2022/10/03 【コラム】-77年-

みなさんこんにちは、日本不動産研究所の幸田 仁です。

今回は「77年」というタイトルにしてみました。今回は、この77年が意味するところを説明しつつ、これからの「社会が豊かになるために重要なこと」について考えて見たいと思います。

77年とは

77年は2つの期間を表しています。一つは明治元年(1868年)明治天皇が即位した後、昭和20年(1945年)の終戦までの期間が77年という意味です。これを前半77年とします。

もう一つは昭和20年(1945年)の終戦を始まりとしてから現在までのいわゆる「戦後77年」という意味です。これを後半77年とします。

つまり、77年は、明治維新から終戦までと終戦から現在(令和4年)がちょうど同じ期間になったということになります。

時代の流れを比較する

ここで、前半77年と後半77年までの歩みを比較してみます。

 

明治元年から終戦まで(前半77年)

終戦から現在まで(後半77年)

変革期

幕藩体制の終焉、新政府樹立、中央集権体制の構築

明治憲法(欽定憲法)体制からGHQによる統治

制度改革と経済安定化

地租改正、土地私有制度、近代化政策による殖産興業と富国強兵政策

日本国憲法の制定、財閥解体、農地改革、経済安定本部の設置

高度成長とバブル崩壊

企業の勃興、貿易拡大、第一次世界大戦による好景気と崩壊、関東大震災、世界恐慌、大凶作による飢饉

所得倍増計画、自動車や家電の急速な普及、バブル経済による土地価格の急騰と崩壊

混乱と迷走

軍部の台頭と政党内閣の崩壊、2・26事件、日中戦争、経済制裁から太平洋戦争へ突入

阪神淡路大震災、リーマンショック、東日本大震災、少子高齢化、空き家問題、安倍元首相暗殺

 

どちらも新しい時代への変革期を通じて制度改革が実施され、社会経済が大きく発展します。しかし、その後社会システムに歪みが生まれ、加えて災害や事件が重なり、社会全体が迷走していくという類似性を感じます。

歴史を知るきっかけの重要性

JR東京駅丸の内駅舎及び構内には、2カ所に「ある印」が床に刻まれています。一つは原敬首相の暗殺現場、もう一つは浜口雄幸首相の銃撃現場です。多くの人々は印の存在すら知らないかもしれません。しかし、この印は、当時の社会情勢、暗殺された背景と瞬間などを残し、後世に伝えるためのものであるといえるでしょう。

不動産と歴史

初代理事長櫛田光男は不動産の本質を「文化的歴史的所産の一つ」と表現し、さらに「不動産のあり方の二面性」として、一面において人間の行動の結果あるいは帰結であると共に、他面において人間の行動に影響を与える原因あるいは条件となると説明します。

とかく人は自らの経験のみに頼って物事を判断しがちですが、ことさら不動産にあたっては経験を超えた「歴史」を知り、学ぶこと、それはつまり櫛田のいうところの不動産のあり方の二面性であり、不動産のあり方を読み取ることでもあるのです。

かつてドイツの宰相オットー・ビスマルクが「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という言葉を残しています。

より良い社会と人々の豊かな暮らしを実現するために私達にできることは、不動産を通じて歴史を学び、過去の過ちをくり返さないように働きかけていくことだと考えます。

(幸田 仁)