2011/11/02 固定資産税評価における原子力災害の影響について

 弊所は、平成7年に発生した阪神・淡路大震災の際にも、大震災に係る不動産価格の「震災基準」を行政機関、個人、企業、金融機関等に向けていち早く提供をいたしました。この例にならい、今般の大震災に対しましても、6月10日に「東日本大震災に関する土地評価(震災が地域要因に及ぼす影響)」を公表いたしました。

 この震災減価の考え方は、今般の大震災における固定資産税評価においても取り入れられました。

 (財)資産評価システム研究センターの土地に関する調査研究委員会では、今年度の研究テーマを「被災による土地減価の評価への反映」として調査研究を行い、「東日本大震災被災地の土地評価に用いる震災減価率及び個別補正率に関する研究」と題した報告書をまとめました。弊所からは2名の委員を送り込み、このレポートの震災減価の考え方を提供させていただきました。

 そして、土地に関する調査研究委員会での検討を踏まえ、総務省は10月14日付けで「東日本大震災により被害を受けた地方団体等における平成24年度の固定資産の評価替えについて」を各道府県総務部長と東京都総務・主税局長宛に発文しました。

 しかし、原子力災害による放射線量等の影響につきましては、総務省の通知文のなかで触れられてはいるものの、現在の不動産市場においては合理的な価値の判断ができないのが実情であり、被災地における市町村の課税担当者が頭を悩ませています。

 そこで、弊所では、固定資産税評価における原子力災害の影響の判断の現状を整理し、考え方をまとめました。

 未だに混沌とした状況のなかで、現段階では解決策の提案とはなっておりませんが、被災地における市町村の課税担当者に対して、実務の一助になることを願っています。

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