Think ESG/SDGs Databaseアーカイブ

  • 2023.02.27
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国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が、気候変動の情報開示基準を2024年から適用すると決めたが、これに対応した日本基準の適用時期は?

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 国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は2月16日、新たな気候変動の情報開示基準を2024年から適用すると決めた。内容は、「S1基準」と呼ばれる「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」と、「S2基準案」と呼ばれる「気候関連開示」。

 これに対応した日本基準の策定をサステナビリティ基準委員会が策定予定である。公開草案の目標公表時期が2023年度中、確定基準の目標公表時期を2024年度中とし、3月期決算を前提とした場合、2026年3月期から早期適用が可能となる見込みである。

 日本基準の策定をなるべく早め、国際基準とのタイムラグを少しでも縮めることを期待したい。
 

  • 2023.02.27
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次世代太陽電池といわれ注目されている「ペロブスカイト太陽電池」とは何?

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 ペロブスカイト太陽電池とは、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を有する材料を発電層として用いた太陽電池の総称。2009年桐蔭橫浜大学の宮坂教授が世界で初めて報告したが、当初発電効率が低く注目されなかった。しかしその後発電効率アップが計られ、次世代太陽電池の有力候補となっている。

 特徴としては、大幅な低コスト化が可能で、フィルム材料への形成が可能で薄く軽量のため、工場や倉庫屋根など設置可能場所が飛躍的に広がる可能性がある。

 耐久性の向上など課題を克服して、太陽光発電、陸上風力発電の適地が少ない日本の弱点克服に寄与してもらいたい。

  • 2023.02.27
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2023年4月から正式に活動を始める「GXリーグ」とは何?

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「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」とは、二酸化炭素(CO2)の排出削減に取り組み、国際ビジネスで勝てる企業が自主的にGXを牽引する仕組み。2023年1月末時点で679社が賛同を表明している。この679社で日本のCO2排出量の4割以上を占めており、その影響は大きい。

 4月から正式に活動を始め、まずは、CO2削減量を売買できる排出量取引を試行開始するほか、市場創造のためのルール形成をめざしている。

  政府は、今後発行する「GX経済移行債」による資金をGXリーグ参加企業を手厚く支援することも視野に入れているなど、当初より取組の方向性が明確化してきている。

 これまで、環境問題に関しては、欧州が主導権を握りがちだったが、日本企業が、世界に貢献するためのリーダーシップのあり方を示すことが目標になっており、この活動が尻すぼみにならないことを期待したい。

  • 2023.02.13
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東京都がバイオ燃料を利用したバスの運行を実施しているが、その意義は?

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 東京都は、電力のHTTと称して、電力を「H」減らす・「T」創る・「T」蓄めるを推進するほか、ゼロエミッション東京の実現に向けた対策を進めている。

 その一環として、環境にやさしいバイオ燃料の活用推進と普及のため、都営バス58両をバイオ燃料により運行し始めた。その内5両についてはラッピングでバイオ燃料による運行をアピールしている。運行期間は1ヶ月程度としている。東京都は昨年夏にはバイオ燃料による屋形船の運行を行ったがこちらは1週間程度であった。

 せっかくの取組なので、より長期間運行し、ラッピング車両をもっと増やして、アピールしては如何か。

  • 2023.02.13
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政府が発行を目指しているGX移行債とは何?その意義は?

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 地球温暖化ガスの排出を2050年までに実質的にゼロにするのために必要と言われている約150兆円の投資額のうち、約20兆円を国がGX経済移行債として調達して、民間の投資が活発化するためのきっかけになることを目指している。

 資金使途を再エネ施設などグリーンと認められるものに限定する「環境債」ではなく、「移行債(トランジションボンド)」とすることで、現在温暖化ガスの排出量が多い企業が脱炭素化をはかるたことなどに利用されるため、現在の日本の実態には合っていることは評価できるが、債券として投資家に通常の国債より選好されるのかは不透明である。

  • 2023.02.13
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環境省、経済産業省、国土交通省の3省が共同で行っている、住宅省エネ化支援とは何?

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 環境省、経済産業省及び国土交通省は、住宅の省エネリフォーム等に関する新たな補助制度を創設し、ワンストップで利用可能とするなど、連携して支援を行っている。

 具体的には、①こどもエコすまい支援事業(子育て世帯のZEHレベルの家の新築に100万円、リフォームに30万円の補助等)、②先進的窓リノベ事業(高性能な断熱窓への改修で最大200万円の補助等)、③給湯省エネ事業(高効率給湯器の設置で15万円の補助等)で、総予算額は2800億円となっている。

 従来各省の支援策はバラバラで利用しにくかったが、申請手続きを事業者が代行することで、ワンストップで利用可能となったことは評価できる。

  • 2023.01.30
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国土交通省が進めているLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅整備推進事業とは何?

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 LCCM住宅とは、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)よりさらにCO2排出量の削減を進めた脱炭素化住宅で、建設時、運用時、廃棄時の各段階においてCO2排出量削減に取り組み、太陽光発電など再生可能エネルギーを利用して、CO2の収支をマイナスにする住宅を言う。

 ① ZEHの要件を満たすこと、②一次エネルギー消費量が現行の省エネ基準値から25%削減されていること、③ライフサイクル全体のCO2排出量を算定した結果が0以下となることの基準を満たした場合に、一戸当たり上限140万円を補助する。

 建設資材、人件費の値上がりが普及の阻害要因となるが、環境志向の富裕層から徐々に普及していくことを期待する。

  • 2023.01.30
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2023年3月期決算以降の有価証券報告書で記載を求められる「人的資本」の概要は?

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 「人的資本」とは、人材や人材が持つ知識や能力をいい、近年注目度を増す非財務情報の一つ。人手不足のなか、「人材」を宝と考え、「材」に「財」の字を充てることもある。

 日本では、2023年3月期決算以降の有価証券報告書で開示が義務づけられた。具体的な開示項目は、人材育成方針、社内環境整備方針、これらに関する指標・目標等のサステナビリティ情報、女性管理職比率、男性育休取得率、男女間賃金格差等となっている。

 サステナビリティ情報については、定量的な評価が難しいが、開示が普及することで、企業や従業員の意識が高まっっていくだろう。

  • 2023.01.30
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かねてより心配されていた南極上空のオゾン層破壊に関する最近の状況は?

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 冷蔵庫の冷媒等で過去使われていたフロン等により、南極上空のオゾン層が破壊され紫外線が直接照射されることが懸念されていたが、国連環境計画(UNEP)は、南極上空のオゾン層が修復されてきており、2066年ごろまでに、破壊が認識される前の1980年の水準に回復するとの予測を発表した。

 1989年にフロン等のオゾン層破壊物質の生産を禁じる「モントリオール議定書」が発効し、その後の各国の対策が功を奏したと見られる。

 近年、地球温暖化ガス排出削減に向けた取組については、目標未達や各国間の利害対立が目立つ中、数少ない環境対策の成功例と言える。

  • 2023.01.16
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環境省が音頭を取って2022年10月にスタートした、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」とは何?

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 2030年までに住宅仕様・設備の高性能化、サステナブルファッションの取り入れ、働き方改革、次世代自動車の利用等により、温室効果ガス削減目標達成と共に、経費節減(例示では年間43万円)、余暇時間の創出(同388時間)などを目指す、新しい暮らしの実現を目指す運動。

 第1弾の具体的な個別アクションとして、①全世代が働きやすい服装を選べる"オフィス服装改革"の呼びかけ、②快適で健康な暮らしにつながる住宅断熱リフォーム促進キャンペーン、③テレワークの率先垂範、国立公園のデジタル化(ワーケーション・インバウンド対応)があげられている。

 更に、ポータルサイトを設け、新しい暮らしを支える製品・サービスの提案や企業・自治体等の取組情報の登録を推奨しているとともに、新しい暮らし方を体感できる拠点を設定していくとしている。
 脱炭素社会の実現のためには、個人レベルでのライフスタイルの変革も重要であり、国は、この取組についてもっと発信していくべきではないか。

  • 2023.01.16
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2022年12月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が発表した「スコープ3」の排出量の開示時期延長の背景は何?

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 2022年12月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、策定途中の気候変動関連の情報開示基準で、取引先全体に関わる「スコープ3」と呼ばれる二酸化炭素排出量の開示時期に最低1年の猶予期間を設けることを決めた。

 「スコープ3」はすべての取引先にデータ開示を要請する必要があり、個別企業の負担が大きく実施は容易ではない。厳しすぎる基準のため、開示が進まないことを避けるため、各国の産業界からの要望に配慮した。

 企業は当面の負担は回避できた形だが、あくまで開示時期の先延ばしであり、先に開示に対応した企業が現れると差別化されてしまうため、引き続き対応を検討する必要がある。 

  • 2023.01.16
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日本不動産研究所等が認証機関となっている不動産レジリエンス認証制度「ResReal(レジリアル)」とは何?

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「ResReal(レジリアル)」は自然災害に対する不動産のレジリエンスを定量化・可視化する認証制度。地震・津波・土砂災害などの自然災害ごとの不動産のレジリエンスを評価するが、当面は水害のみを評価対象としてスタートしている。

立地や浸水対策などの建物の性能(ハード面)だけでなく、災害時用の備蓄や防災訓練などのソフト面も考慮し、総合的・定量的にその内容を評価するものとなっており、将来的には、TCFDおける物理リスク開示に利用されることも目標としている。

  • 2022.12.27
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自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)とは何?

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 2019年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、「自然関連財務情報開示タスクフォース」(TNFD: Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)が、気候関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)に続く枠組みとして着想された。民間企業や金融機関が、自然資本および生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築する国際的なイニシアチブとなっている。

 2022年3月には、最初のβ版フレームワークが公表され、2023年9月リリース予定の最終版に向けて、順次改訂版が作成されている。民間企業が自然資本、生物多様性に関する開示を行う場合には、TNFDがベースになると考えられるが、2022年12月のCOP15においては、開示の義務化まではされなかった。TCFD同様、企業の開示義務を強化をすることが対策の推進力アップにつながると考えられる。

  • 2022.12.27
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カナダ(モントリオール)において開催されたCOP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」で、2つの都市名が併記されているのは何故?

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 生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の第一部は、新型コロナウイルス感染症の影響により、当初の予定の2020年10月から延期され2021年10月に中国(昆明)でオンライン・対面併用で開かれ「昆明宣言」を出した。その後2022年春に昆明で対面による第二部の会議が開催される予定であった。

 しかし、中国国内の新型コロナウイルスの流行で延期され、議長国は中国のまま、2022年12月7日~19日に開催地をカナダ(モントリオール)に変更して開催することになった。そのため、昆明とモントリオールの2つの都市名が併記されている。

  • 2022.12.27
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12月7日から19日まで開催された生物多様性条約第15回締約国会議第二部(COP15)での合意事項は何?

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 カナダ(モントリオール)において、生物多様性条約第15回締約国会議第二部(COP15)が開催され、2030年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」等が採択された。

 この枠組みでは、各国が陸と海のそれぞれ30%以上を保護・保全(30by30) することが盛り込まれた。
 また、大企業や金融機関が環境負荷に与える影響を開示する措置を講じることにも合意したが、義務化はされておらず、実効性は見通せない。また、先進国から途上国に2025年までに年200億ドルを拠出することも決めたが、実効性は不透明である。

 生物多様性の問題は、頻発する大規模災害のようなインパクトがないので危機感が乏しいが、気候変動問題と表裏一体であり、迅速な対応が望まれる。

  • 2022.12.12
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世界気象機関の報告によると、2022年の世界平均気温は、産業革命前と比べてどのくらい上昇した?

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 世界気象機関(WMO)がまとめた「2022年の地球の気候(暫定版)」によると、2022 年の世界平均気温は、1850 年から 1900 年より 1.15 ± 0.13度 高いと推定されている。2015 年から 2022 年までの 8 年間は、記録上最も暑い 8 年になる可能性が高いとされている。なお、2020年後半からラニャーニャ現象が断続的に続き、平均気温を引き下げる要因となっていることも指摘されている。

 ラニャーニャ現象の影響を受けながらも最高気温となりそうということは、地球温暖化が加速している可能性があり、対策は待ったなしと考えられる。

  • 2022.12.12
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11月18日、日本はパプアニューギニアと二国間クレジット制度の協定覚書に署名したが、パプアニューギニアは二国間クレジット制度協力国として何カ国目?

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 11月18日、COP27の開催地であるエジプトにおいて、日本はパプアニューギニアとの間で、二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)の構築に関する協力覚書の署名を行った。

 これまで日本がJCMを締結したJCMパートナー国は、モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ベトナム、コスタリカ、サウジアラビア、チリ、ジョージア等の24か国であり、パプアニューギニアは25か国目。

 JCMは途上国と協力して実施した対策によって実現した排出削減量をクレジットとして、削減の効果を二国間で分け合う制度。関係国だけで都合良くルールが作られる点が問題点として指摘されているが、カーボンゼロに到達するまでの途中段階では、この制度の活用もやむを得ないのではないか。

  • 2022.12.12
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11月29日、環境省のモデル事業に選ばれた「京都ゼロカーボン・フレームワーク」とは何?

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 「京都ゼロカーボン・フレームワーク」とは、中小企業がサステナビリティ・リンク・ローン(環境対策の達成目標が明示されているローン)を組成する際に必要な第三者評価に、京都府条例等に基づく「事業者排出量削減計画・報告・公表制度」を準用することで、第三者評価に要する費用負担なくサステナビリティ・リンク・ローンを組成できる枠組みのこと。

    京都府は地域金融機関や工業団体等が参画するコンソーシアム設立し、府内企業の脱炭素化の底上げを目指している。

   第三者評価に必要な費用負担がなくなることは一定のメリットがあるが、借入者の事務負担などの問題は残ったままで、脱炭素化の推進のためには、中小企業の環境対策への意識改善への努力を地道に続けることが求められる。

  • 2022.11.28
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2022年11月20日に閉幕したCOP27の成果は何?

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 COP27(第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が、世界の気候変動への対応策を協議するため、エジプトのシャルムエルシェイクで開かれ、11月20日に閉幕した。

 干ばつや洪水など気候変動による「損失と被害」への対応が主要課題となり、先進国が途上国を支援する基金を創設することまでは合意した。しかし、具体的な枠組みは先送りである。

 一方、ロシアのウクライナ侵攻により排出削減目標の後退まで懸念されていたが、気温上昇を1.5度に押さえる努力をすることは再確認された。

  • 2022.11.28
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延期が続いているCOP15(生物多様性条約第15回締約国会議)の開催予定は?

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 生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は、2021年10月に中国を議長国としてオンラインで会議が開かれ、その後今年春に中国・昆明で対面による会議が開催される予定であった。

 しかし、中国国内の新型コロナウイルスの流行で延期され、議長国は中国のまま、今年12月5日~17日に開催地をカナダ・モントリオールに変更して開催することになった。

 この会議では、2030年までの新しい国際目標「ポスト2020生物多様性枠組み」(GBF)が最終合意される見通しとなっている。

  • 2022.11.28
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2023年3月期から上場企業において開示が必須となるサステナビリティ情報とは?

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 金融庁は、11月7日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案を公表した。サステナビリティに関して開示を求めている主な事項は以下のとおり。

・「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄を新設し、「ガバナンス」及び「リスク管理」については、必須記載事項とした。
・人材の多様性の確保を含む人材育成の方針や社内環境整備の方針及び当該方針に関する指標の内容等について必須記載事項として、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」の記載を求めることとした。

 このような開示を強制することで、例えば無理に女性管理職比率を高めるのは本末転倒ではあるが、企業に改革を促す意味では効果があるのではないか。