五十嵐 健之
山田 道昭
不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン(以下「価格等調査ガイドライン」という。)が平成21年8月に国土交通事務次官より国土交通大臣登録不動産鑑定業者等へ通知されたので、その内容について解説する。
溝越 祐輔
不動産証券化は、バブル崩壊後下落の続いていた地価の反転過程において重要な役割を果たしながら成長を遂げてきた。しかし、昨今の世界的な金融危機と信用収縮の影響により、不動産証券化を取り巻く環境も厳しいものになっている。物件の売買が減り、これに伴う鑑定評価が減少する一方で、不透明な市場見通しや会計基準の改正等を背景に、継続評価へのニーズや注目はむしろ高まってきている。本稿は、こうした現状や昨今の国土交通省による検討状況等を踏まえ、証券化対象不動産の継続評価の現状を概観するものである。
キーワード :デューデリジェンス、不動産証券化、J-REIT
松浦 隆康、井野 好伸
日本不動産鑑定協会は、会長直轄の「制度見直し検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、不動産鑑定評価部会報告書及び国土交通省のガイドラインと整合性を図りながら、自主的に各種指針を取りまとめ、意見募集を実施した。寄せられた意見を踏まえ、一部原案を修正したのち、全国で研修会を開催し、周知徹底を図ったところである。
本稿は、協会が策定した各種指針の体系的整理と内容の解説である。
今回の試みは、業界団体としては初めてのことであり、実施に当たって、実務上の不備等が生じるような場合には、今後、必要に応じて、見直しを行っていくつもりである。
中原 洋一郎
近年、居住用建物の賃貸借契約における更新料特約が、消費者契約法10条に該当し無効であるか否かを判示する判決が相次いでる。更新料特約を無効とする初の判決は平成21年7月23日の京都地裁判決であるが、その後8月27日に大阪高裁にて、9月25日に京都地裁(3件)にて無効判決が続いたあと、10月29日には大阪高裁にて有効とする判決が示された。
本稿では、これらの判決のうち、異なる結論が示された二つの高裁判決を紹介する。
キーワード :賃貸借契約、更新料特約、消費者契約法
廣田 裕二、菊池 慶之、林 述斌
日本不動産研究所は、21回目を数える「不動産投資家調査」の結果を11月19日に発表した。 今回のアンケートは国内では民主党政権の成立による内需拡大への期待と今後の政策への不透明感が相半ばし、海外では各国の財政出動による景気浮揚の兆しと歴史的な円高ドル安の進行による輸出環境の悪化が台頭する中で実施された。今回のアンケートの特徴は、以下の4点に集約される。
今回の調査結果から、不動産投資家のマインドの悪化は一服し、新規投資に向けて様子をうかがう状態に入りつつあることが確認された。とりわけ、都内のプライムエリアにおけるAクラスビルや東京圏の賃貸住宅のほか、商業・店舗ビルの一部でも期待利回りの上げ止まりの傾向が確認されたが、利回りが低下するアセットタイプはまだなかった。
なお、今回の調査では回答数が120社に及び、前回と並び過去最多の回答を頂いた。
キーワード :不動産投資家調査、利回り、丸の内・大手町、J-REIT、投資意欲
髙岡 英生
日本不動産研究所は平成21年9月末現在の「市街地価格指数」を11月19日に発表した。「市街地価格指数」から見た最近の地価動向の主な特徴は次のとおりである。
キーワード :市街地価格指数、下落継続、下落幅縮小、地価変動率分布状況
手島 健治
日本不動産研究所は2009年9月末時点の「全国賃料統計」を11月19日に公表した。オフィス賃料は、サブプライムローン問題に端を発した金融危機による景気の悪化等から需要が減少し、全国で11.2%下落(前年は2.5%下落)と調査開始以来最大の下落を記録し、特に東京都区部、名古屋市、大阪市、仙台市では新規供給の増加も加わり15%を超える下落に拡大した。共同住宅賃料も同様に景気の悪化等から需要が減少し、下落幅がやや拡大して全国で1.4%下落(前年は0.2%下落)となった。1年後について、オフィス賃料は景気の持ち直しが期待され、今回大きく価格調整が進んだ東京都区部、名古屋市等では下落幅の縮小が予想され、全国で3.4%下落に縮小する見通しである。共同住宅賃料も同様に下落幅が若干縮小して全国で0.9%下落になる見通しである。
キーワード :全国賃料統計、賃料指数、市場動向
外国鑑定理論実務研究会
・日本不動産研究所図書室 主な新規受入図書リスト -2009年9月初旬~2009年11月下旬-
・2009(平成21年)[第51巻第1号~第51巻第4号]目次一覧