Think ESG/SDGs Databaseアーカイブ

  • 2023.01.16
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環境省が音頭を取って2022年10月にスタートした、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」とは何?

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 2030年までに住宅仕様・設備の高性能化、サステナブルファッションの取り入れ、働き方改革、次世代自動車の利用等により、温室効果ガス削減目標達成と共に、経費節減(例示では年間43万円)、余暇時間の創出(同388時間)などを目指す、新しい暮らしの実現を目指す運動。

 第1弾の具体的な個別アクションとして、①全世代が働きやすい服装を選べる"オフィス服装改革"の呼びかけ、②快適で健康な暮らしにつながる住宅断熱リフォーム促進キャンペーン、③テレワークの率先垂範、国立公園のデジタル化(ワーケーション・インバウンド対応)があげられている。

 更に、ポータルサイトを設け、新しい暮らしを支える製品・サービスの提案や企業・自治体等の取組情報の登録を推奨しているとともに、新しい暮らし方を体感できる拠点を設定していくとしている。
 脱炭素社会の実現のためには、個人レベルでのライフスタイルの変革も重要であり、国は、この取組についてもっと発信していくべきではないか。

  • 2023.01.16
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2022年12月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が発表した「スコープ3」の排出量の開示時期延長の背景は何?

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 2022年12月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、策定途中の気候変動関連の情報開示基準で、取引先全体に関わる「スコープ3」と呼ばれる二酸化炭素排出量の開示時期に最低1年の猶予期間を設けることを決めた。

 「スコープ3」はすべての取引先にデータ開示を要請する必要があり、個別企業の負担が大きく実施は容易ではない。厳しすぎる基準のため、開示が進まないことを避けるため、各国の産業界からの要望に配慮した。

 企業は当面の負担は回避できた形だが、あくまで開示時期の先延ばしであり、先に開示に対応した企業が現れると差別化されてしまうため、引き続き対応を検討する必要がある。 

  • 2023.01.16
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日本不動産研究所等が認証機関となっている不動産レジリエンス認証制度「ResReal(レジリアル)」とは何?

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「ResReal(レジリアル)」は自然災害に対する不動産のレジリエンスを定量化・可視化する認証制度。地震・津波・土砂災害などの自然災害ごとの不動産のレジリエンスを評価するが、当面は水害のみを評価対象としてスタートしている。

立地や浸水対策などの建物の性能(ハード面)だけでなく、災害時用の備蓄や防災訓練などのソフト面も考慮し、総合的・定量的にその内容を評価するものとなっており、将来的には、TCFDおける物理リスク開示に利用されることも目標としている。

  • 2022.12.27
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自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)とは何?

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 2019年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、「自然関連財務情報開示タスクフォース」(TNFD: Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)が、気候関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)に続く枠組みとして着想された。民間企業や金融機関が、自然資本および生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築する国際的なイニシアチブとなっている。

 2022年3月には、最初のβ版フレームワークが公表され、2023年9月リリース予定の最終版に向けて、順次改訂版が作成されている。民間企業が自然資本、生物多様性に関する開示を行う場合には、TNFDがベースになると考えられるが、2022年12月のCOP15においては、開示の義務化まではされなかった。TCFD同様、企業の開示義務を強化をすることが対策の推進力アップにつながると考えられる。

  • 2022.12.27
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カナダ(モントリオール)において開催されたCOP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」で、2つの都市名が併記されているのは何故?

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 生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の第一部は、新型コロナウイルス感染症の影響により、当初の予定の2020年10月から延期され2021年10月に中国(昆明)でオンライン・対面併用で開かれ「昆明宣言」を出した。その後2022年春に昆明で対面による第二部の会議が開催される予定であった。

 しかし、中国国内の新型コロナウイルスの流行で延期され、議長国は中国のまま、2022年12月7日~19日に開催地をカナダ(モントリオール)に変更して開催することになった。そのため、昆明とモントリオールの2つの都市名が併記されている。

  • 2022.12.27
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12月7日から19日まで開催された生物多様性条約第15回締約国会議第二部(COP15)での合意事項は何?

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 カナダ(モントリオール)において、生物多様性条約第15回締約国会議第二部(COP15)が開催され、2030年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」等が採択された。

 この枠組みでは、各国が陸と海のそれぞれ30%以上を保護・保全(30by30) することが盛り込まれた。
 また、大企業や金融機関が環境負荷に与える影響を開示する措置を講じることにも合意したが、義務化はされておらず、実効性は見通せない。また、先進国から途上国に2025年までに年200億ドルを拠出することも決めたが、実効性は不透明である。

 生物多様性の問題は、頻発する大規模災害のようなインパクトがないので危機感が乏しいが、気候変動問題と表裏一体であり、迅速な対応が望まれる。

  • 2022.12.12
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世界気象機関の報告によると、2022年の世界平均気温は、産業革命前と比べてどのくらい上昇した?

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 世界気象機関(WMO)がまとめた「2022年の地球の気候(暫定版)」によると、2022 年の世界平均気温は、1850 年から 1900 年より 1.15 ± 0.13度 高いと推定されている。2015 年から 2022 年までの 8 年間は、記録上最も暑い 8 年になる可能性が高いとされている。なお、2020年後半からラニャーニャ現象が断続的に続き、平均気温を引き下げる要因となっていることも指摘されている。

 ラニャーニャ現象の影響を受けながらも最高気温となりそうということは、地球温暖化が加速している可能性があり、対策は待ったなしと考えられる。

  • 2022.12.12
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11月18日、日本はパプアニューギニアと二国間クレジット制度の協定覚書に署名したが、パプアニューギニアは二国間クレジット制度協力国として何カ国目?

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 11月18日、COP27の開催地であるエジプトにおいて、日本はパプアニューギニアとの間で、二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)の構築に関する協力覚書の署名を行った。

 これまで日本がJCMを締結したJCMパートナー国は、モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ベトナム、コスタリカ、サウジアラビア、チリ、ジョージア等の24か国であり、パプアニューギニアは25か国目。

 JCMは途上国と協力して実施した対策によって実現した排出削減量をクレジットとして、削減の効果を二国間で分け合う制度。関係国だけで都合良くルールが作られる点が問題点として指摘されているが、カーボンゼロに到達するまでの途中段階では、この制度の活用もやむを得ないのではないか。

  • 2022.12.12
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11月29日、環境省のモデル事業に選ばれた「京都ゼロカーボン・フレームワーク」とは何?

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 「京都ゼロカーボン・フレームワーク」とは、中小企業がサステナビリティ・リンク・ローン(環境対策の達成目標が明示されているローン)を組成する際に必要な第三者評価に、京都府条例等に基づく「事業者排出量削減計画・報告・公表制度」を準用することで、第三者評価に要する費用負担なくサステナビリティ・リンク・ローンを組成できる枠組みのこと。

    京都府は地域金融機関や工業団体等が参画するコンソーシアム設立し、府内企業の脱炭素化の底上げを目指している。

   第三者評価に必要な費用負担がなくなることは一定のメリットがあるが、借入者の事務負担などの問題は残ったままで、脱炭素化の推進のためには、中小企業の環境対策への意識改善への努力を地道に続けることが求められる。

  • 2022.11.28
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2022年11月20日に閉幕したCOP27の成果は何?

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 COP27(第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が、世界の気候変動への対応策を協議するため、エジプトのシャルムエルシェイクで開かれ、11月20日に閉幕した。

 干ばつや洪水など気候変動による「損失と被害」への対応が主要課題となり、先進国が途上国を支援する基金を創設することまでは合意した。しかし、具体的な枠組みは先送りである。

 一方、ロシアのウクライナ侵攻により排出削減目標の後退まで懸念されていたが、気温上昇を1.5度に押さえる努力をすることは再確認された。

  • 2022.11.28
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延期が続いているCOP15(生物多様性条約第15回締約国会議)の開催予定は?

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 生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は、2021年10月に中国を議長国としてオンラインで会議が開かれ、その後今年春に中国・昆明で対面による会議が開催される予定であった。

 しかし、中国国内の新型コロナウイルスの流行で延期され、議長国は中国のまま、今年12月5日~17日に開催地をカナダ・モントリオールに変更して開催することになった。

 この会議では、2030年までの新しい国際目標「ポスト2020生物多様性枠組み」(GBF)が最終合意される見通しとなっている。

  • 2022.11.28
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2023年3月期から上場企業において開示が必須となるサステナビリティ情報とは?

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 金融庁は、11月7日に「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案を公表した。サステナビリティに関して開示を求めている主な事項は以下のとおり。

・「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄を新設し、「ガバナンス」及び「リスク管理」については、必須記載事項とした。
・人材の多様性の確保を含む人材育成の方針や社内環境整備の方針及び当該方針に関する指標の内容等について必須記載事項として、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」の記載を求めることとした。

 このような開示を強制することで、例えば無理に女性管理職比率を高めるのは本末転倒ではあるが、企業に改革を促す意味では効果があるのではないか。

  • 2022.11.14
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政府・与党は2023年度税制改正での「炭素税」の導入を見送ったが、その理由と影響は?

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 「炭素税」は、排出量取引と並び、二酸化炭素排出量に価格を付けて、排出量削減を目指すカーボンプライシングの施策の1つ。
 政府・与党は2023年度の税制改正で、二酸化炭素排出量に比例した課税を行う炭素税の導入を先送りすることを決定した。
 ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響でエネルギー価格が高騰するなかでの負担増に産業界から反対が出ていた。
 排出量取引を含めたカーボンプライシングの導入を急がないと、2030年の温室効果ガス46%削減(2013年比)の実現が難しくなるのではないか。

  • 2022.11.14
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「再生可能エネルギー発電促進賦課金」とは何?

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 「再生可能エネルギー発電促進賦課金」とは、再生可能エネルギーの普及のために設けられている「固定価格買取制度」による電気事業者の電力買取費用を、電気の使用者が使用量に応じて負担する金額をいう。再生可能エネルギー発電設備の普及を後押しすることが目的。
 賦課金は2012年は0.02円/kWhだったが2021年には3.36円まで上昇しており、電気使用者の負担となっている。また、個人レベルでは太陽光発電設備に投資した者のみこの制度の恩恵を受けられる(高い価格で電気を買い取ってもらえる)ため、金持ち優遇策という批判がある。

  • 2022.11.14
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「地球温暖化対策のための税」とは何?

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 日本では、「地球温暖化対策のための税」として、実質的な炭素税とも言える税が導入されている。
 石油・天然ガス・石炭といったすべての化石燃料の利用に対し、環境負荷に応じて広く薄く公平に負担を求める仕組みとなっている。納税義務者は化石燃料の採取者等で、税額を販売先に転嫁するかは事業者の判断となっている。
 CO2排出量1トン当たり298円になるように化石燃料ごとに税率を設定しているが、EU諸国は10倍以上の水準であり、現状では、十分なCO2排出削減効果が期待できるレベルとはなっていない。

  • 2022.10.31
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家庭部門のCO2排出量の割合と2030年に向けての削減目標は? また、その削減目標達成のためにとられているZEH(ゼロエネルギーハウス)普及への課題は何?

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 2019年度の日本のCO2排出量の部門別割合では、産業部門34.7%、運輸部門18.6%、業務部門17.4%についで、家庭部門は14.4%を占めている。

 2013年度で208百万t-CO2であった家庭部門の排出量が、2019年度では159百万t-CO2となり23%削減されているが、国全体での2030年度の2013年度比削減目標46%を達成するためには、家庭部門の排出量70百万t-CO2(2013年度比66%)を達成する必要があり、部門別で最大の削減率目標となっている。

 家庭部門の排出量削減のためには、住宅の省エネルギー性能の向上と太陽光発電設備による創エネが必要であり、これらを兼ね備えたZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及が求められている。

 しかし、個人の費用負担の重さ・施工者の技術不足等がZEH普及の壁になっている。そのため、行政の取り組みとして東京都は新築戸建て住宅の屋根に太陽光パネルを設置することを2025年に一定規模以上のハウスメーカーに義務化するとともに普及促進のための補助をする条例を今年12月に成立させることをめざしている。

  • 2022.10.31
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企業のサステナビリティの維持のために、最近開示が求められている項目は何?

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 近年重視されている企業のサステナビリティを維持するためには、気候変動への対応(ESGのE分野)に加えて、人的資本や多様性に関する配慮(ESGのS分野)が必要である。

 本年6月に公表された「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」では、非財務情報開示の充実のため、気候変動に関する項目に加えて、人的資本の観点から「人材育成方針」、「社内環境整備方針」を、多様性の観点から 「男女間賃金格差」、「女性管理職比率」、「男性育児休業取得率」を記載項目に追加することが提言されており、今後、コーポレートガバナンス報告書、有価証券報告書、統合報告書などでの開示が一気に進むとみられている。

 ただし、Gの部分にあたる企業経営の方針によってステークホルダーが経営陣や企業をどう評価するかという観点と重複する部分が多く、観念的なグリーンを理論立てて分類(Taxonomy)することはかなりの検討が必要である。
 

  • 2022.10.31
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建物の健康性に関する議論でしばしば見受けられる「ABW(アクティビティー・ベースド・ワーキング)」とは何?

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 Activity Based Workingの略称。従業員が業務内容に合わせて場所・時間を自ら選択できる働き方。どこで働くのかを業務内容(アクティビティ)によって個人で判断し、業務内容に最も適した時間・場所を選ぶことで生産性の向上を図る点が特徴。1990年にオランダ企業で初めて導入され、海外や日本でもその導入が進んでいる。

 「フリーアドレス」と混同されがちであるが、「フリーアドレス」での働く場所はオフィス内に限られているのに対し、「ABW」では自宅やカフェ等のオフィス以外も働く場所の選択肢に入るため、より柔軟に環境を変えることができる。

 新型コロナウイルスの感染拡大及びウイズコロナの経済下で、一気にABWの考え方は浸透したが、一方で、マネージャーが各プロジェクトに対し、従業員をどのようにコントロールし企業収益を上げていくか、労働生産性の向上との相関を分析していく課題が新たに生まれている。

  • 2022.10.17
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カーボンフットプリントとは何?

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 カーボンフットプリント(Carbon Footprint:CFP)は直訳すると「炭素の足跡」だが、近年は商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みという意味で使用されている。

 カーボンフットプリントは、ライフサイクル全体で発生する温室効果ガスを対象とした概念のため、サプライチェーン排出量におけるスコープ3の概念(スコープ1:自社の直接的な排出量やスコープ2:電気使用などによる間接的な排出量だけでなく、自社の活動に関連した他社の排出量まで合計したもの)と整合している。

 カーボンフットプリント事業に参加していることを示すマークによる「見える化」された情報を用いて、事業者が CO2排出量削減を推進すること、消費者がより低炭素な消費生活へ自ら変革していくことを目指している。各国で同様の取組がされているが、カーボンフットプリントを示すラベル・マークの様式はばらばらで統一されていない。

  • 2022.10.17
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カーボンフットプリントの課題は何?

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 日本でカーボンフットプリントを算定するにあたっては、ルールが策定されている一部の分野を除いては、ISO(国際標準化機構) や GHG プロトコル(Greenhouse Gas Protocol:温室効果ガス排出量算定と報告の世界的な基準)を参照している場合が多いが、それらは解釈の余地のある箇所や明記されていない事項があることから、企業が独自に算定方法を設定せざるを得ず、製品の公平な選択が難しい。

 また、事業者の事務負担の大きさや、現状では、カーボンフットプリントマークの対象製品も少なく消費者への認知度が低いため、消費者の商品選択に影響を与えていないことが問題点として指摘されている。

  • 2022.10.17
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経済産業省と環境省は、9月22日、カーボンフットプリントに関する検討会を始めたが、その狙いは?

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 カーボンニュートラルを実現するためには、個々の企業の取組だけではなく、サプライチェーン全体での温室効果ガスの排出削減を進めていく必要があるが、そのためには、脱炭素・低炭素製品が選択されるような市場を創り出していく必要があり、その基盤として製品単位の排出量(カーボンフットプリント)を見える化する仕組みが不可欠である。 

 そのため、年度末にも経産省と環境省で、CFPに関する算出方法やルールを定めたガイドラインを策定する予定であり、有識者による検討会が始まった。