設置義務化がよく報道されているほか、京都府・京都市・群馬県などで、建物への太陽光パネルの設置を促す条例が施行されているが、2025年度から神奈川県川崎市も戸建住宅等に太陽光発電設備の設置を義務づける条例改正案を可決した。

  同市は、京浜工業地帯の工場や発電施設が多く、温暖化ガスの排出量が多い。自ら発行する公表資料で、全国の政令市の中で川崎市が最も温暖化ガス排出量が多いことを認めており、対外的にも対応策の公表が必須だったとも考えられる。

  今後、建築物への太陽光パネル設置義務を課す自治体が増えることが予想される。初期費用のコスト負担やパネルの廃棄処理の問題があるが、当面の脱炭素化の目標達成のためには有効ではないか。

  • 2023.03.13
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米国年金基金が投資に際してESGの要素を考慮することを禁止する法案についての、最近の動きは?

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 米国の企業年金は、トランプ前政権時代に、投資に際して金銭的要素のみを考慮すべことが義務づけられた。しかし、バイデン現政権になって方針が変わり、ESG要因の考慮を認める規則が2023年1月末に発効した。ところが、米国の上院下院とも、ESGを考慮した投資判断を禁じる法案を可決した。バイデン大統領は、これに対し拒否権を発動すると見られている。

 両院の動きは、化石燃料の高騰で米国の石油メジャーの事業収支が未曽有の黒字となり、株主への配当とともにCO2削減のための設備投資を増やすという宣言をしたことに対し、共和党だけでなく、民主党の一部も呼応したものと推測できる。

 このところウクライナ戦争をきっかけに、EUを中心とした行きすぎたESG投資礼賛にブレーキがかかり、EUタクソノミーでも移行期においては、原子力と化石燃料であるLNGの利用が認められた。また、日本でも岸田首相がGXに関する予算化の説明において、資源の乏しい日本では、規制の厳しいグリーンファイナンスより移行ファイナンスによる調達が望ましいことを公表している。世界のリーダーである米国のESG投資に対するソフトランディングの姿勢は、日本や新興国の脱炭素社会への進め方と歩調が合っていると考えられる。

 

  • 2023.03.13
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PRI(国連責任投資原則)の発表によると、ESGに関する株主提案を実効した企業の割合は?

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 PRI(国連責任投資原則)事務局の発表によると、2022年に米国のラッセル3000インデックスに登録されている上場企業に対し、924件のESGに関する株主提案がされ、その内78件が株主の過半数の支持を得た。

 しかし可決された株主提案の内容を完全に実施した割合はわずか23%にすぎず、部分的に実施した割合も14%に留まっている。

 企業がESG対応に真剣に取り組むためには、取り組まなかった場合のデメリットがより明確化されるのを待つ必要がありそうだ。産業革命以降400年にわたり化石燃料を基にして経済発展を遂げてきた人類は、地球温暖化が先進国の経済活動を破壊するというエビデンスが顕在化しない限り、急激にグリーンファイナンスへシフトすることはないだろう。移行ファイナンスによる脱炭素社会の達成と、温暖化による洪水被害等自然災害が、経済活動で得られる利益以上の損害額を顕在化させることの、どちらが先に証明されるかによって脱炭素社会へ向かうスピードは変わっていくだろう。

 
 
 

  • 2023.03.13
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都市ガス会社が脱炭素の切り札として開発している技術は何?

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 燃料関連での脱炭素化の取組として、石炭石油から天然ガスへの移行、再生可能エネルギー利用の拡大、CCUS(二酸化炭素の分離・回収・資源としての再利用)などが進められているが、都市ガス各社が進めているのは、メタネーション(水素と二酸化炭素からメタンを合成する技術)の開発。発電所や工場から回収したCO2を原料にメタンを作れば、燃焼時のCO2と相殺され実質排出量はゼロとなる。コスト高が現在の課題だが、既存インフラやガス機器を活用でき、脱炭素の切り札となると期待される。

  • 2023.02.27
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国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が、気候変動の情報開示基準を2024年から適用すると決めたが、これに対応した日本基準の適用時期は?

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 国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は2月16日、新たな気候変動の情報開示基準を2024年から適用すると決めた。内容は、「S1基準」と呼ばれる「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」と、「S2基準案」と呼ばれる「気候関連開示」。

 これに対応した日本基準の策定をサステナビリティ基準委員会が策定予定である。公開草案の目標公表時期が2023年度中、確定基準の目標公表時期を2024年度中とし、3月期決算を前提とした場合、2026年3月期から早期適用が可能となる見込みである。

 日本基準の策定をなるべく早め、国際基準とのタイムラグを少しでも縮めることを期待したい。
 

  • 2023.02.27
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次世代太陽電池といわれ注目されている「ペロブスカイト太陽電池」とは何?

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 ペロブスカイト太陽電池とは、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を有する材料を発電層として用いた太陽電池の総称。2009年桐蔭橫浜大学の宮坂教授が世界で初めて報告したが、当初発電効率が低く注目されなかった。しかしその後発電効率アップが計られ、次世代太陽電池の有力候補となっている。

 特徴としては、大幅な低コスト化が可能で、フィルム材料への形成が可能で薄く軽量のため、工場や倉庫屋根など設置可能場所が飛躍的に広がる可能性がある。

 耐久性の向上など課題を克服して、太陽光発電、陸上風力発電の適地が少ない日本の弱点克服に寄与してもらいたい。

  • 2023.02.27
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2023年4月から正式に活動を始める「GXリーグ」とは何?

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「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」とは、二酸化炭素(CO2)の排出削減に取り組み、国際ビジネスで勝てる企業が自主的にGXを牽引する仕組み。2023年1月末時点で679社が賛同を表明している。この679社で日本のCO2排出量の4割以上を占めており、その影響は大きい。

 4月から正式に活動を始め、まずは、CO2削減量を売買できる排出量取引を試行開始するほか、市場創造のためのルール形成をめざしている。

  政府は、今後発行する「GX経済移行債」による資金をGXリーグ参加企業を手厚く支援することも視野に入れているなど、当初より取組の方向性が明確化してきている。

 これまで、環境問題に関しては、欧州が主導権を握りがちだったが、日本企業が、世界に貢献するためのリーダーシップのあり方を示すことが目標になっており、この活動が尻すぼみにならないことを期待したい。